鏡に映ったその姿は
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「お前が言いたいのは、ここの話なんじゃないのか?」
親指だけを立てた右手で胸の中心を示す。
京介はそれに答えず、ただ耳を傾けた。
「こっちには、“自分にしか見えない本物” もあるだろ。その逆もないとは言えないけどな」
「──さすがリーダー、そつが無い意見だな」
皮肉を込めた京介の返しに、「ははっ」と気のない相槌をうち──
直後に一磨の目の奥には、何か強い意思が込められた。
「心配しなくても、彼女には分かってると思うけどな」
「誰のことだよ、彼女って」
「……さあな。 お前が分からないって言うならそういうことにしておくよ」
とぼけた素振りで首を傾げた一磨と、眉をひそめた京介。
探るような視線を投げ合い、先に目を逸らした京介が苦笑する。
「一磨も言うようになったよな」
「そうか?」
「誰かさんのお陰……って訳」
「──かもな」
今度ははぐらかさなかったその様子に、京介は微かに目を見張り……一磨はそのまま、さっきと同じ手の動きを練習し始めた。
それを側面の鏡で覗けば、一磨の視線は、ここには居ない誰かを向いているようで、
それを隠すつもりもないのか、表情はとても穏やかだった。
「彼女は、一磨の “自分にしか見えない本物” ってやつを分かってるのか?」
「──分かって欲しいと、思ってるよ」
「はっきり言うんだな」
「ははっ……」
今度は、さっきとは違って感情のこもった笑い声だった。
笑いながら、すっと立ち上がり……すぐに向かい合わせに立った京介の肩をパン、と軽く弾く。
「お前よりは、素直だからな」
「……悪かったな」
「俺にとって、な」
「どういう意味だよ」
「それこそ。分からなくていいよ」
一磨はまた自分の胸を親指で示してから、プレーヤーのstartボタンに触れる。
「凪紗ちゃんは、凄いな」
「自覚がないところがな」
二人の間に、イントロが流れ始めた。
Fin.
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