真空色(まそらいろ)の想い
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いくつか店を考えて、個室のあるカフェに決めて電話を掛けた。
凪紗ちゃんを案内して、窓際の席に案内してもらったとき、 さっき止んだ雨はまた降り出していた。
「せっかくの休みに天気が悪くて残念だね」
「……私は、よかったです」
と、下を向いたまま小さく答えた彼女。
その言葉を都合のいいように解釈してしまいそうになって、思わず彼女の方をじっと見た。
だけど下を向いたままの凪紗ちゃんは、こちらを全く見てなくて。
俯いたまま、慌てて言葉を続けた。
「あ、えっと。新しい傘とかブーツとか……忙しくて全然使う機会がなかったから、ちょうどいいかな……なんて」
「へえ、そうなんだ」
相槌を打ちながらも、期待していたのとは違う理由にがっかりする自分にまた呆れながら、メニューをめくる。
だけど、目には入っていなかった。
彼女も何故かそのまま、顔をこちらに向けないままで話を続けた。
「今日、本当は朝から雑誌の撮影のはずだったんです。でも撮影に使う服が揃わなかったらしくって、急にオフになっちゃって」
「このまま家にいるのも勿体ないしって思って外に出たんですけど、何も決めてなかったから。何か映画を観ようかなって」
「それで、この前一磨さんとお話してた映画のことを思い出して……それで」
言いかけて、「……あ!」と小さく。
しまった、という感じで口を押さえた。
「そ、それに。雑誌の撮影が続くと、毎日季節外れの服ばっかりだから……久しぶりに出かけるのもいいなぁって思って。それで…」
「新しい傘も差せるし……顔が隠れるのもちょうどいいし……って」
さっきから感じる、何となく重い空気。
相槌を忘れた俺に、彼女の声がいっそう重くなった。
「……気を遣わせてしまって、ごめんなさい」
唐突に。彼女は頭を下げた。
「え?」
「私が足を引きずってたから、休ませてくれたんですよね?だって……」
焦ったように、こちらを見ないまま話す彼女に、返事が出来なかった。
「ここ、すごく人気のあるお店だし……女の人に……お店の方も、いつもありがとうございますって……だから……」
「私なんか連れてきて……彼女さんに……誤解されちゃったりしたら申し訳ないな……って」
今度は、俺が慌てる番だった。
確かに女性に人気の店だったし、男だけで入るには少しというかかなり可愛すぎる内装で。
何となく凪紗ちゃんが好きそうだなと思って選んだ筈が、そんな誤解を招くとは思わなかった。
だけど確かに、なかなか予約が取れない店というのも本当で。
「彼女なんて、いないよ」
「え?」
「ここ、前に仕事でお世話になったことがあるんだ。その時できたオーナーとの縁で、いつでもどうぞって言われてたから。それだけだよ」
彼女の顔が、かぁっと。
みるみる内に真っ赤に染まった。
「なんだか……ホントにさっきから一人で、ごめんなさい」
「いや、誤解させちゃった俺もうっかりしてたし」
また、ごめんと、ありがとうと、言ったり言われたりを繰り返して、笑った。
そして彼女もメニューをめくる。
今度は二人で、しっかり確認をしながら選んだ。
別々の物を注文してシェアしようか、なんて話しながら。