『猫宮乱華！またもや試合を放棄して豪遊か！？』

『対戦相手の選手とホテル街へ消えた！』

『立入禁止区域で沐浴か！！大勢の前で裸になったという真相は！？』

「乱華！これは一体どういうことです！謹慎が解けて、たった1週間でどうしてここまでのことが出来るんです！？一体何を考えているの！あれだけ大人しくしなさいと言ったでしょうに！」

小鳥がチチチッとどこかで鳴く声が響く中、中年の女性の声が響き渡る。

「あら、お母様。おはようございます。朝からそんなに元気にしていらっしゃるなら我が猫宮家もまだまだ安泰のようだわ」

「お黙りなさい！この中でどこまでが真実かなんて、どうでもいいのです！この記事が出回ることが問題なのです！どういうことなの！」

ソファに腰掛けて、膝に乗る猫を時に指先で愛おしそうに弄りながら、テレビを見ていた女性は、ついっと視線を向けると、やれやれと言った感じで答える。
もちろん、その声は母を宥めることなど一切せず、遮られてしまう。

「貴方のことは大事に育ててきたと思っていたのですが、ここまで問題を起こすのであれば、こちらにも考えがあります。明日、こちらに向かいなさい。ここで十分な結果を出すまでは、決して我が家の家門を潜ることは許しません！」

母が差し出した紙に視線を送ることなく乱華はふふっと笑みをこぼす。

「もちろんですわ。」