あなたが猫になったら誰に会いに行きますか?
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ど、どうしよう?!
猫になってしまったファレスターは、部屋の中をぐるぐると歩き回り、ふと思いついたのが、イライの姿だった。
イライは占い師だし、すぐに見抜いてなんとかしてくれるのではないか……?
ファレスターは早速扉を……開けるのは無理なので、窓をなんとかこじ開けて外へと飛び出した。
猫の体だからか、二階から飛び下りても上手く着地出来たファレスター。こういうところは便利だな……と思いながらも、いやいや、まずは自分の体を元に戻す方法を探さなくては、とイライの部屋へ向かおうとした。
「見つけましたよ、ファレスターさん」
はい……?
ほんの数秒でイライに見つけられるファレスター。
会いたいと思っていた人にこうしてすぐに会えたことは嬉しいことなのだが、イライはさっき、なんて言った……?
「ニャ、ニャー……?」
戸惑いながらも、とりあえずファレスターは鳴いてみた。イライは穏やかに微笑んだ。
「もう分かっています。ファレスターさんは、猫にされてしまったのですね?」
なんというチート並みの天眼か。ファレスターは驚きと感動に頷こうと、激しく首を振った。
「そうなんです、イライさん! どうにかお助けを……!」
とファレスターは必死に叫んだつもりだったが、やはり、言葉にはならず、ニャーニャーと鳴き声ばかりだった。
イライはその度にうんうんと頷き、分かっていますと何度も口にしたが、しかし、と真剣な口調でこう話し始めた。
「私には、残念ながら元の姿に戻す力がありません。私は占い師ですが、魔法使いではありませんから」
と言いながら、イライはファレスターをそっと抱きかかえた。
それもそうだよね、とファレスターが落ち込んだが、希望はあります、とイライはこう続けた。
「ファレスターさんを猫に変えた者のことなら分かっています」とイライは言った。「マスターハンドさんに、会いに行きましょう」
(え……?)
いや、こんな体にしたのは百パーセントマスターハンドのせいだろうが、あのイタズラ好きの彼が、直接会いに行ってすぐ戻してくれるとは思えなかった。
「イライさん、マスターハンドに会いに行くのだけはやめましょう?!」
とファレスターは止めようとしたが、イライに猫の言葉までは通じないらしく、意気揚々と歩くイライに連れて行かれるまま……。
ファレスターとイライは、マスターハンドたちの執務室にやって来た。
「ということなので、ファレスターさんを、元の姿に戻して欲しいんです」
イライは、目の前に座るマスターハンドに、一切億さずことの経緯を話し終えた。
マスターハンドは相変わらず、そっかそっか〜と軽い口調で返事をしながら、突然ぐっと距離を詰めた。
「それじゃあ、ファレスターさんを元の姿に戻すから、僕に渡してくれるかい?」
そのセリフは……とファレスターはマスターハンドに不信感を抱いたが、真上のイライはいたって穏やかな表情だ。
「ファレスターさんを貴方に渡さなくても、今ここで元の姿に戻せますよね? 創造の化身様……?」
畏れを抱きながら敬意を示すことを、畏敬というんだったな、とファレスターは思い出していた。今まさにこのイライの状況を、畏敬の念を持ってマスターハンドと話しているのでは、とファレスターは感じ取った。
「へぇ……」
イライの言葉に、マスターハンドはそれだけしか言わなかった、と思いきや。
「バレちゃ仕方ないな〜……だったらイライくんも、一緒に猫にしてあげるよ♪」
途端に、窓という窓が一気に暗くなった。
よく見れば、マスターハンドが不思議な力で窓を板で塞いだのだと気が付いたが、イライが危険を察知して逃げ出そうとした時には、扉も板で塞がれてしまっていた。
「イライまで猫にしないで……!」
こんなことになるなら、イライに頼らなければよかった、とファレスターは後悔したが時すでに遅し。
イライはマスターハンドを振り向いた。
「さぁ、大人しく僕の言うことに従ってね♪」
