誰がための夜
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レストとフレイは、初対面が多い訳だから、宴を開催して親睦を深めようという話だったのだが……。
「アー、オレはパスするヨ」
自分は、まだ、あの二人と近い場所で楽しくなれる気分にはなれなかった。
「美味しいご飯も出るんだって」
「ダグも一緒に行こうよ!」
旨い飯には興味が注がれたが、オレが本当に行っていいのか不安だった。
「明日の夜、食堂に来てね」
「絶対だよ、ダグ!」
なんてレストとフレイは言ったが、オレは一言だって行くなんて言ってなかった。
「気が向いたらナ……」
オレの返事も聞かずに立ち去ってく二人。
そう、二人は、もうオレのあのことを責めたり怒ったりはしていないのだ。ただ、自分が……。
らしくない気持ちを振り払いたくて、ふらふら歩いた時に見つけたバルコニーへと出た。
眼下は森が広がっていて、離れたところから浜辺が見えた。
びっくりするくらいに晴れてる夜空が、少し恨めしい。
「グッググー?」
「……?」
声がして足元を見ると、黄色い生き物。喋る両手に続いて、聞いたこともない鳴き声をする魔物か何か。
「なんだヨ。別にオレは泣いてないからナ」
こいつにオレの言葉が通じるのかは分からないが、そう言ってみた。
「グッグー!」
しかし、やはりというかこっちの言葉は分からないらしく、黄色い生き物はぴょんっとバルコニーの柵の上に飛び乗り、長い耳っぽいものを揺らしたり、やたら短い手足でリズムよく踊りをしだした。
「ぷはっ……! なんだヨ、その踊り!」
その踊りがあまりにも妙で思わず笑ってしまうと、黄色い生き物はますます動きを早くしてくるくる回り始めた。
「あ、カーくん!」
その声に気付いた時には、目の前の黄色い生き物は勝手に目を回して倒れたところを介抱しようとしていたところだった。
「あ、よかった……! キミが、カーくんをみつけてくれたんだね!」
「いや、別ニ……」
声を掛けてきた人物は、どうやら黄色い生き物の飼い主らしい。ホッとした様子で、オレの腕から黄色い生き物を抱きかかえる。
見たことのない服を着た、茶髪の女。全く知らない人物なので、恐らく十二の世界のどこからかやって来た一人なのだろう。
「あ、初めましてだよね!」と飼い主はオレを見て言った。「ボクはアルル·ナジャ! キミの名前は?」
「ダグ」
一応名乗りはしたが、元いた場所ですら自分を偽っていたオレは、ここの世界にやって来たやつらとも仲良く出来るとは到底思えなかった。
「ダグかぁ! ……あ、この子はカーくん!」
「カーくん……」
だが、その黄色い生き物のことは気にはなっていた。アルル·ナジャといい、カーくんといい、言いにくい名前なところ、本当に別の世界からやって来た人物なんだろうと改めて感じた。
「ダグは、明日の宴に来る? ボク、司会をやるんだよね」
「オレは……」
オレは、ここからどう切り抜けたらいいか、そればかり考えていた。今は誰とも関わりたくないのに……。
「ググッ!」
「あ、カーくん?!」
そんな時、アルルに抱えられていたはずのカーくんが急に飛び出して、オレの足元を通り過ぎてまた柵の上に飛び乗った。
「グッググー!」
次の瞬間、カーくんの額辺りにある赤い何かか強く光り、オレは眩しくてまぶたを覆った。
「ググー」
カーくんの声で目を上げると、外がやたら明るいことに気が付いた。
何事かと辺りを見回していると、カーくんが大きな口を開けて笑ったように見えた。
「あ、カーくん! また宝石の力を使ったんだね!」
宝石の力……?
オレはよく分からないまま、昼間のように明るい外を見やった。
え、太陽が出ている……??
「カーくん、たまにこういうイタズラをしちゃうんだよね」
とアルルは困ったように、それでいて落ち着いて話すが、ちょっと待て。夜を昼に変えてしまうことを、イタズラレベルで話すものなのか?
