鋼の錬金術師×るろうに剣心①

鋭い金属音が闇に響く。

エドは慎重に足を進め、戦いの気配を探る。

(喧嘩にしちゃ、ちょっと真剣すぎるな……)

建物の影に身を潜め、そっと様子をうかがう。

薄暗い小路の奥で、鋭い刃が月光を反射して煌めく。戦っているのは——一人の男と数人の武装した集団。

男の動きは尋常ではなかった。刀を手にしたまま流れるように動き、相手の攻撃を紙一重で避けながら次々と仕留めていく。

(……すげぇな、あいつ)

エドは息をのんだ。剣技には詳しくないが、それでも分かる。あの男の動きには隙がない。まるで、剣そのものが意思を持っているかのような正確さだった。

しかし——

(何かがおかしい……?)

エドの目が鋭くなった。相手が倒れるたびに、鈍い音とともに地面に崩れ落ちる。血の匂いが漂い始めるのを感じて、エドの心臓が強く跳ねた。

この男——人を殺している。

瞬間、エドの中で何かが弾けた。

「おいッ!」

衝動的に声を上げ、エドは影から飛び出した。彼女の金色の瞳が、戦いを終えたばかりの男と真正面からぶつかる。

月明かりの下、静寂が二人を包んだ。

「……あんた、何をしてる」

エドは無意識にその言葉を口にしたが、その瞬間、胸の奥に何かが響くのを感じた。戦いの音、血の匂い、そして刃を振るう男の姿。そのすべてが彼女にとって見知らぬものではなかったからこそ、答えを求める気持ちが強くなった。

(……何が起きた? いや、それよりここはどこだ……?)

瞬間的に周囲を見回し、状況を整理する。見慣れない建物、地面に転がる数人の死体。そして、その中央に立つ一人の男——剣心。

「……っ」

エドの目が鋭くなる。男の刀身には、雨に流されきらない赤黒い血がまとわりついていた。まるで夜の闇に溶けるような、静かで、しかし確実に人の命を刈り取る姿。
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