Choice
お名前は?
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
冬にしては暖かい今日。
私は仁とふたりで、大学の図書館に籠っている。
仁と一緒に履修している科目で課題が出たものの、ふたり揃って頭を抱えていた。
担当教諭が出した課題で求めている答えがふたりとも見えず、それについて話し合おうということになった。
図書館の奥の方にある日当たりのよい席を陣取った。いつも座る特等席みたいなものだ。
子どものころからずっとそばにいて、仁が荒れている姿も散々見てきた。
気がつけば、中学の頃には恋人として付き合いを始めていた。
そんな頃の仁は学校一の不良で、未成年で喫煙・無免許で運転は平気でしていたし、時には他校に乗り込んで喧嘩をしてくる。
そんなことは日常茶飯事で、正直なところ「最近の仁はどうしたのか」と思っていた。本当はとても優しくて、他人思いなのに、と思っていた。
中学から色々あって、仁も私も大学に入学した。仁の風貌は、中学の頃からさほど変わらないものの、行動は随分と大人しくなった。
そもそも、私は仁が大学に入学するとも思っていなくて、まさか同じ進路を歩むことになろうとは思ってもみなかった。
大学に入ってからの仁はというと、中学の頃とは打って変わって至って真面目に授業を履修している。
仁と私は違う学部なのに、一緒に履修できる科目はほとんど一緒に受講している。そして何より一番驚いたのは、あの風貌で教職科目を履修していることだった。
中学の頃からは想像できないほどまともに、そして真面目になった仁ではあるけれど…。
「おい、早く探すぞ」
言葉遣いは乱暴なままだから、傍から見るとものすごく悪い人に見えてしまうのは変わっていない。
真面目に勉強をしに来たこの図書館でも、周りからは怖がられているのがよくわかる。
ふたりで書棚の前に並んで立ち、両端から求めている書籍を探す。探しながら、仁に話しかける。
「ねえ、仁。もうちょっと言葉遣い何とかならないの?」
「あ?うるせー。今更直るかよ、こんなもん。」
「ちょっと気にしたら直るんじゃない?」
私がそういうと、本の背表紙を順になぞっていた仁の指がピタリと止まり、静かに視線がこちらに向いたかと思うと、突然言い放った言葉に目が点になった。
「お静かにしていただけませんか。もっと真剣に本をお探しください。」
仁がいやに丁寧な言葉遣いで話した。私が言った言葉に合わせて、話し方を変えてみたんだろうけれど、彼のその風貌にあまりにも似合わない言葉遣いが気持ち悪くて仕方なかった。
そして私は思わず吹き出して笑ってしまった。
「てめえが話し方直せって言ったんだろうが、バーカ。」
「そうだけど…まさかそんな言葉で話すと思わないから……!」
お腹がよじれるかと思うほどおかしくて、できるだけ声を出さないように笑っていたが、どうしても喉の鳴るような笑い声が漏れてしまった。
すると、仁が小声で「うるせえぞ」と言うと同時に、笑っている私の口を塞いだ。
―――――卑怯だ。
いつもと違う仁がおかしくて、お腹を抱えて笑っていたのに、それをとめるためにキスをするだなんて卑怯だ。
おかげで私の笑いは消えて、驚きとともに目が点になってしまったが、そんな私の視界に映る仁はいつもと同じく、かっこよかった。
「おい、いいから早く本探せ。見つけたら借りてさっさと帰るぞ。」
「うん。」
「帰ったら…てめえ、覚悟しとけよ?」
「え?」
「………帰ったら、覚悟しておいてくださいね。」
「似合わないってば…!!笑わせないでよ…!!」
「てめえが直せって言ったんじゃねえか。」
「そうだけど…言葉のチョイスが絶妙な似合わなさで…」
「てめえ、マジで覚悟しとけよ。」
そうして探していた本を見つけ、私たちは帰宅した。
