あなたが猫になったら誰に会いに行きますか?
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ど、どうしよう?!
猫になってしまったファレスターは、部屋の中をぐるぐると歩き回り、ふと思いついたのが、ガノンドロフの姿だった。
ガノンドロフはあんな感じだが、本当は優しい心を持っている。
それに、大魔王だしなんとかなるのではないか……?
ファレスターは早速扉を……開けるのは無理なので、窓をなんとかこじ開けて外へと飛び出した。
猫の体だからか、二階から飛び下りても上手く着地出来たファレスター。こういうところは便利だな……と思いながらも、いやいや、まずは自分の体を元に戻す方法を探さなくては、と屋上へ向かった。
ガノンドロフがいつもそこにいるとは限らなかったが……今日は、いた。
屋上の目立たないような端で、身を乗り出す訳でもなく、空を……風に当たっていた。
朝の風も、心地いい。
いやいや、今はガノンドロフの後ろ姿に見取れている場合ではないのだ。なんとか目の前のガノンドロフにこの状況を話さなくては、とファレスターが近付くと。
「ワシの背後を取るとはな」
屋上に来てまだ数歩しか歩いていないのに、遠くにいるガノンドロフはこちらに気が付いて振り向いた。
距離がかなりあるというのに、ガノンドロフの声がよく通った。
「ガノンドロフ、私なの! 猫になっちゃったの!」
ファレスターは必死に言ったつもりだったが、口から出てくるのはニャーニャーという鳴き声ばかり。
そうこうしている内に、ガノンドロフはマントをはためかせ、カツカツと近付いてきた。
いきなり蹴り飛ばすことはないんだと思うけど……こうして低い猫の目線から見上げたガノンドロフはほぼ壁で、圧倒感があった。
「ニャ、ニャー……」
思わず媚を売るような鳴き声を発してしまうファレスター。逆光も相まって、怒っているのかどうか分からない。
「……猫だと? あのマスターハンドらめ、ネズミも通さぬバリアを張っていたのではなかったのか」
とうとう間近に近付いた時、ガノンドロフはファレスターの目の前で跪いた。
あの体の大きなガノンドロフが、わざわざ目線の高さを合わせてくれているのは本当に珍しく、つい見取れてしまっていると……。
「ンニャ……?」
なんとガノンドロフは、ファレスターの首根っこを掴んで持ち上げたのだ!
(ガノンドロフ、そんな持ち方はやめて……!)
ファレスターは、今自分が猫の体とはいえ、この持ち方は恥ずかしかった。
しかし、猫というのはこの抱え方が落ち着くらしく、ファレスターは一切の抵抗も出来ないまま、向かった先は……え、謝必安と范無咎の部屋……?
「おい、いるんだろう、出てこい」
ガノンドロフはまだ朝だというのに、彼らの部屋の扉を乱暴に叩いて呼び出した。しかし、返事はすぐにあった。
「フンッ、その声はガノンドロフか」これは、范無咎の声だ。「待ってろ、今謝必安を呼ぶ」
「いや、貴様でもいい」ガノンドロフが言った。「ワシはこいつを渡すだけでいいからな」
わ、渡す……?
もしかして今自分はガノンドロフにとって厄介者で、早く手放したいと考えている……?
ちょっとショックを受けてるファレスターの前で、間もなく扉が開いた。出てきたのは、謝必安だった。
「貴様が出てきたのか」
「ええ……面倒事を押し付けるのはごめんだ、と」それから、謝必安はファレスターへ目を向けた。「おや、珍しいですね」
謝必安がファレスターを目で指しながらそう言った。
「これをどうしたらいいか分からん」
ガノンドロフはファレスターをつまみ上げたまま、謝必安に押し付けようとした。
「猫なんて私も分かりませんよ?」
「ワシもだ」とガノンドロフは言った。「ファレスターが猫になっている」
へ……?
