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新たな島にて

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色んな世界の住民たちと触れ合うことになる女の子です
色んな世界の住民たちと触れ合うことになる男の子です

 ファレスターは、まとわりつく海中に目を瞑りながらその場で必死に足掻いた。
 カナヅチという訳ではないが、荒れ狂う波の中で何が出来ただろう。ファレスターはとにかく手足をばたつかせ、肺に水が入らないように息を止め続けた……。

 ざぱぁ……!
 どれくらいの時間だったろうか。
 久々に息をした錯覚にみまわれながら、ファレスターは肺にいっぱいの空気を吸い込んだ。
<無事みたいだな>
「えっ……?!」
 聞いたこともない声にファレスターが飛び退くと、そこに、黄色の髪の男の子が隣に座っていた。
「……あなたが、助けてくれたの……?」
 辺りは穏やかな波が打ち寄せる静かな砂浜。あの荒れ狂う波の中助かったのだとしたら、そうとしか考えようがない。
<いいや、オレは何もしてないぞ>
「でも……」
 と言いかけて、ファレスターは息を飲んだ。目の前にいるのは……。
「に、人形……?」
 ボサボサした毛糸の髪型に、白い布の顔。上下の赤い服を身につけているが、どこも擦り切れていてシミのような汚れも見えた。
<おう、そうだぞ。オレは人形だ>
「な、なんで……」
 ファレスターは口をつぐんだ。ファレスターは、実際襲ってきた人形をあまりにもありありと思い返したからだった。
 ファレスターはとっさに人形から離れた。人形はきょとんとした様子でこちらをみつめてきたが、何か行動をする様子は見せない。
<……何をしているんだ、人間?>
 ファレスターのことを不審に思った人形が、とうとう訊ねた。しかし、ファレスターはますます混乱した。
「だって、人形は私たちを襲ってきて……」
<オレの他に、喋る人形がいるのか?>
「え……?」ファレスターはあることに気付こうとした。「もしかして、あなたは……」
<オレの名前はフィー。あとは自分のことが人形だってこと以外は、何も覚えていないんだ>
 人形はそう名乗りながら首をすくめた。よくよく観察をすれば、人形には、凶器らしいものは持っていないように見えた。それより、かなり傷んでいて古ぼけた、喋る以外は普通の人形のようにも思えた。
「えっと……とりあえず、一緒に来る?」
 ファレスターは、どうしても、彼がみんなが語るような、そして、あの時自分に刃物を向けた人形と同じとは思えなかったのだ。ファレスターは、赤い人形に手を差し伸ばした。
 人形は、ボタンの目をくるくるとさせた。
<おう! 一人じゃ寂しいからな、一緒にいてやる!>
 人形、フィーは、ファレスターの手を取ることは出来ないので、代わりにハイタッチをした。
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