帰宅してから、仁に十分にからかわれ、そして遊ばれたのはお察しの通り。
私は仁とふたりで、大学の図書館に籠っている。
仁と一緒に履修している科目で課題が出たものの、ふたり揃って頭を抱えていた。
担当教諭が出した課題で求めている答えがふたりとも見えず、それについて話し合おうということになった。
図書館の奥の方にある日当たりのよい席を陣取った。いつも座る特等席みたいなものだ。
子どものころからずっとそばにいて、仁が荒れている姿も散々見てきた。
気がつけば、中学の頃には恋人として付き合いを始めていた。
そんな頃の仁は学校一の不良で、未成年で喫煙・無免許で運転は平気でしていたし、時には他校に乗り込んで喧嘩をしてくる。
そんなことは日常茶飯事で、正直なところ「最近の仁はどうしたのか」と思っていた。本当はとても優しくて、他人思いなのに、と思っていた。
中学から色々あって、仁も私も大学に入学した。仁の風貌は、中学の頃からさほど変わらないものの、行動は随分と大人しくなった。
そもそも、私は仁が大学に入学するとも思っていなくて、まさか同じ進路を歩むことになろうとは思ってもみなかった。
大学に入ってからの仁はというと、中学の頃とは打って変わって至って真面目に授業を履修している。
仁と私は違う学部なのに、一緒に履修できる科目はほとんど一緒に受講している。そして何より一番驚いたのは、あの風貌で教職科目を履修していることだった。
中学の頃からは想像できないほどまともに、そして真面目になった仁ではあるけれど…。
「おい、早く探すぞ」
言葉遣いは乱暴なままだから、傍から見るとものすごく悪い人に見えてしまうのは変わっていない。
真面目に勉強をしに来たこの図書館でも、周りからは怖がられているのがよくわかる。
ふたりで書棚の前に並んで立ち、両端から求めている書籍を探す。探しながら、仁に話しかける。
「ねえ、仁。もうちょっと言葉遣い何とかならないの?」
「あ?うるせー。今更直るかよ、こんなもん。」
「ちょっと気にしたら直るんじゃない?」
私がそういうと、本の背表紙を順になぞっていた仁の指がピタリと止まり、静かに視線がこちらに向いたかと思うと、突然言い放った言葉に目が点になった。
「お静かにしていただけませんか。もっと真剣に本をお探しください。」
仁がいやに丁寧な言葉遣いで話した。私が言った言葉に合わせて、話し方を変えてみたんだろうけれど、彼のその風貌にあまりにも似合わない言葉遣いが気持ち悪くて仕方なかった。
そして私は思わず吹き出して笑ってしまった。
「てめえが話し方直せって言ったんだろうが、バーカ。」
「そうだけど…まさかそんな言葉で話すと思わないから……!」
お腹がよじれるかと思うほどおかしくて、できるだけ声を出さないように笑っていたが、どうしても喉の鳴るような笑い声が漏れてしまった。
すると、仁が小声で「うるせえぞ」と言うと同時に、笑っている私の口を塞いだ。
―――――卑怯だ。
いつもと違う仁がおかしくて、お腹を抱えて笑っていたのに、それをとめるためにキスをするだなんて卑怯だ。
おかげで私の笑いは消えて、驚きとともに目が点になってしまったが、そんな私の視界に映る仁はいつもと同じく、かっこよかった。
「おい、いいから早く本探せ。見つけたら借りてさっさと帰るぞ。」
「うん。」
「帰ったら…てめえ、覚悟しとけよ?」
「え?」
「………帰ったら、覚悟しておいてくださいね。」
「似合わないってば…!!笑わせないでよ…!!」
「てめえが直せって言ったんじゃねえか。」
「そうだけど…言葉のチョイスが絶妙な似合わなさで…」
「てめえ、マジで覚悟しとけよ。」
そうして探していた本を見つけ、私たちは帰宅した。
帰宅してから、仁に十分にからかわれ、そして遊ばれたのはお察しの通り。
1/1ページ