あなたが猫になったら誰に会いに行きますか?
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ど、どうしよう?!
猫になってしまったファレスターは、部屋の中をぐるぐると歩き回り、ふと思いついたのが、ネロの姿だった。
ネロはいつも厨房に居てくれて、みんなの食事を作ってくれている、頼りになる存在だ。
それに、魔法使いだしなんとかなるのではないか……?
ファレスターは早速扉を……開けるのは無理なので、窓をなんとかこじ開けて外へと飛び出した。
猫の体だからか、二階から飛び下りても上手く着地出来たファレスター。こういうところは便利だな……と思いながらも、いやいや、まずは自分の体を元に戻す方法を探さなくては、と厨房へ向かった。
厨房は、屋敷に囲われたように出来た庭から渡り廊下をくぐった先の、裏庭から入ることが出来る。
まだ朝早いからか、他の人はいない。
しかし、裏庭へ近付くと、美味しそうな匂いがしてきてファレスターは思わず足を止めてしまった。
ガチャリ……。
そうこうしている内に、厨房の裏口の扉が開いた。
「えっと、ハーブあったかなっと……」
ネロだ!
(助けて、ネロ……!)
どうやら裏庭の畑でハーブを探しに来たらしいネロの前に、ファレスターは必死な思いで飛び出した。
「お……こんなところに猫か……?」
ネロはすぐに気付き、猫の私と目を合わせる。
「私なの、ネロ……! 気付いて……!」
とファレスターはそう叫んだつもりだったが、口から出てくるのはニャーニャーばかりで、思ったように言葉が出ない。
「なんだ? よく喋る猫だな」ネロはその場でしゃがんだ。「あんた、きれいな毛並みをしているな」
そう言いながら、ネロはファレスターの頭から頬へ、顎下までと撫でてくれた。
き、気持ちいい……。
あの大きなごつごつとした手とは思えない程の丁寧な手つきに、ファレスターはうっとりしてしまったが。
(違う違う……! 今は助けて欲しいの、ネロ……!)
ファレスターはなんとかネロの手を振り払おうとしたが、同時にネロも立ち上がり、自然と手も離れてしまった。
「腹減ってるのか? 丁度よかった。作り過ぎたからあんたにもやるよ」
ち、違う……!
ファレスターは首を振ったつもりだが、猫特有のぶるぶる体を震わせる動作となり、ネロには伝わらないまま厨房へと戻って行ってしまった。
どうしようと、落ち込むファレスター。誰か別の人に助けを求めようか、とも考えたが、あのネロの手で毎回あんなふうに撫でてもらえるならこのままでも……と思ってからやめた。これではずっと、ネロと話すことが出来ないではないか。
よし、別の方法でこちらの意思を伝える方法を考えよう、とファレスターが思い立った矢先、それはやって来た。
「お腹空いたポヨ〜」
この声は……。
振り向くと、やはりというか、裏庭にカービィがやって来ていた。カービィはよく、お腹が空くと裏庭にやって来て畑を荒らすと、ネロが頭を抱えていたのをファレスターは思い出していた。
今は猫の姿だけれど、ネロへのいつもの恩返しである。カービィを裏庭から追い払おうとファレスターは飛び出した。
「ニャァアアア!!」
ファレスターは大声を出しながらカービィの前へ立ちはだかった。我ながら、上出来な威嚇の声が出せたと思った。
「ポヨ……? なんでここにファレスターがいるポヨ?」
はい……?
カービィが畑を丸ごと吸い込むことを防げたはいいが、今さっきなんて言われた……?
「おい、カービィ! 畑を荒らしたら飯抜きにするぞ……って、あれ?」
そこに、ネロが戻ってきた。だが、荒れていない畑や、向かい合うファレスターとカービィを見て一瞬立ち尽くした。
「おい、どういうことだ……?」
ネロはおそるおそる訊ねた。
「お腹空いたからここら辺の物食べようとしたら、ファレスターそっくりの猫がいたポヨ〜」
ネロの緊迫とした声とは裏腹に、カービィは呑気な声で答える。
なんだ、カービィは猫が私にそっくりだったから言い間違えたのか……って、そんなに似てる、のかな……?
「ハハッ、ファレスターか。確かに、ファレスターもこんな感じできれいな髪だし……」
ネロは軽く笑いながら、またファレスターの頬を撫でた。とても心地よくついうっとりしてしまうが、ネロがふと言葉を切って手を止めた。
「もしかして……」
「……?」
ネロを見上げると、意味深そうな瞳でファレスターをみつめた。
「ネロ?」
後ろのカービィも、不思議そうに呼び掛ける。
「俺の思い違いだったらいいが……」
と言うなり、ネロは自分の周囲に、魔法具であるカトラリーを繰り出した。何をするのかとファレスターが見守っていると、次の瞬間、例の文句を唱えたのだ。
「アドノディス·オムニス」
ネロの詠唱に応じて、キラキラとした光が周りにちらついた。
すると、ファレスターの目線はみるみる内に高くなっていき……。
「え……助か……た……?」
ファレスターの声。
それは紛れもなく、ファレスターの人間の言葉と声だった。
元に戻ったのだ!
「ネロ……ありがとうー!」
ファレスターはネロにいち早く感謝を伝えようと抱きついたが、ネロはさっと視線を逸らして両手を上げた。
「礼には及ばないよ……それよりファレスター……服、着てくれないか……?」
「え、わ……きゃー!!」
後に、カービィに服を持ってきてもらうのだが、ファレスターとネロの関係については、また、別のお話で。
猫になってしまったファレスターは、部屋の中をぐるぐると歩き回り、ふと思いついたのが、ネロの姿だった。
ネロはいつも厨房に居てくれて、みんなの食事を作ってくれている、頼りになる存在だ。
それに、魔法使いだしなんとかなるのではないか……?
