短編
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「ねえ、舞智華。大事な何か忘れてない?」
「え?何が?」
「今、何月?」
「9月だけど…」
「だから、何か忘れてない?って聞いてんの!」
つい数ヶ月前までただの幼馴染だった我妻善逸と常野重舞智華は、善逸の部屋にあるソファの前の床に座り、やや睨み合いの状態が続いている。
「さっきから『何か忘れてない?』って言うけどさ、忘れてることあるなら教えてくれてもいいんじゃないの?」
「嫌だね。これは舞智華に思い出してもらわないと意味がない。」
「うわー、めんどくさ…。」
「彼氏に向かってめんどくさいなんて!ひどくない?!」
「今までと大して変わんないでしょ。」
「はぁ…」
善逸は大きなため息をつくと同時に、自らの頭を目の前にあるローテーブルの上に乗せてうなだれた。
「何?仕事で疲れてんの?」
「疲れてるけど、それよりもショックなの。」
「だから、何がよ!」
「舞智華が大事なこと忘れてるからだろ!それぐらい気づいてよ!」
「はあ?!気づいてって言われたってね…!善逸も仕事で忙しいかもしれないけど、こっちも仕事が忙しすぎて、毎日残業で終電になってヘトヘトなんだから仕方ないでしょ!まともな思考力なんて殆ど残ってないわよ!」
連日の過労と寝不足が積もりに積もっている彼女は、「大変なのは自分だけではない」と日々思いつつも言わないようにしていたが、それを一気に吐き出した。
彼女あまりの勢いに圧倒された善逸は、「お、おう…なんか…ごめん…」としか言い放つことができなかった。
「考えろって言われたってね、ここ1週間ぐらいまともに頭働いてないんだから、ちょっとぐらいヒントくれたっていいでしょう!」
その舞智華の言葉を聞いて、善逸ははっと気づき、ヒントを出すことにした。
「9月でしょ、今。」
「そうね。」
「じゃあ、9月3日って何の日?」
「3日…?」
ヒントを得た舞智華は、顎に手を添えながら、答えを必死に探していた。小さな唸り声が隣から聞こえ、不覚にも善逸はそんな彼女の姿を愛おしく感じていた。
「9月3日は…グミの日…?」
「…まあ、俺もグミ好きだけど、そっちじゃない。」
「え?じゃあ…国民的アニメに出てくるロボットのお誕生日…?」
「うん、誕生日は近づいてるけど、そっちじゃないね。」
「誕生日…たん……え!!ひょっとして善逸、誕生日だった?!」
「ちょっと待って、何で俺の誕生日知らないわけ?!」
驚愕だった。幼馴染だった彼女は、彼の誕生日がその日であることにすら気づいていなかったのだ。
「いつもうちの母がプレゼント持っていけっていうから持っていってただけで…」
「自発的な贈り物ではなかったのね…俺、切ないよ。」
「ごめん…。そりゃあ、拗ねるよね。」
「拗ねてないよ。」
「それを拗ねてるって言うのよ。」
「はあ…。」
善逸は先ほどよりも大きなため息をついた。
「だいぶ遅くなっちゃったけど…善逸、誕生日おめでとう。」
「ありがと。」
「善逸がいてくれて良かったって思うこと、いっぱいあるよ。」
「ふーん、そう。」
「拗ねないでよ。」
「……」
拗ねているのが図星なので、何も言い返すことがない善逸。そんな彼の様子を見て、彼女は彼の額小さくキスをした。
「へっ…何、急に…!」
「え、お誕生日おめでとう、って思ったのと、いつもありがとうって思っただけで…」
「ちょっと、そんな急にかわいいキスしないでよ…」
そう言うと、善逸は体をようやく起こし、舞智華を抱きしめた。
「…来年は、俺の誕生日忘れんなよ。」
「うん、気をつける。お誕生日おめでとう、善逸。」
「ありがと。」
「プレゼント、何か欲しいものある?」
「ない。舞智華と一緒に過ごせれば、それで十分。」
「ありがとう。じゃあ、来年は旅行でもしよっか。」
「それ、いいね。」
誕生日当日を過ぎてしまったこの二人は、来年の約束をして、互いに力強く抱きしめ合いながら、幸せを噛み締めた。