軽い口調で、恐ろしいことを言うマスターハンドがそこにいる。
「くっ……!」
何も手立てはないらしく、イライが歯を食いしばっている様子がよく見えた。
この状況をなんとかしなくては……せめて、イライだけでも逃がせたら……。
と、ファレスターが見やった先に、なぜか蓋の外れている排気口があった。
壁についている排気口で、猫の体の今なら、通れる大きさだった。
マスターハンドはじりじりと迫ってきている。
ファレスターは、今しかないと飛び出した……。
「ニャアオ!」
いきなりイライの腕から飛び出したファレスターに、マスターハンドの気は逸れた。
「どこに行くんだい、ファレスターさん?!」
マスターハンドは半回転してファレスターの後を追いかけて来た。ファレスターは我武者羅に、排気口へと駆け込んだ……。
ドンッ、と強い音が響いた。
排気口へ飛び込んだファレスターがおそるおそる振り返ると、排気口があるとは気付かなかったマスターハンドが、壁に体当たりして気絶しているのが見えた。
その隙に、ガンッと椅子でマスターハンドにトドメをさしたイライがいて、排気口に逃げ込んだファレスターに向かってこう叫んだ。
「貴方だけでも逃げるんだ、ファレスターさん!」
「ニャー!」
ファレスターは返事をしながらも、必ずイライも助けると誓いながら、出来るだけ全速力で排気口をくぐった……。
その後、どうやってイライを助けたのか、ファレスターの記憶は飛んだ。
ファレスターは、とにかく屋敷内を駆け回り、どうにかしてイライが、執務室に閉じ込められていることを会う人みんなに伝え回ったように思える。
そして気付いたら、ファレスターは医務室で目が覚めた。
「ここは……?」
「医務室です、ファレスターさん」
ベッドの傍らにいたのは、イライだった。
「イライさん……! 無事なんですか……!」
「はい、貴方のおかげで」
「……! 私、元の姿に……?」
ファレスターは自分の体を見回してみた。猫の体はどこにもなく、人間の体に戻っていたのだ。
「でも私……どうやって元に戻ったのか、覚えていなくて……」
「なら私が話しましょうか? 夜はこれからですから」
イライが穏やかに微笑んだ。
猫になってしまったファレスターは、部屋の中をぐるぐると歩き回り、ふと思いついたのが、イライの姿だった。
イライは占い師だし、すぐに見抜いてなんとかしてくれるのではないか……?
ファレスターは早速扉を……開けるのは無理なので、窓をなんとかこじ開けて外へと飛び出した。
猫の体だからか、二階から飛び下りても上手く着地出来たファレスター。こういうところは便利だな……と思いながらも、いやいや、まずは自分の体を元に戻す方法を探さなくては、とイライの部屋へ向かおうとした。
「見つけましたよ、ファレスターさん」
はい……?
ほんの数秒でイライに見つけられるファレスター。
会いたいと思っていた人にこうしてすぐに会えたことは嬉しいことなのだが、イライはさっき、なんて言った……?
「ニャ、ニャー……?」
戸惑いながらも、とりあえずファレスターは鳴いてみた。イライは穏やかに微笑んだ。
「もう分かっています。ファレスターさんは、猫にされてしまったのですね?」
なんというチート並みの天眼か。ファレスターは驚きと感動に頷こうと、激しく首を振った。
「そうなんです、イライさん! どうにかお助けを……!」
とファレスターは必死に叫んだつもりだったが、やはり、言葉にはならず、ニャーニャーと鳴き声ばかりだった。
イライはその度にうんうんと頷き、分かっていますと何度も口にしたが、しかし、と真剣な口調でこう話し始めた。
「私には、残念ながら元の姿に戻す力がありません。私は占い師ですが、魔法使いではありませんから」
と言いながら、イライはファレスターをそっと抱きかかえた。
それもそうだよね、とファレスターが落ち込んだが、希望はあります、とイライはこう続けた。
「ファレスターさんを猫に変えた者のことなら分かっています」とイライは言った。「マスターハンドさんに、会いに行きましょう」
(え……?)
