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感謝の気持ち

炭治郎くんの朝は早い。
パン屋の息子の彼は毎朝、パンの仕込みを手伝っているからだ。
炭治郎くんが手伝わなければ経営が危ないようなお店なのか…?と思ったこともあるけれど、どうやらそうでもないらしい。
単に優しさのかたまりの彼が大変そうなご両親を手伝っているのだそうか。なんと尊い。
そんな優しさのかたまりである炭治郎くんのことが大好きで仕方がない私は、いつもがんばっている彼に、どうにかして応援の気持ちを届けたいと思い、画策するようになった。
その過程で、善逸くんに炭治郎くんへの想いに気づかれてからかわれてしまうという出来事もあったが、ようやくその時がきた。

ある日の早朝、私は炭治郎くんのご両親が営むパン屋へ足を運んだ。
そして、炭治郎くんが作業を終えて、お店から出てくるのを待った。

「あれ!こんな朝早くにどうしたんだ?」

急に炭治郎くんのほうから話しかけてくれると思ってもみなくて、戸惑いを隠せなかったけれど、それと同時に嬉しくもあった。

「朝からお勤めご苦労様です!」
「…かたいな。何かあったのか?」

そう言って私の側に炭治郎君が近寄ってきた。心臓が耳から飛び出すんじゃないかというぐらい、脈が激しくなるのを感じながらも、自分を落ち着けた。

「いつも朝早くからがんばってる炭治郎くんを応援したくて。」
「ん?応援?」
「うん。おうちのお手伝いしてて、すごいなって思って。これ、差し入れです。」
「ありがとう!」

炭治郎くんはにっこりと笑いながら明るい声でお礼を言ってくれた。なんと尊い。そして彼はすぐに袋を開けた。

「あ!俺の好きなお菓子だ!」
「善逸くんが『これあげれば喜ぶよ』って教えてくれて。」
「そうなんだ。じゃあ、これを学校に持って行って、お昼のあとに食べるよ。」
「え?なんで学校で?」
「善逸にもらったって報告できるし。それに…」
「それに…?」
「自分が好きな人に何かもらったら嬉しいと思わないか?だから、学校で喜びをかみしめながら食べるよ。」
「え…?好きな人…?」
「うん、そう。とにかく、ありがとう!また後で!」

炭治郎くんはそう言って、ちょっと小走りで自宅のほうへ向かって走っていった。
…炭治郎くん…尊すぎない?

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