あなたが猫になったら誰に会いに行きますか?
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ど、どうしよう?!
猫になってしまったファレスターは、部屋の中をぐるぐると歩き回り、ふと思いついたのが、ウォルの姿だった。
ウォーリア·オブ·ライト……みんなの導きともなる、その眩しくて真っ直ぐな彼なら、すぐに自分のことを見抜いてくれそうだ。
ファレスターは早速扉を……開けるのは無理なので、窓をなんとかこじ開けて外へと飛び出した。
猫の体だからか、二階から飛び下りても上手く着地出来たファレスター。こういうところは便利だな……と思いながらも、いやいや、まずは自分の体を元に戻す方法を探さなくては、と歩き出したが。
ウォルさんって、いつもどこで何をしているのだろう?
普段は、屋敷内を見回りしていて、廊下ではよく会っていた。だが、それ以外にじっとしている姿をイメージ出来ず、ファレスターは、ウォルを探すのはやめようかな……と思い始めた。
「何をしている、そんなところで」
まさか、この声は……。
「猫か」
ウォルさんだ……!
「ウォルさん、私です、どうか助けて下さい……!」
ファレスターは必死に助けを求めようと叫ぶが、出てくるのはニャーニャーという鳴き声ばかり。
兜に包まれて表情の読みにくいウォルが、ファレスターの前で片膝をついたが、それでも何を考えているのか分かりにくい。
ウォルはファレスターの両脇に手を伸ばし、そのまま持ち上げた。
やはり、ウォルはきれいな顔をしている。まつ毛も長い。
とついついうっとりと眺めてしまったが、いやいや、今はこの状況をなんとかしよう、とファレスターが考え始めた時。
「ファレスター、なぜそのような姿をしているんだ」
はい……?
真っ直ぐとした瞳でこちらを見つめるウォル。冗談を言う性格ではない。しかし、だとしたらなぜすぐ見破って……?
「ファレスター、自ら望んでその姿になったのか?」
よく分からないが、どうやらウォルはファレスターのことを見抜けているらしい。ファレスターはまず、ウォルの質問に答えようとして、首を振った。
その動作は、犬や猫が水などに掛かった時にやるぶるっと体を震わせるものだったが、ウォルはそうか、と短く返事をして立ち上がった。
「ならば、元に戻る方法を探そう」
そう言いながら、猫のファレスターを胸の前で横抱きするウォル。
ウォルが鎧を着ていてよかった! でないと、ドキドキしているのがバレていたかもしれないのだから。
「うむ……」ウォルは歩き出した。「マスターハンドは、今日は不在とのことだ。クレイジーハンドは、探すのは容易ではないな」
この状況は、絶対マスターハンドの仕業なのだろうとファレスターは思ったが、まずは自分のことを解決しなくてはいけない。ファレスターは、ウォルの向かっている先を見やった。
向かった先は、医務室……?
「誰かいるか」
ウォルが淡々と言葉を発しながら、医務室に呼び掛ける。
「はいはい、いるわよ。次はどんな怪我かしら?」
返事をしたのは、エミリーだった。
「怪我ではない」とウォルは答えながら、エミリーのいる机まで近付いた。「ファレスターが猫になった。治し方を知っているか」
「はい?」
当然の反応である。ましてやウォルがそんなことを言うものだから、ますます混乱するだろう。
「これだ。ファレスターだ」
とウォルはファレスターを抱えてエミリーに診てもらおうとした。だが、エミリーはやれやれと頭を抱えた。
「私は動物は専門外よ。他を当たってちょうだい」
それもそうである。エミリーは医師であって、獣医ではない。
「そうか、分かった」
ウォルはエミリーにそれ以上言うこともないまま、さっさと医務室を出て行った。確かに自分も、真っ先にエミリーに頼りに行っちゃうかもな、とファレスターも考えたが、そんな頼みの綱すらダメだった今、一体誰に助けてもらえるのだろうか。
それからもウォルは、レストやフレイに会いに行ったり、バッツに相談したりもしたが、手立てはなし。
「へぇ、ファレスターが? ってことは今なら体を触り放題ってことか……?」
ジタンにはセクハラをされそうになり、ファレスターは慌ててウォルに飛びついて事なきを得た。
そんなこんなで夜となってしまい、ウォルはファレスターの部屋へ向かった。
「手立てはまた明日考えよう。何か方法があるはずだ」
ウォルは全く諦めていなかった。部屋の入口でファレスターを丁寧に下ろし、片膝をついて目線を合わせてくれた。
「美しい君の姿が見えないのは少々残念だが……今はこれで許して欲しい」
「ニャ……?」
今まで暗い発言なんて一切しなかったウォルがそう言いながら、ファレスターの猫の手を取り、その甲に唇を落とした。
ま、まさか、それって、キ、キス……?
「ウォ、ウォ、ウォーリアさん?!?!」
ファレスターが叫んだ瞬間、それが人間の言葉となって発せられていたことに気が付いた。
「ファレスター」
表情にほとんど変わりのないウォルが、目の前でわずかに微笑んだ気がした。
「も、元に戻った……!」
ファレスターはその場でバンザイをした。ウォルはその隙に素早く立ち上がり、部屋にあった布団を引っ張り出してきてファレスターに掛けた。
ファレスターは、自分が裸だったことに気が付いて顔に熱を帯びたことを自覚したが、布団に隠れてウォルにはバレていないようだ。
「よかったな、ファレスター。これで明日、君はいつも通り過ごせるだろう」ウォルは冷静に言葉を続けた。「私は、君を猫に変えた人物を探すとしよう。君はもう休むがいい」
「は、はい……」
高鳴る鼓動が、裸への羞恥だけではないことに気付こうとしながら。
ファレスターは自分の手の甲に、唇を当てた。
猫になってしまったファレスターは、部屋の中をぐるぐると歩き回り、ふと思いついたのが、ウォルの姿だった。
ウォーリア·オブ·ライト……みんなの導きともなる、その眩しくて真っ直ぐな彼なら、すぐに自分のことを見抜いてくれそうだ。
ファレスターは早速扉を……開けるのは無理なので、窓をなんとかこじ開けて外へと飛び出した。
猫の体だからか、二階から飛び下りても上手く着地出来たファレスター。こういうところは便利だな……と思いながらも、いやいや、まずは自分の体を元に戻す方法を探さなくては、と歩き出したが。
ウォルさんって、いつもどこで何をしているのだろう?