「え?何が?」
「今、何月?」
「9月だけど…」
「だから、何か忘れてない?って聞いてんの!」
つい数ヶ月前までただの幼馴染だった我妻善逸と常野重舞智華は、善逸の部屋にあるソファの前の床に座り、やや睨み合いの状態が続いている。
「さっきから『何か忘れてない?』って言うけどさ、忘れてることあるなら教えてくれてもいいんじゃないの?」
「嫌だね。これは舞智華に思い出してもらわないと意味がない。」
「うわー、めんどくさ…。」
「彼氏に向かってめんどくさいなんて!ひどくない?!」
「今までと大して変わんないでしょ。」
「はぁ…」
善逸は大きなため息をつくと同時に、自らの頭を目の前にあるローテーブルの上に乗せてうなだれた。
「何?仕事で疲れてんの?」
「疲れてるけど、それよりもショックなの。」
「だから、何がよ!」
「舞智華が大事なこと忘れてるからだろ!それぐらい気づいてよ!」
「はあ?!気づいてって言われたってね…!善逸も仕事で忙しいかもしれないけど、こっちも仕事が忙しすぎて、毎日残業で終電になってヘトヘトなんだから仕方ないでしょ!まともな思考力なんて殆ど残ってないわよ!」
連日の過労と寝不足が積もりに積もっている彼女は、「大変なのは自分だけではない」と日々思いつつも言わないようにしていたが、それを一気に吐き出した。
彼女あまりの勢いに圧倒された善逸は、「お、おう…なんか…ごめん…」としか言い放つことができなかった。
「考えろって言われたってね、ここ1週間ぐらいまともに頭働いてないんだから、ちょっとぐらいヒントくれたっていいでしょう!」
その舞智華の言葉を聞いて、善逸ははっと気づき、ヒントを出すことにした。
「9月でしょ、今。」
「そうね。」
「じゃあ、9月3日って何の日?」
「3日…?」
ヒントを得た舞智華は、顎に手を添えながら、答えを必死に探していた。小さな唸り声が隣から聞こえ、不覚にも善逸はそんな彼女の姿を愛おしく感じていた。
「9月3日は…グミの日…?」
「…まあ、俺もグミ好きだけど、そっちじゃない。」
「え?じゃあ…国民的アニメに出てくるロボットのお誕生日…?」
「うん、誕生日は近づいてるけど、そっちじゃないね。」
「誕生日…たん……え!!ひょっとして善逸、誕生日だった?!」
「ちょっと待って、何で俺の誕生日知らないわけ?!」
驚愕だった。幼馴染だった彼女は、彼の誕生日がその日であることにすら気づいていなかったのだ。
「いつもうちの母がプレゼント持っていけっていうから持っていってただけで…」
「自発的な贈り物ではなかったのね…俺、切ないよ。」
「ごめん…。そりゃあ、拗ねるよね。」
「拗ねてないよ。」
「それを拗ねてるって言うのよ。」
「はあ…。」
善逸は先ほどよりも大きなため息をついた。
「だいぶ遅くなっちゃったけど…善逸、誕生日おめでとう。」
「ありがと。」
「善逸がいてくれて良かったって思うこと、いっぱいあるよ。」
「ふーん、そう。」
「拗ねないでよ。」
「……」
拗ねているのが図星なので、何も言い返すことがない善逸。そんな彼の様子を見て、彼女は彼の額小さくキスをした。
「へっ…何、急に…!」
「え、お誕生日おめでとう、って思ったのと、いつもありがとうって思っただけで…」
「ちょっと、そんな急にかわいいキスしないでよ…」
そう言うと、善逸は体をようやく起こし、舞智華を抱きしめた。
「…来年は、俺の誕生日忘れんなよ。」
「うん、気をつける。お誕生日おめでとう、善逸。」
「ありがと。」
「プレゼント、何か欲しいものある?」
「ない。舞智華と一緒に過ごせれば、それで十分。」
「ありがとう。じゃあ、来年は旅行でもしよっか。」
「それ、いいね。」
誕生日当日を過ぎてしまったこの二人は、来年の約束をして、互いに力強く抱きしめ合いながら、幸せを噛み締めた。
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