Dear my ・・・
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凪紗ちゃんに、会えていない。
正確には、仕事以外で会ってない。
少し前までは、会えないどころか一日の終わりに声を聞くことも出来なかった。
彼女は映画の撮影で海外へ行っていたし、俺自身もツアーが終盤に差し掛かるにつれて、それ以降のスケジュールの調整を徐々にかけ始めていて。
彼女が帰国してからも、やっと仕事で会えたのが、忙しなく動き回る人で溢れかえるスタジオの中だったり。
局の廊下ですれ違う時があっても、楽屋をゆっくり訪ね合う事も出来ない程の、互いに分刻みのスケジュール。
ただ皮肉な事に、忙しさに比例して彼女の姿を目にする機会は桁違いで増えていたから、様子だけは何となく伝わってきて。
テレビ越しに見る笑顔に「元気そうで良かった」と安心したり。
反対に「あまり寝ていないんじゃないか」と心配になったり。
それは彼女の方も同じらしく、時々それとなく体調を心配するメールが届く。
そんな日々の繰り返し。
仕事仲間の顔を崩さずに、距離を保って会うのだって、まるで会えないより遥かにいいに決まってる。
だけど正直、かなり参っていた。
よそ行きの彼女を見るたび、家で見せてくれる、ふわりと和む笑顔を思い出して。
溢れ出しそうな気持ちを無理やりに押し込めた。
『どうしてもお断りできないお付き合いで、打ち上げに行ってきます』
今日地方から帰ってきたばかりの彼女からのメール。
『どうせ行くなら楽しんで。でも、疲れてるだろうから無理はしないで』
そんな物分りのいい返信をして後悔する。
『終わったらここへ帰ってきて欲しい』
せめて、そう言えばよかった。
もう随分使われていない、揃いのマグカップやグラスを眺めて、ため息をつく。
「……情けないよな」
言葉は誰に届くこともなく、部屋の中に吸い込まれるように消えた。
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