逢
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行くのを休んで何をしていたかというと、蝶屋敷のいろんな場所をこっそり回って、食べ物を頂戴してきている。
いやー、おいしいんだ、蝶屋敷の食べ物。働かざるものなんたらとか言うけど、俺は毎日、自分の体調管理をがんばってるもんね!と自分に言い聞かせながら、屋敷のあちこちを歩いていた。
もうすぐ日が暮れる。空が赤から紺へ変わろうとしている。
空を見上げたその時、木々を揺らす風の音が変わった気がした。
今までの蝶屋敷の柔らかい音の中に、突然、耳慣れない張り詰めたような、でもどこか物寂しげな音が聞こえた。
その音は屋敷の外から聞こえてきた。
屋敷を出るのは怖かったけど、怖がりの俺にしては珍しく、どうしてもその音の正体が知りたかった。今までに聞いたことのない音だったから。
すごい不格好だけど、夜になれば鬼が出ると思って入院着のまま帯刀して、万全の体制でこっそり外に出た。
本当はしのぶさんの許可なしで屋敷の外に出たらダメなんだけど、いろんなダメなことをしているついでに外にも出てみた。
まだその音は少し離れていた。音を追って数分歩いて、気づけば目の前には林があった。林の中にそっと入ると、その音が大きくなった。それと同時に、その音は鬼のものであったことにようやく気づいた。
全身から汗が噴き出す。
どうしよう、鬼が出るかもしれないとは思ってたけど、まさか本当に出るなんて。しかも聞こえてきた音が鬼のものだなんて、全く想定していなかった。今まで聞いたどの鬼の音とも違う、鬼らしくない音だったから、完璧に油断した。止まらない汗を拭うに拭えないまま、とにかくじっとしていた。
俺の背後に迫ってきた鬼の気配。確かにすぐ後ろにいるのに、いつまで経っても襲ってこない。なぜ…?と思っていると、ふっと甘い声が聞こえた。
「あなたの血をわけていただけませんか?」
いやー、おいしいんだ、蝶屋敷の食べ物。働かざるものなんたらとか言うけど、俺は毎日、自分の体調管理をがんばってるもんね!と自分に言い聞かせながら、屋敷のあちこちを歩いていた。
もうすぐ日が暮れる。空が赤から紺へ変わろうとしている。
空を見上げたその時、木々を揺らす風の音が変わった気がした。
今までの蝶屋敷の柔らかい音の中に、突然、耳慣れない張り詰めたような、でもどこか物寂しげな音が聞こえた。
その音は屋敷の外から聞こえてきた。
屋敷を出るのは怖かったけど、怖がりの俺にしては珍しく、どうしてもその音の正体が知りたかった。今までに聞いたことのない音だったから。
すごい不格好だけど、夜になれば鬼が出ると思って入院着のまま帯刀して、万全の体制でこっそり外に出た。
本当はしのぶさんの許可なしで屋敷の外に出たらダメなんだけど、いろんなダメなことをしているついでに外にも出てみた。
まだその音は少し離れていた。音を追って数分歩いて、気づけば目の前には林があった。林の中にそっと入ると、その音が大きくなった。それと同時に、その音は鬼のものであったことにようやく気づいた。
全身から汗が噴き出す。
どうしよう、鬼が出るかもしれないとは思ってたけど、まさか本当に出るなんて。しかも聞こえてきた音が鬼のものだなんて、全く想定していなかった。今まで聞いたどの鬼の音とも違う、鬼らしくない音だったから、完璧に油断した。止まらない汗を拭うに拭えないまま、とにかくじっとしていた。
俺の背後に迫ってきた鬼の気配。確かにすぐ後ろにいるのに、いつまで経っても襲ってこない。なぜ…?と思っていると、ふっと甘い声が聞こえた。
「あなたの血をわけていただけませんか?」