彼女と彼と僕たちの
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「でもさー。心配して損したっ」
「真くん?」
「結局僕は、お姉ちゃんが元気ないの見てるだけで、何も出来なかったし……」
「なのに、いつの間にか元気になってて。しかも一磨と付き合い始めてるし」
「お姉ちゃん、すっごい楽しそうだし。一磨も──」
真は自分の頬や目元を手で示しながら、またニヤッと笑った。
「お姉ちゃんの話するとき、この辺とか、この辺とか、ずーっと緩みっぱなし」
自分の頬や目元を手で示しながら、またニヤッと笑った真。
そこで画面は、本編のメニュー画面になる。
一磨ははぐらかすようにリモコンを画面に向けた。
「真くんは、字幕?」
「──あ、うん。字幕がいい。……ざんねーん。またのろけるの見れなかった」
「ははっ。参ったな」
お互いまた正面に向き直り、映画が始まり……。
一磨はゆっくりと口を開いた。
「真くんが何も出来なかったなんてこと、ないと思う。何も言わなくても……黙って傍にいてくれる存在は、力になるよ」
「そうかな?」
「ああ、絶対」
「それに、凪紗ちゃんは君の応援をすごく励みにしてる……ちょっと妬けるくらいに、な」
「一磨が、僕に妬くの?」
「妬く……とは違うかもしれないけど、いつも近くで見守れる真くんは少し羨ましいかな」
「……ふーん?」
真がキョトンとした表情で足をぶらぶらさせていると、鳴り出したオープニング音楽とインターホン。
「あ、帰ってきた!」
真はソファーから飛び降りた。
「お姉ちゃん、お帰りー」「買い物するなら荷物持ったのにー」等と、モニター越しに会話をして、ドアノブに手を掛け……そこで一呼吸置いて振り返った。
「あのさ、一磨こそ、すっごいお姉ちゃんの力になってるよ」
「そう?だったら嬉しいな」
「絶対そうだよ。お姉ちゃん一磨に借りたDVD観るとき、いつも凄く大事そうにケース持ってるし──それに」
掌で自分の額の上辺りをポンポンと叩いて、またニッと笑う。
「これ。一磨の癖でしょ? お姉ちゃん自分で触って、たまに思い出し笑いしてる。だからさ……これから気をつけなよ」
言葉を切ってからまた笑いかける、その表情は──今度は可笑しそうに歯を見せた悪戯な顔。
「──お姉ちゃん以外の女の人に、うっかりやらないようにさ」
「一磨、DVD止めといてー。エレベーターまでお姉ちゃん迎えに行って来る!」
玄関を飛び出して行く音を聞きながら──一磨も自分の頭をポンと叩いた。
「本当に……参ったな」
そう呟いて髪をかき上げる。
熱を持った頬や意思に反して緩む口元を戻そうと、ゆっくり静かに深呼吸をして──
それから、真の後を追うように、玄関に向かった。
Fin.
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