ファレスターは早速扉を……開けるのは無理なので、窓をなんとかこじ開けて外へと飛び出した。
猫の体だからか、二階から飛び下りても上手く着地出来たファレスター。こういうところは便利だな……と思いながらも、いやいや、まずは自分の体を元に戻す方法を探さなくては、と厨房へ向かった。
厨房は、屋敷に囲われたように出来た庭から渡り廊下をくぐった先の、裏庭から入ることが出来る。
まだ朝早いからか、他の人はいない。
しかし、裏庭へ近付くと、美味しそうな匂いがしてきてファレスターは思わず足を止めてしまった。
ガチャリ……。
そうこうしている内に、厨房の裏口の扉が開いた。
「えっと、ハーブあったかなっと……」
ネロだ!
(助けて、ネロ……!)
どうやら裏庭の畑でハーブを探しに来たらしいネロの前に、ファレスターは必死な思いで飛び出した。
「お……こんなところに猫か……?」
ネロはすぐに気付き、猫の私と目を合わせる。
「私なの、ネロ……! 気付いて……!」
とファレスターはそう叫んだつもりだったが、口から出てくるのはニャーニャーばかりで、思ったように言葉が出ない。
「なんだ? よく喋る猫だな」ネロはその場でしゃがんだ。「あんた、きれいな毛並みをしているな」
そう言いながら、ネロはファレスターの頭から頬へ、顎下までと撫でてくれた。
き、気持ちいい……。
あの大きなごつごつとした手とは思えない程の丁寧な手つきに、ファレスターはうっとりしてしまったが。
(違う違う……! 今は助けて欲しいの、ネロ……!)
ファレスターはなんとかネロの手を振り払おうとしたが、同時にネロも立ち上がり、自然と手も離れてしまった。
「腹減ってるのか? 丁度よかった。作り過ぎたからあんたにもやるよ」
ち、違う……!
ファレスターは首を振ったつもりだが、猫特有のぶるぶる体を震わせる動作となり、ネロには伝わらないまま厨房へと戻って行ってしまった。
どうしようと、落ち込むファレスター。誰か別の人に助けを求めようか、とも考えたが、あのネロの手で毎回あんなふうに撫でてもらえるならこのままでも……と思ってからやめた。これではずっと、ネロと話すことが出来ないではないか。
よし、別の方法でこちらの意思を伝える方法を考えよう、とファレスターが思い立った矢先、それはやって来た。
「お腹空いたポヨ〜」
この声は……。
振り向くと、やはりというか、裏庭にカービィがやって来ていた。カービィはよく、お腹が空くと裏庭にやって来て畑を荒らすと、ネロが頭を抱えていたのをファレスターは思い出していた。
今は猫の姿だけれど、ネロへのいつもの恩返しである。カービィを裏庭から追い払おうとファレスターは飛び出した。
「ニャァアアア!!」
ファレスターは大声を出しながらカービィの前へ立ちはだかった。我ながら、上出来な威嚇の声が出せたと思った。
「ポヨ……? なんでここにファレスターがいるポヨ?」
はい……?
カービィが畑を丸ごと吸い込むことを防げたはいいが、今さっきなんて言われた……?
「おい、カービィ! 畑を荒らしたら飯抜きにするぞ……って、あれ?」
そこに、ネロが戻ってきた。だが、荒れていない畑や、向かい合うファレスターとカービィを見て一瞬立ち尽くした。
「おい、どういうことだ……?」
ネロはおそるおそる訊ねた。
「お腹空いたからここら辺の物食べようとしたら、ファレスターそっくりの猫がいたポヨ〜」
ネロの緊迫とした声とは裏腹に、カービィは呑気な声で答える。
なんだ、カービィは猫が私にそっくりだったから言い間違えたのか……って、そんなに似てる、のかな……?
「ハハッ、ファレスターか。確かに、ファレスターもこんな感じできれいな髪だし……」
ネロは軽く笑いながら、またファレスターの頬を撫でた。とても心地よくついうっとりしてしまうが、ネロがふと言葉を切って手を止めた。
「もしかして……」
「……?」
ネロを見上げると、意味深そうな瞳でファレスターをみつめた。
「ネロ?」
後ろのカービィも、不思議そうに呼び掛ける。
「俺の思い違いだったらいいが……」
と言うなり、ネロは自分の周囲に、魔法具であるカトラリーを繰り出した。何をするのかとファレスターが見守っていると、次の瞬間、例の文句を唱えたのだ。
「アドノディス·オムニス」
ネロの詠唱に応じて、キラキラとした光が周りにちらついた。
すると、ファレスターの目線はみるみる内に高くなっていき……。
「え……助か……た……?」
ファレスターの声。
それは紛れもなく、ファレスターの人間の言葉と声だった。
元に戻ったのだ!
「ネロ……ありがとうー!」
ファレスターはネロにいち早く感謝を伝えようと抱きついたが、ネロはさっと視線を逸らして両手を上げた。
「礼には及ばないよ……それよりファレスター……服、着てくれないか……?」
「え、わ……きゃー!!」
後に、カービィに服を持ってきてもらうのだが、ファレスターとネロの関係については、また、別のお話で。