いや、こんな体にしたのは百パーセントマスターハンドのせいだろうが、あのイタズラ好きの彼が、直接会いに行ってすぐ戻してくれるとは思えなかった。
「イライさん、マスターハンドに会いに行くのだけはやめましょう?!」
とファレスターは止めようとしたが、イライに猫の言葉までは通じないらしく、意気揚々と歩くイライに連れて行かれるまま……。
ファレスターとイライは、マスターハンドたちの執務室にやって来た。
「ということなので、ファレスターさんを、元の姿に戻して欲しいんです」
イライは、目の前に座るマスターハンドに、一切億さずことの経緯を話し終えた。
マスターハンドは相変わらず、そっかそっか〜と軽い口調で返事をしながら、突然ぐっと距離を詰めた。
「それじゃあ、ファレスターさんを元の姿に戻すから、僕に渡してくれるかい?」
そのセリフは……とファレスターはマスターハンドに不信感を抱いたが、真上のイライはいたって穏やかな表情だ。
「ファレスターさんを貴方に渡さなくても、今ここで元の姿に戻せますよね? 創造の化身様……?」
畏れを抱きながら敬意を示すことを、畏敬というんだったな、とファレスターは思い出していた。今まさにこのイライの状況を、畏敬の念を持ってマスターハンドと話しているのでは、とファレスターは感じ取った。
「へぇ……」
イライの言葉に、マスターハンドはそれだけしか言わなかった、と思いきや。
「バレちゃ仕方ないな〜……だったらイライくんも、一緒に猫にしてあげるよ♪」
途端に、窓という窓が一気に暗くなった。
よく見れば、マスターハンドが不思議な力で窓を板で塞いだのだと気が付いたが、イライが危険を察知して逃げ出そうとした時には、扉も板で塞がれてしまっていた。
「イライまで猫にしないで……!」
こんなことになるなら、イライに頼らなければよかった、とファレスターは後悔したが時すでに遅し。
イライはマスターハンドを振り向いた。
「さぁ、大人しく僕の言うことに従ってね♪」
軽い口調で、恐ろしいことを言うマスターハンドがそこにいる。
「くっ……!」
何も手立てはないらしく、イライが歯を食いしばっている様子がよく見えた。
この状況をなんとかしなくては……せめて、イライだけでも逃がせたら……。
と、ファレスターが見やった先に、なぜか蓋の外れている排気口があった。
壁についている排気口で、猫の体の今なら、通れる大きさだった。
マスターハンドはじりじりと迫ってきている。
ファレスターは、今しかないと飛び出した……。
「ニャアオ!」
いきなりイライの腕から飛び出したファレスターに、マスターハンドの気は逸れた。
「どこに行くんだい、ファレスターさん?!」
マスターハンドは半回転してファレスターの後を追いかけて来た。ファレスターは我武者羅に、排気口へと駆け込んだ……。
ドンッ、と強い音が響いた。
排気口へ飛び込んだファレスターがおそるおそる振り返ると、排気口があるとは気付かなかったマスターハンドが、壁に体当たりして気絶しているのが見えた。
その隙に、ガンッと椅子でマスターハンドにトドメをさしたイライがいて、排気口に逃げ込んだファレスターに向かってこう叫んだ。
「貴方だけでも逃げるんだ、ファレスターさん!」
「ニャー!」
ファレスターは返事をしながらも、必ずイライも助けると誓いながら、出来るだけ全速力で排気口をくぐった……。
その後、どうやってイライを助けたのか、ファレスターの記憶は飛んだ。
ファレスターは、とにかく屋敷内を駆け回り、どうにかしてイライが、執務室に閉じ込められていることを会う人みんなに伝え回ったように思える。
そして気付いたら、ファレスターは医務室で目が覚めた。
「ここは……?」
「医務室です、ファレスターさん」
ベッドの傍らにいたのは、イライだった。
「イライさん……! 無事なんですか……!」
「はい、貴方のおかげで」
「……! 私、元の姿に……?」
ファレスターは自分の体を見回してみた。猫の体はどこにもなく、人間の体に戻っていたのだ。
「でも私……どうやって元に戻ったのか、覚えていなくて……」
「なら私が話しましょうか? 夜はこれからですから」
イライが穏やかに微笑んだ。