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不思議そうにしていた彼女の方もすぐに気づいたようで。
屋上の看板を見上げたりしながら、「CD買いました」とか「あのCMが……」とか、色々な言葉をくれる。
その一つ一つに「ありがとう」と二人でお礼を言って、君は一瞬こちらへ目配せをした。
それから僅かに頷いて、戸惑い顔のその二人に視線を向ける。
その後ポケットから手を出して人差し指を立て、それをマフラーに隠れた口元に当てた。
君のしようとする事に倣って、俺も同じ仕草をして『ごめんね』の気持ちを乗せる。
一緒に軽く頭を下げると、先に彼女の方がはっとした表情になって、
少し頬が赤くなり、でもその後にぺこりとお辞儀をしてくれた。
まだ焦った様子の彼の方に肘で合図をして、二人が視線を向けたその先は……
凪紗の左手。
光に反射して輝く薬指。
約束の証。
そのまま二人は軽く会釈をして通り過ぎて。でも追い越す時にかけてくれた言葉に、また「ありがとう」と答えた。
「おめでとうございますって、言ってもらえたな」
「お幸せにって直接聞くと、すごく嬉しい」
君は照れたように指輪の光る手で頬を押さえて、それからまた手を繋ぎ直して歩き出す。
「これからも、よろしくね」
唐突に君に向かってそう言うと、
少しの間も置かずに「はい」と返事が聞こえてきた。
こちらを見上げる君の笑顔。
「……あー、やっぱり夢みたいだ」
「一磨さん、さっきからそればっかり」
「まだ二回目だよ、それにさっき凪紗も言っただろ」
「……だって……嬉しいから」
「「同じだね」」
今度は同時にそう言って笑い出す。
「せっかく堂々とできるんだし、遊園地にも行かないとな」
ポケットの中、絡ませた手で君の薬指を弄りながら誘うと、
「お化け屋敷には入らないよ?」
君が少しだけ拗ねた口ぶりになるのが可笑しくて、ついからかいたくなる。
「またお化け役の人を驚かせたら申し訳ないからね」
「……もうっ、意地悪」
「ははっ」
いつか一緒に行った、雨の日の遊園地。
あの日から、二人の間の何かが変わって。
“いつか晴れた日の遊園地で”
そんな約束を、お守りのように胸にしまって頑張ってきた。
あの日の事も、今日の事も。
きっとずっと後になってまた何度も、ふいに思い出して笑い合うんだろう。
こんな風に積み重ねる日々が、この先ずっと変わらずに何年も──何十年も続いて。
例えば十年先の二人はどんな風に過ごしているんだろう。
どんな風に、君を想っているんだろう。
そんな事を考えて歩く。
これからも、ずっと。
どこにいても何をしていても、君との想い出が、ふと溢れる位。
君が俺を、俺が君の事を感じられない場所なんて、この世のどこにもない程に。
気の遠くなるほどの時間を、ずっと一緒に歩いていこう。
そう心に誓って。
それから、二人で生涯を誓う瞬間に、思いを馳せて。
また握る手に力を込めた。
「メリークリスマス、凪紗」
Fin.
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