暗闇の花
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「ピトー」
コムギが立ち去ってすぐに、メルエムは後ろ側に立っていたネフェルピトーを呼びつけた。
「はい、メルエム様」
ネフェルピトーは素早く膝まづいて、メルエムの指示を待った。
「この屋敷で仮装の衣装を作っている者を連れて来い」
「分かりました、メルエム様」
ネフェルピトーは、指示の言葉が少ないメルエムに何一つ文句を言わずに、すぐに部屋を出て行った。メルエムは、ネフェルピトーを信頼していた。
日が暮れる前には、ネフェルピトーは戻って来た。一人の人間を連れて。
「あ、の……」
言葉を詰まらせる男。見た目から推測するに、人間の年齢からしたら若いのではないのだろうか。
「前置きなどいい。余はコムギの仮装衣装を頼みたい」
「え……」
若い男は動揺しているようだった。それは何に対してなのか、メルエムには理解出来なかった。
この屋敷には何人もの人間や人ならざる者が多くいる。もしや、コムギのことを知らないのであろうか。
「コムギは余の大事な小さな人間だ。アカズの者でな」
「ああ、ヘレナさんとよく一緒にいる!」
と若い男は言ってからメルエムをもう一度見やるなり、また言葉をつぐむ。そこでメルエムは気が付いた。自分の姿が人間ではないことに、この若い男は恐れているのではないのか、と。
「余はメルエム。おまえの名前は」
メルエムは訊ねた。確かこれが、人間としての作法だったかと思い出しながら。
「俺の名前はクロエ。西の国の魔法使いです」
魔法使い。
この世界に来てから、この屋敷にある書物には目を通してはあった。メルエムは全てを理解した。
「そうか。なら出来るか」
「コムギさんの衣装ですよね? もちろん! 俺に任せて!」
聞くところによると、クロエは実は、コムギの衣装も考えてはあったのだという。しかし、コムギに断られて用意はしていなかったのだとか。
クロエは、来た時とは真逆の足取りで帰って行った。あれが、人間のいうワクワクした、という感情表現なのだろうか。
メルエムは自分のしたことに満足をし、ゆっくりと目を伏せた。
コムギが立ち去ってすぐに、メルエムは後ろ側に立っていたネフェルピトーを呼びつけた。
「はい、メルエム様」
ネフェルピトーは素早く膝まづいて、メルエムの指示を待った。
「この屋敷で仮装の衣装を作っている者を連れて来い」
「分かりました、メルエム様」
ネフェルピトーは、指示の言葉が少ないメルエムに何一つ文句を言わずに、すぐに部屋を出て行った。メルエムは、ネフェルピトーを信頼していた。
日が暮れる前には、ネフェルピトーは戻って来た。一人の人間を連れて。
「あ、の……」
言葉を詰まらせる男。見た目から推測するに、人間の年齢からしたら若いのではないのだろうか。
「前置きなどいい。余はコムギの仮装衣装を頼みたい」
「え……」
若い男は動揺しているようだった。それは何に対してなのか、メルエムには理解出来なかった。
この屋敷には何人もの人間や人ならざる者が多くいる。もしや、コムギのことを知らないのであろうか。
「コムギは余の大事な小さな人間だ。アカズの者でな」
「ああ、ヘレナさんとよく一緒にいる!」
と若い男は言ってからメルエムをもう一度見やるなり、また言葉をつぐむ。そこでメルエムは気が付いた。自分の姿が人間ではないことに、この若い男は恐れているのではないのか、と。
「余はメルエム。おまえの名前は」
メルエムは訊ねた。確かこれが、人間としての作法だったかと思い出しながら。
「俺の名前はクロエ。西の国の魔法使いです」
魔法使い。
この世界に来てから、この屋敷にある書物には目を通してはあった。メルエムは全てを理解した。
「そうか。なら出来るか」
「コムギさんの衣装ですよね? もちろん! 俺に任せて!」
聞くところによると、クロエは実は、コムギの衣装も考えてはあったのだという。しかし、コムギに断られて用意はしていなかったのだとか。
クロエは、来た時とは真逆の足取りで帰って行った。あれが、人間のいうワクワクした、という感情表現なのだろうか。
メルエムは自分のしたことに満足をし、ゆっくりと目を伏せた。