あなたが猫になったら誰に会いに行きますか?
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ど、どうしよう?!
猫になってしまったファレスターは、部屋の中をぐるぐると歩き回ったが、そんなことをしても何も解決する訳がない。
とにかくこの部屋を出よう。
ファレスターは早速扉を……開けるのは無理なので、窓をなんとかこじ開けて外へと飛び出した。
猫の体だからか、二階から飛び下りても上手く着地出来たファレスター。こういうところは便利だな……と思いながらも、いやいや、まずは自分の体を元に戻す方法を探さなくては、とファレスターが歩き出した時。
「あら、こんなところに猫様」
この声は、とファレスターが見上げると、朝から美しいドレスに身を纏うピーチ。
しかも、ピーチが猫に対しても様付けだったとは、と驚きながらも、今はそんなところではないとファレスターは首を振って叫んだ。
「ピーチ、俺だ! 俺なんだ!」
しかし、ファレスターの口から出てくるのはニャーニャーという鳴き声ばかり。挙句の果てには、ピーチにくすくすと笑われてしまった。
「お喋りなのですわね。わたくしと同じですわ」とピーチは言いながら辺りを見回した。「それにしても、猫様はどちらからいらしましたの? 周りには誰もいませんし、先程からマリオやファレスター様も見当たりませんの」
マリオがどこにいるのかは分からないが、自分は今、猫となってここにいるからな……とファレスターは思いながらも、それを伝える方法が何もない。
思えば、ピーチにこの状況が伝わったとしても、どうやって元に戻すのか検討もつかない。
ここは素直に、マスターハンドに頼んで助けてもらうか、とファレスターがここから立ち去ろうとした時。
「そうだわ、猫様」ピーチは閃いたように切り出した。「一緒にお茶会でもしませんこと? クッキーを焼いたんですのよ」
本当は、マリオとファレスターも誘いたかったのだけれど、とピーチは付け足しながら、これはわたくしたち二人だけの秘密ですわよ、と言われてしまうと、その誘いに乗らざるを得ない。
「ニャー」
ファレスターは猫のフリをしながら……いや、体は猫なんだけども……ピーチの後をついて、よく陽の当たる中庭に置いてある丸いテーブルの元へ向かった。
そこにはすでに、ピーチが焼いたのだろうプレーンクッキーの入ったバスケットが置いてある。
ファレスターはテーブルの上に飛び乗り、出来るだけ姿勢を正して、ピーチがクッキーを食べやすいように割ってくれているのを眺めた。
「どうぞ、素敵な猫様♪」
そう言って、ピーチはファレスターの足元に割ったクッキーを置いた。
猫の体でクッキーを食べることに違和感を抱きながら、なんとか一口食べると、ふわりと甘い香りが広がって感動した。
「ふふ、気に入ってくれたかしら、ファレスター様?」
「とても美味しいよ、ピーチ……あれ?」
ピーチの呼びかけに答えたファレスターだったが、それは猫の鳴き声ではなく、人間の言葉だったので驚いた。
ファレスターはおそるおそる自分の体を見回した。
どこもかしこも人間の体に戻っている……!
「え……俺、元に戻、った……?」なんでなのか分からないが、ファレスターの体は人間の姿に戻っていたのだ!「わぁ、ありがとう、ピーチ! これは、なんと礼をしたらいいか……」
ファレスターはピーチの両手を取りながら、精一杯感謝を伝えようとした。
「よく分かりませんが、ファレスター様の力になれてよかったですわ♪」
ピーチもにこやかに笑って一緒に喜んでくれた。なのだが。
「そこの者、王家の前でなにゆえ醜態を晒している」
凛とした声が背後から飛ぶ。
これはもしや、とファレスターが振り向けば。
「誰かと思えばファレスターじゃないか。なんだ、裸体でピーチの前に立っているとは……」
「ウォ、ウォーリア、さん……」
ただならぬ様子で近付いてくるウォル。今よく見れば、自分は裸だったのだとファレスターは気付いた。
「ウォルさん、これには、訳があ……」
「事情は後で聞こう」
「ウォ、ウォルさん?!」
ファレスターは間もなく、ウォルに担がれてしまった。
その後、誤解を解いたウォルのおかげで、ファレスターは誰にも見つからずに自室へ戻って着替えることに成功したのだが、ピーチがファレスターの裸姿を見てもあまり動揺していないことが妙に引っ掛かっていた。
(もしかして俺、男として見られていない、のか……?)
