逢
お名前は?
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「…どうして俺を襲わないの?」
「私は人を食べずとも生きていけるんです。ただ、血は必要なので、今までとある所で血をわけていただいてきたんですが…訳あって、それが難しくなってしまって…。途方に暮れていたところに、あなたがいらっしゃったんです。」
「人間を食べない鬼なんているの…?」
「希少ですが、存在はします。」
「へえ…。」
禰󠄀豆子ちゃんのことかな…?とか思ったけど、この子が禰󠄀豆子ちゃんを知っているとも思えないし…。
俺が今まで出会した鬼は、所構わず襲ってくるのになぁ…。人間を食べない鬼ばかりだったらいいのになぁ…。と思っているうちに、舞智華ちゃんと話し始めた理由を思い出した。
「あ、そうだ。俺の血をわけるんだったね。」
「すみません、わがままを言って…。」
まさか鬼に謝られる日が来るとも思ってなくて驚いた。
日輪等で自分の身体を傷つけるのは流石に怖すぎるから、地面に落ちている薄い石を探した。他の石にぶつけて、少し欠けさせた。
え、どこ切るの?
変なところ切ると、俺死ぬし。切る場所間違えて、舞智華ちゃんが変な格好することになっても嫌だし。え?どうすんの?と、石を片手に考えた末、左手の甲に傷をつけることにした。
手の甲の親指の付け根のあたりに欠けた石を当てて、軽くひいた。少しの痛みが走ったと同時に、俺の血が滲み出てきた。小さな傷をつけただけだから、量は少ない。
「少しだけど…これで大丈夫かな…?」
舞智華ちゃんに傷口を見せると、「ええ、十分です。」と嬉しそうな顔を見せた。ああ、俺の心臓の音がうるさい。鬼なのに可愛すぎる。
ところで舞智華ちゃんは、この傷口から溢れてきた血をどうやって彼女のものにするんだろう…?と考えていたら、舞智華ちゃんが両手でそっと、俺の左手を包んだ。
え、なに?どうするつもりなの、舞智華ちゃん?
と思って見ていると、舞智華ちゃんはゆっくりと俺の左手を自分の口に近づけた。全部の動きがゆっくりと、時が止まっているように見えていた。
少し俯いているから、さっき話していた時とはちょっと表情が違った。伏せた瞼に伸びる長くて美しい睫毛。鬼なのに、神秘的なものを見ているような気分になった。
そして舞智華ちゃんは、俺の傷口から溢れてきた鮮血を舐め取った。その姿がすごく艶っぽくて、艶かしく見えてしまった。俺の傷口を舐めた舞智華ちゃんの顔は、どこか恍惚としていた。
もうダメだ、どうしよう。
舞智華ちゃんが握っている俺の左手は熱いし、俺の傷口を舐めている舞智華ちゃんの舌のざらつきに艶かしさをおぼえてしまうし。こんなことされたら、俺、舞智華ちゃんのこと一生忘れられなくなっちゃうよ。
もう、俺の心臓の音がうるさすぎて、鼓膜破れそうだよ。なんだったらもう、破れてない?俺の鼓膜、大丈夫?
俺がどきどきしている間に、舞智華ちゃんは満足したのか、気づけば口を離していて、そして俺の目を見てこう言った。
「ありがとうございました。これで数日は過ごせそうです。」
微笑んだ顔は最早、鬼じゃなくて天女だった。かわいい。
「私は人を食べずとも生きていけるんです。ただ、血は必要なので、今までとある所で血をわけていただいてきたんですが…訳あって、それが難しくなってしまって…。途方に暮れていたところに、あなたがいらっしゃったんです。」
「人間を食べない鬼なんているの…?」
「希少ですが、存在はします。」
「へえ…。」
禰󠄀豆子ちゃんのことかな…?とか思ったけど、この子が禰󠄀豆子ちゃんを知っているとも思えないし…。
俺が今まで出会した鬼は、所構わず襲ってくるのになぁ…。人間を食べない鬼ばかりだったらいいのになぁ…。と思っているうちに、舞智華ちゃんと話し始めた理由を思い出した。
「あ、そうだ。俺の血をわけるんだったね。」
「すみません、わがままを言って…。」
まさか鬼に謝られる日が来るとも思ってなくて驚いた。
日輪等で自分の身体を傷つけるのは流石に怖すぎるから、地面に落ちている薄い石を探した。他の石にぶつけて、少し欠けさせた。
え、どこ切るの?
変なところ切ると、俺死ぬし。切る場所間違えて、舞智華ちゃんが変な格好することになっても嫌だし。え?どうすんの?と、石を片手に考えた末、左手の甲に傷をつけることにした。
手の甲の親指の付け根のあたりに欠けた石を当てて、軽くひいた。少しの痛みが走ったと同時に、俺の血が滲み出てきた。小さな傷をつけただけだから、量は少ない。
「少しだけど…これで大丈夫かな…?」
舞智華ちゃんに傷口を見せると、「ええ、十分です。」と嬉しそうな顔を見せた。ああ、俺の心臓の音がうるさい。鬼なのに可愛すぎる。
ところで舞智華ちゃんは、この傷口から溢れてきた血をどうやって彼女のものにするんだろう…?と考えていたら、舞智華ちゃんが両手でそっと、俺の左手を包んだ。
え、なに?どうするつもりなの、舞智華ちゃん?
と思って見ていると、舞智華ちゃんはゆっくりと俺の左手を自分の口に近づけた。全部の動きがゆっくりと、時が止まっているように見えていた。
少し俯いているから、さっき話していた時とはちょっと表情が違った。伏せた瞼に伸びる長くて美しい睫毛。鬼なのに、神秘的なものを見ているような気分になった。
そして舞智華ちゃんは、俺の傷口から溢れてきた鮮血を舐め取った。その姿がすごく艶っぽくて、艶かしく見えてしまった。俺の傷口を舐めた舞智華ちゃんの顔は、どこか恍惚としていた。
もうダメだ、どうしよう。
舞智華ちゃんが握っている俺の左手は熱いし、俺の傷口を舐めている舞智華ちゃんの舌のざらつきに艶かしさをおぼえてしまうし。こんなことされたら、俺、舞智華ちゃんのこと一生忘れられなくなっちゃうよ。
もう、俺の心臓の音がうるさすぎて、鼓膜破れそうだよ。なんだったらもう、破れてない?俺の鼓膜、大丈夫?
俺がどきどきしている間に、舞智華ちゃんは満足したのか、気づけば口を離していて、そして俺の目を見てこう言った。
「ありがとうございました。これで数日は過ごせそうです。」
微笑んだ顔は最早、鬼じゃなくて天女だった。かわいい。