普段は、屋敷内を見回りしていて、廊下ではよく会っていた。だが、それ以外にじっとしている姿をイメージ出来ず、ファレスターは、ウォルを探すのはやめようかな……と思い始めた。
「何をしている、そんなところで」
まさか、この声は……。
「猫か」
ウォルさんだ……!
「ウォルさん、私です、どうか助けて下さい……!」
ファレスターは必死に助けを求めようと叫ぶが、出てくるのはニャーニャーという鳴き声ばかり。
兜に包まれて表情の読みにくいウォルが、ファレスターの前で片膝をついたが、それでも何を考えているのか分かりにくい。
ウォルはファレスターの両脇に手を伸ばし、そのまま持ち上げた。
やはり、ウォルはきれいな顔をしている。まつ毛も長い。
とついついうっとりと眺めてしまったが、いやいや、今はこの状況をなんとかしよう、とファレスターが考え始めた時。
「ファレスター、なぜそのような姿をしているんだ」
はい……?
真っ直ぐとした瞳でこちらを見つめるウォル。冗談を言う性格ではない。しかし、だとしたらなぜすぐ見破って……?
「ファレスター、自ら望んでその姿になったのか?」
よく分からないが、どうやらウォルはファレスターのことを見抜けているらしい。ファレスターはまず、ウォルの質問に答えようとして、首を振った。
その動作は、犬や猫が水などに掛かった時にやるぶるっと体を震わせるものだったが、ウォルはそうか、と短く返事をして立ち上がった。
「ならば、元に戻る方法を探そう」
そう言いながら、猫のファレスターを胸の前で横抱きするウォル。
ウォルが鎧を着ていてよかった! でないと、ドキドキしているのがバレていたかもしれないのだから。
「うむ……」ウォルは歩き出した。「マスターハンドは、今日は不在とのことだ。クレイジーハンドは、探すのは容易ではないな」
この状況は、絶対マスターハンドの仕業なのだろうとファレスターは思ったが、まずは自分のことを解決しなくてはいけない。ファレスターは、ウォルの向かっている先を見やった。
向かった先は、医務室……?
「誰かいるか」
ウォルが淡々と言葉を発しながら、医務室に呼び掛ける。
「はいはい、いるわよ。次はどんな怪我かしら?」
返事をしたのは、エミリーだった。
「怪我ではない」とウォルは答えながら、エミリーのいる机まで近付いた。「ファレスターが猫になった。治し方を知っているか」
「はい?」
当然の反応である。ましてやウォルがそんなことを言うものだから、ますます混乱するだろう。
「これだ。ファレスターだ」
とウォルはファレスターを抱えてエミリーに診てもらおうとした。だが、エミリーはやれやれと頭を抱えた。
「私は動物は専門外よ。他を当たってちょうだい」
それもそうである。エミリーは医師であって、獣医ではない。
「そうか、分かった」
ウォルはエミリーにそれ以上言うこともないまま、さっさと医務室を出て行った。確かに自分も、真っ先にエミリーに頼りに行っちゃうかもな、とファレスターも考えたが、そんな頼みの綱すらダメだった今、一体誰に助けてもらえるのだろうか。
それからもウォルは、レストやフレイに会いに行ったり、バッツに相談したりもしたが、手立てはなし。
「へぇ、ファレスターが? ってことは今なら体を触り放題ってことか……?」
ジタンにはセクハラをされそうになり、ファレスターは慌ててウォルに飛びついて事なきを得た。
そんなこんなで夜となってしまい、ウォルはファレスターの部屋へ向かった。
「手立てはまた明日考えよう。何か方法があるはずだ」
ウォルは全く諦めていなかった。部屋の入口でファレスターを丁寧に下ろし、片膝をついて目線を合わせてくれた。
「美しい君の姿が見えないのは少々残念だが……今はこれで許して欲しい」
「ニャ……?」
今まで暗い発言なんて一切しなかったウォルがそう言いながら、ファレスターの猫の手を取り、その甲に唇を落とした。
ま、まさか、それって、キ、キス……?
「ウォ、ウォ、ウォーリアさん?!?!」
ファレスターが叫んだ瞬間、それが人間の言葉となって発せられていたことに気が付いた。
「ファレスター」
表情にほとんど変わりのないウォルが、目の前でわずかに微笑んだ気がした。
「も、元に戻った……!」
ファレスターはその場でバンザイをした。ウォルはその隙に素早く立ち上がり、部屋にあった布団を引っ張り出してきてファレスターに掛けた。
ファレスターは、自分が裸だったことに気が付いて顔に熱を帯びたことを自覚したが、布団に隠れてウォルにはバレていないようだ。
「よかったな、ファレスター。これで明日、君はいつも通り過ごせるだろう」ウォルは冷静に言葉を続けた。「私は、君を猫に変えた人物を探すとしよう。君はもう休むがいい」
「は、はい……」
高鳴る鼓動が、裸への羞恥だけではないことに気付こうとしながら。
ファレスターは自分の手の甲に、唇を当てた。