もしかしたら、王家の一人として、男の裸体への耐性をつけるためにあんなことやこんなことを見る訓練をしていたり……? とファレスターは想像をしたが、いや、あの純粋なピーチがまさか……と思い留まることにした。
後日、ピーチと会っても普通に会話をしてくれたし、ファレスターが裸体で歩き回っていたという話も屋敷内に広がることもなかったのだが、それでもやはり、なぜあの瞬間、猫から元の姿に戻ったのかは分からないままだった。
そのことについてファレスターが訊ねると、くすくすと笑って、ピーチはこう答えた。
「あのクッキーには、特別な魔法を掛けていたのよ? だから元に戻ったのかもしれませんわ♪」
「それって、隠し味とか?」
「さぁ、どうかしらね?」
やはりピーチは、掴めない女性だ。
猫になってしまったファレスターは、部屋の中をぐるぐると歩き回ったが、そんなことをしても何も解決する訳がない。
とにかくこの部屋を出よう。
ファレスターは早速扉を……開けるのは無理なので、窓をなんとかこじ開けて外へと飛び出した。
猫の体だからか、二階から飛び下りても上手く着地出来たファレスター。こういうところは便利だな……と思いながらも、いやいや、まずは自分の体を元に戻す方法を探さなくては、とファレスターが歩き出した時。
「あら、こんなところに猫様」
この声は、とファレスターが見上げると、朝から美しいドレスに身を纏うピーチ。
しかも、ピーチが猫に対しても様付けだったとは、と驚きながらも、今はそんなところではないとファレスターは首を振って叫んだ。
「ピーチ、俺だ! 俺なんだ!」
しかし、ファレスターの口から出てくるのはニャーニャーという鳴き声ばかり。挙句の果てには、ピーチにくすくすと笑われてしまった。
「お喋りなのですわね。わたくしと同じですわ」とピーチは言いながら辺りを見回した。「それにしても、猫様はどちらからいらしましたの? 周りには誰もいませんし、先程からマリオやファレスター様も見当たりませんの」
マリオがどこにいるのかは分からないが、自分は今、猫となってここにいるからな……とファレスターは思いながらも、それを伝える方法が何もない。
思えば、ピーチにこの状況が伝わったとしても、どうやって元に戻すのか検討もつかない。
ここは素直に、マスターハンドに頼んで助けてもらうか、とファレスターがここから立ち去ろうとした時。
「そうだわ、猫様」ピーチは閃いたように切り出した。「一緒にお茶会でもしませんこと? クッキーを焼いたんですのよ」
本当は、マリオとファレスターも誘いたかったのだけれど、とピーチは付け足しながら、これはわたくしたち二人だけの秘密ですわよ、と言われてしまうと、その誘いに乗らざるを得ない。
「ニャー」
ファレスターは猫のフリをしながら……いや、体は猫なんだけども……ピーチの後をついて、よく陽の当たる中庭に置いてある丸いテーブルの元へ向かった。
そこにはすでに、ピーチが焼いたのだろうプレーンクッキーの入ったバスケットが置いてある。
ファレスターはテーブルの上に飛び乗り、出来るだけ姿勢を正して、ピーチがクッキーを食べやすいように割ってくれているのを眺めた。
「どうぞ、素敵な猫様♪」
そう言って、ピーチはファレスターの足元に割ったクッキーを置いた。
猫の体でクッキーを食べることに違和感を抱きながら、なんとか一口食べると、ふわりと甘い香りが広がって感動した。
「ふふ、気に入ってくれたかしら、ファレスター様?」
「とても美味しいよ、ピーチ……あれ?」
ピーチの呼びかけに答えたファレスターだったが、それは猫の鳴き声ではなく、人間の言葉だったので驚いた。
ファレスターはおそるおそる自分の体を見回した。
どこもかしこも人間の体に戻っている……!
「え……俺、元に戻、った……?」なんでなのか分からないが、ファレスターの体は人間の姿に戻っていたのだ!「わぁ、ありがとう、ピーチ! これは、なんと礼をしたらいいか……」
ファレスターはピーチの両手を取りながら、精一杯感謝を伝えようとした。
「よく分かりませんが、ファレスター様の力になれてよかったですわ♪」
ピーチもにこやかに笑って一緒に喜んでくれた。なのだが。
「そこの者、王家の前でなにゆえ醜態を晒している」
凛とした声が背後から飛ぶ。
これはもしや、とファレスターが振り向けば。
「誰かと思えばファレスターじゃないか。なんだ、裸体でピーチの前に立っているとは……」
「ウォ、ウォーリア、さん……」
ただならぬ様子で近付いてくるウォル。今よく見れば、自分は裸だったのだとファレスターは気付いた。
「ウォルさん、これには、訳があ……」
「事情は後で聞こう」
「ウォ、ウォルさん?!」
ファレスターは間もなく、ウォルに担がれてしまった。
その後、誤解を解いたウォルのおかげで、ファレスターは誰にも見つからずに自室へ戻って着替えることに成功したのだが、ピーチがファレスターの裸姿を見てもあまり動揺していないことが妙に引っ掛かっていた。
(もしかして俺、男として見られていない、のか……?)
もしかしたら、王家の一人として、男の裸体への耐性をつけるためにあんなことやこんなことを見る訓練をしていたり……? とファレスターは想像をしたが、いや、あの純粋なピーチがまさか……と思い留まることにした。
後日、ピーチと会っても普通に会話をしてくれたし、ファレスターが裸体で歩き回っていたという話も屋敷内に広がることもなかったのだが、それでもやはり、なぜあの瞬間、猫から元の姿に戻ったのかは分からないままだった。
そのことについてファレスターが訊ねると、くすくすと笑って、ピーチはこう答えた。
「あのクッキーには、特別な魔法を掛けていたのよ? だから元に戻ったのかもしれませんわ♪」
「それって、隠し味とか?」
「さぁ、どうかしらね?」
やはりピーチは、掴めない女性だ。