誠実な嘘つき
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「おはようございます、今日はお一人なんですね」
「ああ、凪紗ちゃん、お疲れ様」
休憩室の一角で台本を広げていた一磨は、冷めたコーヒーを一気に飲み干してから、向かい側の席を「どうぞ」と指し示した。
「お邪魔します」
丁寧に答えた凪紗は、首を僅かに傾げてから、ふふっと柔らかな声を漏らした。
「一磨さん、何かありました?」
「え?」
閉じかけた台本を中途半端な位置で持ったまま顔をあげると、凪紗は慌てて手をパタパタと仰ぐようにしてから続けた。
「あ、すみません。変な意味じゃなくて。何となくですけど、楽しそうだな…って」
「……楽しそう? 」
自覚していた感情と、凪紗の言う自分の表情は噛み合わず、思わず聞き返した。
「俺、そんなに楽しそうだった? 」
「はい、何て言うか。わくわくしてるみたいに見えました」
その言葉に一瞬だけ戸惑いを見せ後、一磨は「ははっ」と笑った。
「一磨さん?」
「そっか。‘わくわく’か。うん、そうだね」
きょとんと見開いた凪紗の目を見ながら少し考えた後、周囲に人がいないことを確認してから、押さえ気味の声で切り出した。
「公式発表は週明けなんだけど、座長公演が決まったんだ」
「……え! 」
わっ、と驚いた顔をしてから慌てて口を押さえた凪紗は、そのままキョロキョロと辺りを見回してから 「おめでとうございます! 」 と、満面の笑みを見せた。
その笑顔に鼓動が騒ぎ出しそうになるのを、一磨は一瞬だけ目を閉じて宥めると、台本をきちんと閉じてから膝に置いて答えた。
「うん、ありがとう」
「メンバーの皆さんはもうご存知なんですよね?」
「今日マネージャーが全員に知らせる予定だから、そろそろかな」
「そうだったんですね。皆さんと同時に教えていただいちゃって、嬉しいですけど……大丈夫なのかな? 」
遠慮がちにそう言う凪紗。
「凪紗ちゃんなら構わないよ」
一磨はそう答えてから、姿勢を正した。
そして、わざと芝居がかった顔でニコリと笑うと、からかう様に続ける。
「それに。凪紗ちゃんに対して隠し事をさせるのは、あいつには酷だしね?」
そう言ったのと、一磨のバッグの中で振動音が響いたのは、ほぼ同時だった。
「ほら、やっぱり」
メンバーから次々届いた激励のメッセージ。
全員に返信をしてから、
「‘凪紗ちゃんにも月曜まで内緒にした方がいいのかな?’ ってさ」
そう言って画面を見せると、凪紗の表情はパッと明るくなる。
一磨はそれを確かめてから、再び画面に視線を戻した。
「俺がもう話した、って返しといたけど。これって抜け駆けかな? 」
「そんなことないですよ」
クスクスと笑い合っていると、またすぐにくる返信。
「‘え、会ったの?ずりぃー。’ ってさ。相変わらず、仲いいね」
その調子で、最後は凪紗も一緒に何度かやり取りをしてから携帯をしまうと、一磨は台本に視線を戻した。
「おはようございます、今日はお一人なんですね」
「ああ、凪紗ちゃん、お疲れ様」
休憩室の一角で台本を広げていた一磨は、冷めたコーヒーを一気に飲み干してから、向かい側の席を「どうぞ」と指し示した。
「お邪魔します」
丁寧に答えた凪紗は、首を僅かに傾げてから、ふふっと柔らかな声を漏らした。
「一磨さん、何かありました?」
「え?」
閉じかけた台本を中途半端な位置で持ったまま顔をあげると、凪紗は慌てて手をパタパタと仰ぐようにしてから続けた。
「あ、すみません。変な意味じゃなくて。何となくですけど、楽しそうだな…って」
「……楽しそう? 」
自覚していた感情と、凪紗の言う自分の表情は噛み合わず、思わず聞き返した。
「俺、そんなに楽しそうだった? 」
「はい、何て言うか。わくわくしてるみたいに見えました」
その言葉に一瞬だけ戸惑いを見せ後、一磨は「ははっ」と笑った。
「一磨さん?」
「そっか。‘わくわく’か。うん、そうだね」
きょとんと見開いた凪紗の目を見ながら少し考えた後、周囲に人がいないことを確認してから、押さえ気味の声で切り出した。
「公式発表は週明けなんだけど、座長公演が決まったんだ」
「……え! 」
わっ、と驚いた顔をしてから慌てて口を押さえた凪紗は、そのままキョロキョロと辺りを見回してから 「おめでとうございます! 」 と、満面の笑みを見せた。
その笑顔に鼓動が騒ぎ出しそうになるのを、一磨は一瞬だけ目を閉じて宥めると、台本をきちんと閉じてから膝に置いて答えた。
「うん、ありがとう」
「メンバーの皆さんはもうご存知なんですよね?」
「今日マネージャーが全員に知らせる予定だから、そろそろかな」
「そうだったんですね。皆さんと同時に教えていただいちゃって、嬉しいですけど……大丈夫なのかな? 」
遠慮がちにそう言う凪紗。
「凪紗ちゃんなら構わないよ」
一磨はそう答えてから、姿勢を正した。
そして、わざと芝居がかった顔でニコリと笑うと、からかう様に続ける。
「それに。凪紗ちゃんに対して隠し事をさせるのは、あいつには酷だしね?」
そう言ったのと、一磨のバッグの中で振動音が響いたのは、ほぼ同時だった。
「ほら、やっぱり」
メンバーから次々届いた激励のメッセージ。
全員に返信をしてから、
「‘凪紗ちゃんにも月曜まで内緒にした方がいいのかな?’ ってさ」
そう言って画面を見せると、凪紗の表情はパッと明るくなる。
一磨はそれを確かめてから、再び画面に視線を戻した。
「俺がもう話した、って返しといたけど。これって抜け駆けかな? 」
「そんなことないですよ」
クスクスと笑い合っていると、またすぐにくる返信。
「‘え、会ったの?ずりぃー。’ ってさ。相変わらず、仲いいね」
その調子で、最後は凪紗も一緒に何度かやり取りをしてから携帯をしまうと、一磨は台本に視線を戻した。
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