繋いでいく明り
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部屋にシンとした空気が流れたのをきっかけに、そっと手を伸ばして凪紗ちゃんの手首を捕まえた。
そしてまた隣に座った彼女は、まだ緊張した様子で話し始める。
「そうだ、あのね、クッションも買ったの、すごく気持──」
終わりを待たずに、ソファーに置かれた新しいクッションを抱えた凪紗ちゃんごと抱き締めて、そのまま唇を塞いだ。
ふかふかの真新しいクッションは、まだどこか他人行儀で。
それに阻まれた彼女との距離は、今の俺にはもどかしかった。
「凪紗が恥ずかしがると、俺までつられる」
「だって……突然だったから」
クッションを引き抜いて彼女の後ろの方へ投げ、遮るものが無くなった体を深く抱き締めた。
「映画、終わっちゃった……」
まだはぐらかそうとする凪紗ちゃんの言葉を確かめようと横目で確かめた画面は、もうエンドロール。
無音で流れる文字の後ろに立つ俺を見ている彼女に、本当の自分の方を向いて欲しくて──
そのままテーブルから手繰り寄せたリモコンで電源を落とすと、部屋の中は真っ暗になる。
「俺より映画が大事?」
「そんな訳……」
「知ってる。冗談だよ」
「……もー」
背中に回した手で俺を軽く叩いて、もぞもぞと腕の中で身を捩った凪紗ちゃんの頬を両手で挟んで、また唇を重ねる。
「凪紗の顔、ちゃんと見たい」
「じ、じゃあ電気つけないと──」
「いいよ、このままで」
「でも、真っ暗……」
「このままでも、見えるよ。凪紗、真っ赤だ」
「……久しぶりに、コーヒーも淹れてあげたいです」
「今は、コーヒーより凪紗がいいかな」
「ね? 一磨さん」
話しながらキスを繰り返していると凪紗の鼓動はどんどん速くなり、ついには音をあげた。
「一磨さん、心臓……壊れちゃいます……お願いだから……」
力の抜けた声を漏らす彼女を離したくない気持ちもあった。
だけど──
「そうだな、やっぱり久しぶりに凪紗ちゃんのコーヒー飲みたいし」
明かりに慣らすためまず一番小さな明かりだけで照らし僅かに身体に隙間を作ると、腕の中の彼女がホッと息をついた。
その表情と、静かに照らされた瞳に映る自分にまた鼓動が跳ね上がって──
「その前に、もう一度──」
明かりを一段明るくして、ゆっくり確かめるように、口づけを交わした。
Fin.
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