one morning
夢小説設定
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「……一磨さん?」
「え?」
「何か、あった? やっぱり出かけないで、ゆっくりする?」
慌てて顔をあげると、凪紗ちゃんが心配そうに覗き込んでいた。
突然上の空になったことに不満を洩らすでもなく、反対に気遣うようにする様子に、夢の続きを思う。
「ごめん、そうじゃなくてさ。いいなぁ……と思ってた」
きょとんとする凪紗ちゃんの目をしっかりと見ながら。
「こういう朝がさ」
もう朝じゃないけどね……と自分で茶化すと、彼女も安心してクスッと笑った。
「だけど今日凪紗は、ここに帰ってこないんだなぁって思ったら、少し残念だった」
「まだ今日は始まったばっかりなのに」
困ったように笑ってから、コーヒーのお代わりを入れるために立ち上がった凪紗ちゃん。
「あ、そうだ」マグカップをテーブルに置き直して、パタパタと部屋を出て。
真新しいDVDを手に戻ってくる。
「ここに、入れておいていい?」
大まかな配列はすっかり覚えている彼女は、慣れた様子で正しい場所に隙間を開ける。
「うん。次の休みに一緒に観よう」
彼女の隣に立って、少しの間黙って棚を眺めた。
「増えたね。凪紗の名前」
「……そう?」
「うん。もう数えられないよ」
「大げさだよ。でも……嬉しい」
恥ずかしそうに俯いて、俺の身体にコツンと頭を預けてきた彼女の手を取って、指を絡めて。
また、棚に視線を戻した。
「ここが一杯になるまでには、二人で暮らしたいね」
正面を向いたまま、正直に気持ちを伝える。
彼女も素直に「うん」と、そう答えて。
しばらくそのまま、静かに時間が流れた。
当たり前に、したい。
こんな朝を。
こんな風に過ごす休日を。
「またね」と次の約束をしなくてもいい二人になって、ここに立ちたい。
そんな風に考えながら彼女を見る。
「楽しみですね」
「こんなに特別な時間が、当たり前の毎日になっちゃうなんて……」
また見透かしたように答える凪紗ちゃんは、夢の中にいた白いワンピースの彼女のようだった。
だけどその顔は、仄かに赤くて。
それがあんまり可愛くて。
絡めた指はそのまま、頬に、瞼に口づけた。
君という特別が、当たり前の特別になるように。
当たり前の毎日が、特別な日々になるように。
幸せな夢から醒めても、それを寂しく思わないように。
「お代わり、俺が淹れてくるよ」
唇に軽く触れてから頭を撫でると、凪紗ちゃんはコクンと頷いて。
「待ってる」
そう答えると、また棚を見つめてふふっと笑った。
Fin.
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