強がりな君
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キッチンから静かに聞こえてくる音。
コトコトと規則的なリズムを刻む、後はただ煮込むだけの鍋の前に、長いことぼんやり佇む凪紗ちゃん。
その視線は、一点を見据えてて。
でも、実際には何も見てはいないようで。
ただぼんやりと、考え込むように。
ただ黙って、きっと何かに悩んで。
何かを我慢するように、懸命に立っている。
静かに近づいて、君の肩が触れるほどの距離にぴったりと並んだ。
寄り添いながら2人黙って、微かに音を鳴らす鍋を見つめる。
トン、と。俺に凭れる細い身体。
「……今日ね。撮影で犬を抱っこしたの。ふわふわでね、これ位かな。すごく可愛くて……」
「そうなんだ、なんかいいね」
「うん」
「……あ、あとね。スタッフさんから差し入れで貰ったお菓子が、すごく美味しくて……」
ポツリポツリと、他愛ない話を続ける凪紗ちゃんに答えながら、その横顔を確認する。
辛いとか、大変とか、
君はなかなか言わない。
例えば聞き出そうとしても、
きっと無理に笑顔を作る。
だから話したくなった時に話してくれたら、それでいい。
君がそうしやすいように。
こんな時は、ただ黙って傍にいる。
手を繋いでキッチンに立ち、並んでただ鍋を眺める姿はきっと、端から見たらおかしな光景だけど。
じわりじわり、伝わる体温。
同じように君にも伝わってくれたらいい。
‘俺がいるから大丈夫’
その想いが正しく届いて、君の心に溜まった澱をきれいに流してくれますように。
そう願いながら。
凪紗ちゃんの指が、ぎゅっと強く俺の手を握ってから、すぐに緩んだ。
横顔は一瞬だけきつく引き締まって。
何かを決意するように瞳が色づいた。
それから、ふぅ……と息を吐き。
……ふわりと、いつもの微笑み。
カチリと、火を消して。
もう一度。俺に凭れて。
やがてゆっくりと、身体を離した。
「そろそろ……食べましょうか?」
「うん、そうだね」
繋いだままの手をスッと持ち上げて。
凪紗ちゃんの指に、口づけた。
(あとがきへ)→
コトコトと規則的なリズムを刻む、後はただ煮込むだけの鍋の前に、長いことぼんやり佇む凪紗ちゃん。
その視線は、一点を見据えてて。
でも、実際には何も見てはいないようで。
ただぼんやりと、考え込むように。
ただ黙って、きっと何かに悩んで。
何かを我慢するように、懸命に立っている。
静かに近づいて、君の肩が触れるほどの距離にぴったりと並んだ。
寄り添いながら2人黙って、微かに音を鳴らす鍋を見つめる。
トン、と。俺に凭れる細い身体。
「……今日ね。撮影で犬を抱っこしたの。ふわふわでね、これ位かな。すごく可愛くて……」
「そうなんだ、なんかいいね」
「うん」
「……あ、あとね。スタッフさんから差し入れで貰ったお菓子が、すごく美味しくて……」
ポツリポツリと、他愛ない話を続ける凪紗ちゃんに答えながら、その横顔を確認する。
辛いとか、大変とか、
君はなかなか言わない。
例えば聞き出そうとしても、
きっと無理に笑顔を作る。
だから話したくなった時に話してくれたら、それでいい。
君がそうしやすいように。
こんな時は、ただ黙って傍にいる。
手を繋いでキッチンに立ち、並んでただ鍋を眺める姿はきっと、端から見たらおかしな光景だけど。
じわりじわり、伝わる体温。
同じように君にも伝わってくれたらいい。
‘俺がいるから大丈夫’
その想いが正しく届いて、君の心に溜まった澱をきれいに流してくれますように。
そう願いながら。
凪紗ちゃんの指が、ぎゅっと強く俺の手を握ってから、すぐに緩んだ。
横顔は一瞬だけきつく引き締まって。
何かを決意するように瞳が色づいた。
それから、ふぅ……と息を吐き。
……ふわりと、いつもの微笑み。
カチリと、火を消して。
もう一度。俺に凭れて。
やがてゆっくりと、身体を離した。
「そろそろ……食べましょうか?」
「うん、そうだね」
繋いだままの手をスッと持ち上げて。
凪紗ちゃんの指に、口づけた。
Fin.
(あとがきへ)→
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