あなたが猫になったら誰に会いに行きますか?
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ど、どうしよう?! とファレスターが部屋中を歩き回っていると、ドンドンドン! と激しいノック音が。
「ファレスターさん、いますか?!」
これは、シュルクの声……?
「います! 今猫の体でドアを開けられなくて……!」
とファレスターは叫んだが、口から出てくるのはニャーニャーという鳴き声ばかり。
「ファレスターさん、そこにいるんですよね?! 今扉を開けますから離れてて下さい!」と言ったかと思えば、シュルクのあの声が飛んできた。「ぶっ飛ばす!!」
ちょっと待ってちょっと待って!
シュルクが何をしようとしているのか理解し、ファレスターは素早く扉から離れた。
と同時に、扉は大きな音を立てて激しく吹き飛んだ……。
(あとで修理頼まなきゃな……)
なんてのんきにファレスターが考えていると、慌てた様子のシュルクが部屋に入って来た。
「ファレスターさん! ファレスターさん!」
シュルクは、足元にいるファレスターに気付かないままキョロキョロして名前を何度も呼ぶ。
「ここだよ、シュルク! 猫になっちゃったの!」
ファレスターはニャーニャー鳴きながら叫ぶと、ようやく息を整え始めたシュルクの視界に入ることが出来た。
「ああ、猫……!」シュルクはすぐに猫のファレスターに目線を合わせた。「ファレスターさんが猫になるビジョンが見えていたのに……手遅れだったんでしょうか……?」
え……?
シュルクがぶつぶつと何か考えている目の前で、ファレスターは頭の中を整理しようとした。
つまりシュルクは、ファレスターが猫になることを知っていた……?
「ニャ、ニャー……?」
ファレスターがそっとシュルクの顔を覗き込む。シュルクの空みたいな瞳と視線が重なった。
その瞳が、次の瞬間、閃いたように輝いた。
「これはなかなかない事例です! 早速レポートにしましょう!」とシュルクは言った。「あ、もちろんファレスターさんが元に戻る方法も模索しますので安心してください!」
何か、嫌な予感がする……。
そんな心境に気付くはずもないシュルクが、少しウキウキした様子でファレスターを抱えて向かった先は、研究室だった。
研究室は、研究者だけでなく、開発や大工が得意な人たちがよくいる、機械や材料が多くある広い部屋だ。
「ねぇ、シュルク、痛いことはしないでよね……?」
とファレスターはおそるおそるお願いするも、やはりニャーという声が出るばかりだ。
「バルクさん、大変なんだ! ファレスターさんが……!」
シュルクが真っ先に頼りにしたのは、どうやら蒸気で動くなんかの機械らしい前で作業をしていたバルクだった。
「またお前さんか! なんでもかんでもワシに頼るなと言ってるだろうが!」
バルクは怒っていた。いつも怒っていることはないはずなのだが、この若造……つまりシュルクにいたっては苦労しているようで、態度が違う。
「だけど……! バルクさんならこの事例に興味を持つはずです!」一方のシュルクは、バルクの心境を気にすることなく話し続けた。「これです! 猫になってしまったファレスターさんです!」
「ニャ、ニャー……」
言葉の通じない今、返事の代わりに鳴いてみたファレスターだったが、バルクの怒りに油を注ぐだけだった。
「何を戯けたことを! 人間が猫になった証明もない癖に、ふざけたことを言うな!」
「でも、ほんとなんです、バルクさん! 僕はビジョンで見て……」
「分かっておる……お前さんの魔法のような力はな」今度は諦めたように声のトーンを落として話すバルク。「じゃが、それはワシの専門ではない。魔法使い共に頼むことじゃな。ワシは忙しい」
「バルクさん……」
それでもシュルクは何かを言おうとしたが、まるで遮るように謎の機械から蒸気が噴き出し、それの作業をしに戻ったバルクの耳に、もうこちらの声は聞こえなくなったようだった。
この状況、シュルクは落ち込んでいるのだろうかとファレスターがおそるおそる見上げれば、そうではなかった。
「なら、僕がみつけるしかありませんね!」シュルクの目はどこかキラキラしていた。「一緒に頑張りましょう、ファレスターさん!」
「ニャー……?」
痛いことはしないで欲しいなぁ、とファレスターは言ったつもりだったが、果たしてシュルクに伝わったのか、様々な実験をし始めた。
まず、ファレスターを小さなカプセルに入れて体内検査。高性能な機械のおかげで、体は中から猫そのものらしいと分かり、人間と思える形跡は一つもなかったらしい。
そして、注射をされて血液検査、心音の検査……など諸々健康チェックをされた後、その実験は始まった。
その実験は様々で、水に泳がせてみたり体に色を塗ってみたりと、一見意味のなさそうなことから、どこまで出来てどこまで出来ないのかという検査で、高いところから落とされたり体を反転させられたりとしていた。
どうやらそれで、普通の猫と違う穴を見つけようとしたらしいのだが……。
「シュルク、もうやめて……目が回る……」
意味の分からないことばかりやらされて何時間経ったのか、ファレスターがなんとかそう言った時だった。
「あれ、ファレスターさん……」カプセルの奥でシュルクがじっとこちらをみつめた。「いつの間に元に戻ったんですか……?!」
「へ……?」
ファレスターは自分の体を見回した。手も足も、人間の体に戻っていたのだ!
「わ、私、戻ってる……! ありがとう、シュルク……!」
「はい! それより、服を着た方がいいですよ」
「え、あ……きゃああああ!」
のちに、勢いでファレスターがシュルクにビンタをしてしまったことは、言うまでもない。
「ファレスターさん、いますか?!」
これは、シュルクの声……?