なぜ分かったのか。分からないまま謝必安をみつめると、なるほど、とガノンドロフの発言を否定することなくファレスターをみつめた。
猫になってしまったファレスターは、部屋の中をぐるぐると歩き回り、ふと思いついたのが、ガノンドロフの姿だった。
ガノンドロフはあんな感じだが、本当は優しい心を持っている。
それに、大魔王だしなんとかなるのではないか……?
ファレスターは早速扉を……開けるのは無理なので、窓をなんとかこじ開けて外へと飛び出した。
猫の体だからか、二階から飛び下りても上手く着地出来たファレスター。こういうところは便利だな……と思いながらも、いやいや、まずは自分の体を元に戻す方法を探さなくては、と屋上へ向かった。
ガノンドロフがいつもそこにいるとは限らなかったが……今日は、いた。
屋上の目立たないような端で、身を乗り出す訳でもなく、空を……風に当たっていた。
朝の風も、心地いい。
いやいや、今はガノンドロフの後ろ姿に見取れている場合ではないのだ。なんとか目の前のガノンドロフにこの状況を話さなくては、とファレスターが近付くと。
「ワシの背後を取るとはな」
屋上に来てまだ数歩しか歩いていないのに、遠くにいるガノンドロフはこちらに気が付いて振り向いた。
距離がかなりあるというのに、ガノンドロフの声がよく通った。
「ガノンドロフ、私なの! 猫になっちゃったの!」
ファレスターは必死に言ったつもりだったが、口から出てくるのはニャーニャーという鳴き声ばかり。
そうこうしている内に、ガノンドロフはマントをはためかせ、カツカツと近付いてきた。
いきなり蹴り飛ばすことはないんだと思うけど……こうして低い猫の目線から見上げたガノンドロフはほぼ壁で、圧倒感があった。
「ニャ、ニャー……」
思わず媚を売るような鳴き声を発してしまうファレスター。逆光も相まって、怒っているのかどうか分からない。
「……猫だと? あのマスターハンドらめ、ネズミも通さぬバリアを張っていたのではなかったのか」
とうとう間近に近付いた時、ガノンドロフはファレスターの目の前で跪いた。
あの体の大きなガノンドロフが、わざわざ目線の高さを合わせてくれているのは本当に珍しく、つい見取れてしまっていると……。
「ンニャ……?」
なんとガノンドロフは、ファレスターの首根っこを掴んで持ち上げたのだ!
(ガノンドロフ、そんな持ち方はやめて……!)
ファレスターは、今自分が猫の体とはいえ、この持ち方は恥ずかしかった。
しかし、猫というのはこの抱え方が落ち着くらしく、ファレスターは一切の抵抗も出来ないまま、向かった先は……え、謝必安と范無咎の部屋……?
「おい、いるんだろう、出てこい」
ガノンドロフはまだ朝だというのに、彼らの部屋の扉を乱暴に叩いて呼び出した。しかし、返事はすぐにあった。
「フンッ、その声はガノンドロフか」これは、范無咎の声だ。「待ってろ、今謝必安を呼ぶ」
「いや、貴様でもいい」ガノンドロフが言った。「ワシはこいつを渡すだけでいいからな」
わ、渡す……?
もしかして今自分はガノンドロフにとって厄介者で、早く手放したいと考えている……?
ちょっとショックを受けてるファレスターの前で、間もなく扉が開いた。出てきたのは、謝必安だった。
「貴様が出てきたのか」
「ええ……面倒事を押し付けるのはごめんだ、と」それから、謝必安はファレスターへ目を向けた。「おや、珍しいですね」
謝必安がファレスターを目で指しながらそう言った。
「これをどうしたらいいか分からん」
ガノンドロフはファレスターをつまみ上げたまま、謝必安に押し付けようとした。
「猫なんて私も分かりませんよ?」
「ワシもだ」とガノンドロフは言った。「ファレスターが猫になっている」
へ……?
なぜ分かったのか。分からないまま謝必安をみつめると、なるほど、とガノンドロフの発言を否定することなくファレスターをみつめた。
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