繋いでいく明り
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「ただいま、凪紗ちゃん」
もう一度、ヘッドフォンを彼女の耳から外してそこで囁いてから、手を繋ぎ直し甲にキスをする。
軽く引き寄せると、凪紗の身体がトンとぶつかる振動に、きゅっと胸が鳴った気がした。
「おかえりなさい、一磨さん」
もう片方の手で二の腕につかまるようにして身体を起こした凪紗ちゃんは、改めて確認するように俺の目を見た。
それからゆっくりと顔を綻ばせ、繋いだ手を離してぎゅっと背中に手を回し、胸に頬を寄せた。
「驚かせてごめん、寝てると思ったから黙って帰ってきたんだけど」
「うん、驚いちゃった。でも、嬉しいビックリだから……」
彼女の声を胸元でも聴きながら髪を撫でた。
そして肩に手を添えて距離を開け顔を寄せた時、目を閉じてくれると思った凪紗は急にパッと上を向いて、離れてしまう。
「凪紗ちゃん?」
「そ、そうだ。私もスケジュールが変わったの。明日はオフになって──」
「あ、ああ」
「だから一磨さんが帰る前にピカピカにお掃除して、夕飯は張り切っちゃおうと思ってたの。一磨さんは、明日はお仕事ですか?」
「いや、もともと移動日だったから。そのままオフ」
「よかった!一緒にスーパー行けますね」
考えていた夕飯のメニューや、留守の間の事、突然早口で話し始めた凪紗に、拍子抜けはしつつも胸は温かくなる。
でも、相槌を打ちながら目で追っていても、いくら話していても、なかなか視線を合わせられない。
楽しそうに話したり、髪を手櫛で整えたりする彼女から拒絶があるようにも思えなかったし、何より久しぶりに間近で聞く声は胸を擽って心地良いけど……
でもやっぱり、彼女に触れたい。
そう思う気持ちも押さえられそうに無い。
そんな俺の迷いを他所に、凪紗ちゃんはどんどん距離を空けて、届きそうで届かない。
「変わらないな」
照れ屋の凪紗ちゃん。
たまに意地っ張りで……そのくせ泣き虫の凪紗ちゃん。
臼闇の中でも分かるほど、頬を染めて焦ってる……俺の凪紗。
後ろ姿を見つめていると、ほんの一瞬会話が途切れた。