「どうなってるんだヨ、ここのやつらハ……」
その後、ダグはもっと変な住民たちに四苦八苦などするのだが、これはまた、別のお話。
「アー、オレはパスするヨ」
自分は、まだ、あの二人と近い場所で楽しくなれる気分にはなれなかった。
「美味しいご飯も出るんだって」
「ダグも一緒に行こうよ!」
旨い飯には興味が注がれたが、オレが本当に行っていいのか不安だった。
「明日の夜、食堂に来てね」
「絶対だよ、ダグ!」
なんてレストとフレイは言ったが、オレは一言だって行くなんて言ってなかった。
「気が向いたらナ……」
オレの返事も聞かずに立ち去ってく二人。
そう、二人は、もうオレのあのことを責めたり怒ったりはしていないのだ。ただ、自分が……。
らしくない気持ちを振り払いたくて、ふらふら歩いた時に見つけたバルコニーへと出た。
眼下は森が広がっていて、離れたところから浜辺が見えた。
びっくりするくらいに晴れてる夜空が、少し恨めしい。
「グッググー?」
「……?」
声がして足元を見ると、黄色い生き物。喋る両手に続いて、聞いたこともない鳴き声をする魔物か何か。
「なんだヨ。別にオレは泣いてないからナ」
こいつにオレの言葉が通じるのかは分からないが、そう言ってみた。
「グッグー!」
しかし、やはりというかこっちの言葉は分からないらしく、黄色い生き物はぴょんっとバルコニーの柵の上に飛び乗り、長い耳っぽいものを揺らしたり、やたら短い手足でリズムよく踊りをしだした。
「ぷはっ……! なんだヨ、その踊り!」
その踊りがあまりにも妙で思わず笑ってしまうと、黄色い生き物はますます動きを早くしてくるくる回り始めた。
「あ、カーくん!」
その声に気付いた時には、目の前の黄色い生き物は勝手に目を回して倒れたところを介抱しようとしていたところだった。
「あ、よかった……! キミが、カーくんをみつけてくれたんだね!」
「いや、別ニ……」
声を掛けてきた人物は、どうやら黄色い生き物の飼い主らしい。ホッとした様子で、オレの腕から黄色い生き物を抱きかかえる。
見たことのない服を着た、茶髪の女。全く知らない人物なので、恐らく十二の世界のどこからかやって来た一人なのだろう。
「あ、初めましてだよね!」と飼い主はオレを見て言った。「ボクはアルル·ナジャ! キミの名前は?」
「ダグ」
一応名乗りはしたが、元いた場所ですら自分を偽っていたオレは、ここの世界にやって来たやつらとも仲良く出来るとは到底思えなかった。
「ダグかぁ! ……あ、この子はカーくん!」
「カーくん……」
だが、その黄色い生き物のことは気にはなっていた。アルル·ナジャといい、カーくんといい、言いにくい名前なところ、本当に別の世界からやって来た人物なんだろうと改めて感じた。
「ダグは、明日の宴に来る? ボク、司会をやるんだよね」
「オレは……」
オレは、ここからどう切り抜けたらいいか、そればかり考えていた。今は誰とも関わりたくないのに……。
「ググッ!」
「あ、カーくん?!」
そんな時、アルルに抱えられていたはずのカーくんが急に飛び出して、オレの足元を通り過ぎてまた柵の上に飛び乗った。
「グッググー!」
次の瞬間、カーくんの額辺りにある赤い何かか強く光り、オレは眩しくてまぶたを覆った。
「ググー」
カーくんの声で目を上げると、外がやたら明るいことに気が付いた。
何事かと辺りを見回していると、カーくんが大きな口を開けて笑ったように見えた。
「あ、カーくん! また宝石の力を使ったんだね!」
宝石の力……?
オレはよく分からないまま、昼間のように明るい外を見やった。
え、太陽が出ている……??
「カーくん、たまにこういうイタズラをしちゃうんだよね」
とアルルは困ったように、それでいて落ち着いて話すが、ちょっと待て。夜を昼に変えてしまうことを、イタズラレベルで話すものなのか?
「どうなってるんだヨ、ここのやつらハ……」
その後、ダグはもっと変な住民たちに四苦八苦などするのだが、これはまた、別のお話。
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