「います! 今猫の体でドアを開けられなくて……!」
とファレスターは叫んだが、口から出てくるのはニャーニャーという鳴き声ばかり。
「ファレスターさん、そこにいるんですよね?! 今扉を開けますから離れてて下さい!」と言ったかと思えば、シュルクのあの声が飛んできた。「ぶっ飛ばす!!」
ちょっと待ってちょっと待って!
シュルクが何をしようとしているのか理解し、ファレスターは素早く扉から離れた。
と同時に、扉は大きな音を立てて激しく吹き飛んだ……。
(あとで修理頼まなきゃな……)
なんてのんきにファレスターが考えていると、慌てた様子のシュルクが部屋に入って来た。
「ファレスターさん! ファレスターさん!」
シュルクは、足元にいるファレスターに気付かないままキョロキョロして名前を何度も呼ぶ。
「ここだよ、シュルク! 猫になっちゃったの!」
ファレスターはニャーニャー鳴きながら叫ぶと、ようやく息を整え始めたシュルクの視界に入ることが出来た。
「ああ、猫……!」シュルクはすぐに猫のファレスターに目線を合わせた。「ファレスターさんが猫になるビジョンが見えていたのに……手遅れだったんでしょうか……?」
え……?
シュルクがぶつぶつと何か考えている目の前で、ファレスターは頭の中を整理しようとした。
つまりシュルクは、ファレスターが猫になることを知っていた……?
「ニャ、ニャー……?」
ファレスターがそっとシュルクの顔を覗き込む。シュルクの空みたいな瞳と視線が重なった。
その瞳が、次の瞬間、閃いたように輝いた。
「これはなかなかない事例です! 早速レポートにしましょう!」とシュルクは言った。「あ、もちろんファレスターさんが元に戻る方法も模索しますので安心してください!」
何か、嫌な予感がする……。
そんな心境に気付くはずもないシュルクが、少しウキウキした様子でファレスターを抱えて向かった先は、研究室だった。
研究室は、研究者だけでなく、開発や大工が得意な人たちがよくいる、機械や材料が多くある広い部屋だ。
「ねぇ、シュルク、痛いことはしないでよね……?」
とファレスターはおそるおそるお願いするも、やはりニャーという声が出るばかりだ。
「バルクさん、大変なんだ! ファレスターさんが……!」
シュルクが真っ先に頼りにしたのは、どうやら蒸気で動くなんかの機械らしい前で作業をしていたバルクだった。
「またお前さんか! なんでもかんでもワシに頼るなと言ってるだろうが!」
バルクは怒っていた。いつも怒っていることはないはずなのだが、この若造……つまりシュルクにいたっては苦労しているようで、態度が違う。
「だけど……! バルクさんならこの事例に興味を持つはずです!」一方のシュルクは、バルクの心境を気にすることなく話し続けた。「これです! 猫になってしまったファレスターさんです!」
「ニャ、ニャー……」
言葉の通じない今、返事の代わりに鳴いてみたファレスターだったが、バルクの怒りに油を注ぐだけだった。
「何を戯けたことを! 人間が猫になった証明もない癖に、ふざけたことを言うな!」
「でも、ほんとなんです、バルクさん! 僕はビジョンで見て……」
「分かっておる……お前さんの魔法のような力はな」今度は諦めたように声のトーンを落として話すバルク。「じゃが、それはワシの専門ではない。魔法使い共に頼むことじゃな。ワシは忙しい」
「バルクさん……」
それでもシュルクは何かを言おうとしたが、まるで遮るように謎の機械から蒸気が噴き出し、それの作業をしに戻ったバルクの耳に、もうこちらの声は聞こえなくなったようだった。
この状況、シュルクは落ち込んでいるのだろうかとファレスターがおそるおそる見上げれば、そうではなかった。
「なら、僕がみつけるしかありませんね!」シュルクの目はどこかキラキラしていた。「一緒に頑張りましょう、ファレスターさん!」
「ニャー……?」
痛いことはしないで欲しいなぁ、とファレスターは言ったつもりだったが、果たしてシュルクに伝わったのか、様々な実験をし始めた。
まず、ファレスターを小さなカプセルに入れて体内検査。高性能な機械のおかげで、体は中から猫そのものらしいと分かり、人間と思える形跡は一つもなかったらしい。
そして、注射をされて血液検査、心音の検査……など諸々健康チェックをされた後、その実験は始まった。
その実験は様々で、水に泳がせてみたり体に色を塗ってみたりと、一見意味のなさそうなことから、どこまで出来てどこまで出来ないのかという検査で、高いところから落とされたり体を反転させられたりとしていた。
どうやらそれで、普通の猫と違う穴を見つけようとしたらしいのだが……。
「シュルク、もうやめて……目が回る……」
意味の分からないことばかりやらされて何時間経ったのか、ファレスターがなんとかそう言った時だった。
「あれ、ファレスターさん……」カプセルの奥でシュルクがじっとこちらをみつめた。「いつの間に元に戻ったんですか……?!」
「へ……?」
ファレスターは自分の体を見回した。手も足も、人間の体に戻っていたのだ!
「わ、私、戻ってる……! ありがとう、シュルク……!」
「はい! それより、服を着た方がいいですよ」
「え、あ……きゃああああ!」
のちに、勢いでファレスターがシュルクにビンタをしてしまったことは、言うまでもない。