暗闇の花
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「た、ただいま戻りましたです、メルエム様っ」
しかし、コムギはいつもと変わらない質素な服装でメルエムの元に戻ってきた。
「コムギ」
「は、はい、メルエム様!」
メルエムはすぐに、仮装パーティーの準備はどうなのかと聞こうと思ったが、コムギは、当日まで秘密にしたいのかもしれないと考えた。
「……軍儀をやろう」
「はい! メルエム様!」
やはり、いつもと変わらないコムギだ。
しかし、それから数日経っても、コムギは仮装の試着を見せに来ることも、ハロウィンのハの字も話題にしなかった。
「コムギ」
「はいっ、メルエム様!」
メルエムはとうとう問いただすことにした。
「明日はハロウィンパーティーとやらの日ではないのか? 何も準備はしていないのか」
「じゅじゅじゅじゅじゅじゅじゅ準備っ?!」
やけにひどく取り乱すコムギ。
確かに、初めて会った時からそのような立ち振る舞いであったことはメルエムもよく覚えているが、もうだいぶ慣れて穏やかに話すことが多くなっていたはずだ。それなのに、その言い方はなんだというのだろうか。
「明日何かあるのか」
「そ、そそそそそそそ、そんな、ことは……」
明らかに様子がおかしい。まさか、自分に隠し事でもあるのだろうか。
「……余に話せないことか」
メルエムは、出来るだけ慎重に言葉を選んだつもりだった。自分が人ではないということは重々分かっていたので、どれだけ繊細にコムギと接したらいいか、メルエムは分からなかったのである。
「いえ、そんなことは……」コムギはゆっくりと話し始めた。「みなさん、明日のハロウィンパーティーというもので、とても楽しそうにしでました……ワダスは、みなさんのその様子や雰囲気を感じることが出来るだけで充分ですがら……」
「仮装の準備もないというのか」
「か、仮装なんてそんな!」コムギは慌てた様子で手を前に振った。「ワダスはこの通り見えないものですし、遠くでみなさんの声や音を聞いてるだけでいいんです……!」
コムギの事情は、メルエムはあまり知らないし、知ろうともしたことはなかった。
しかし、いつもコムギが自分より誰かのことを気にしたり、自ら身を引いたりするのには何かしらの理由が繰り返しある環境下にいたからだろう、ということだけはメルエムも推察はしていた。
「そうか、分かった。今日は部屋に戻るなり好きにしていい」
「でも軍儀は……」
「いいから戻れ」
「は、はい、メルエム様!」
コムギは杖を床で叩きながら、メルエムの部屋を後にした。
しかし、コムギはいつもと変わらない質素な服装でメルエムの元に戻ってきた。
「コムギ」
「は、はい、メルエム様!」
メルエムはすぐに、仮装パーティーの準備はどうなのかと聞こうと思ったが、コムギは、当日まで秘密にしたいのかもしれないと考えた。
「……軍儀をやろう」
「はい! メルエム様!」
やはり、いつもと変わらないコムギだ。
しかし、それから数日経っても、コムギは仮装の試着を見せに来ることも、ハロウィンのハの字も話題にしなかった。
「コムギ」
「はいっ、メルエム様!」
メルエムはとうとう問いただすことにした。
「明日はハロウィンパーティーとやらの日ではないのか? 何も準備はしていないのか」
「じゅじゅじゅじゅじゅじゅじゅ準備っ?!」
やけにひどく取り乱すコムギ。
確かに、初めて会った時からそのような立ち振る舞いであったことはメルエムもよく覚えているが、もうだいぶ慣れて穏やかに話すことが多くなっていたはずだ。それなのに、その言い方はなんだというのだろうか。
「明日何かあるのか」
「そ、そそそそそそそ、そんな、ことは……」
明らかに様子がおかしい。まさか、自分に隠し事でもあるのだろうか。
「……余に話せないことか」
メルエムは、出来るだけ慎重に言葉を選んだつもりだった。自分が人ではないということは重々分かっていたので、どれだけ繊細にコムギと接したらいいか、メルエムは分からなかったのである。
「いえ、そんなことは……」コムギはゆっくりと話し始めた。「みなさん、明日のハロウィンパーティーというもので、とても楽しそうにしでました……ワダスは、みなさんのその様子や雰囲気を感じることが出来るだけで充分ですがら……」
「仮装の準備もないというのか」
「か、仮装なんてそんな!」コムギは慌てた様子で手を前に振った。「ワダスはこの通り見えないものですし、遠くでみなさんの声や音を聞いてるだけでいいんです……!」
コムギの事情は、メルエムはあまり知らないし、知ろうともしたことはなかった。
しかし、いつもコムギが自分より誰かのことを気にしたり、自ら身を引いたりするのには何かしらの理由が繰り返しある環境下にいたからだろう、ということだけはメルエムも推察はしていた。
「そうか、分かった。今日は部屋に戻るなり好きにしていい」
「でも軍儀は……」
「いいから戻れ」
「は、はい、メルエム様!」
コムギは杖を床で叩きながら、メルエムの部屋を後にした。