目覚めた先の世界
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どれくらい、時が経っただろうか。
一瞬のような気もするし、何百年も経ったかのような気もする感覚の中で、ファレスターは目を覚ました。
そこには、一人暮らしをしている部屋の一角の景色はなく、穏やかな森と花畑が広がっている丘の上に、ファレスターが寝転がっていた。
「ここは……」
ファレスターは呟いた。こんな場所、来たこともなければ見たこともない。夢でも見ているのだろうか、とファレスターは考えたが、目を覚ます方法も思いつかなかった。
「ほら、マリオ! こっちこっち!」
「待ってよ、ピーチ!」
人の声がし、ファレスターは顔を上げた。
二人の男女が、こちらに向かって駆けてくる。
「こっちにきれいなお花が咲いていたのよ!」
「ははっ、そんなに急がなくても花は逃げたりしないよ」
と会話をしながらやって来る二人を呼び止めようとファレスターが立ち上がった時、まずは女性のほうが気付いて足を止めた。
「あら、マリオ……あちらに人が」
と言ってファレスターに近付いてくる女性。ファレスターは、その女性の美しさに思わず息を飲んだ。きれいなウェーブのかかった金髪と空のような瞳、少し派手な装飾が施された王冠を被り、鮮やかな桃色のドレスを身にまとっている彼女に、ファレスターは見惚れた。
「本当だ……こんにちは」
ファレスターが立ち尽くしていると、女性の後ろにいた男性が顔を出し、赤い帽子を外して丁寧におじぎをしてくれた。ファレスターは慌てて頭を下げた。
「こ、こんにちは……」
戸惑いながらファレスターは挨拶を返すと、絶世の美女が優しく微笑んだ。
「ごきげんよう。わたくし、ピーチと申しますの。こちらはマリオ。とても頼りになる方なんですのよ」
と彼女は自分と男性のことを紹介してくれて、ファレスターは心の中で、話し方もとても上品で美しいな、と思った。
「初めまして、マリオだよ」
ピーチに紹介されてそう言った男性のほうは、青いオーバーオールを身に付けた、髭が特徴的な人だった。そして、「M」と書かれた赤い帽子を被り、ファレスターに向かって同じくにこりと笑った。
「初めまして、ファレスターです……」夢の中で自己紹介するなんておかしな話だ、と思いながらも、ファレスターも名乗った。「あの、私……ここがどこかよく分からなくて」
と言ったものの、この言葉はおかしいな、とファレスターは思った。けれども、他に言葉が思いつかなくてファレスターは頭を悩ました。
きっと変に思われるだろう、とファレスターは内心不安だったが、マリオとピーチは少し驚いた顔を見合わせたのち、こちらを向いてまたにこやかな笑顔を見せてくれた。
「きっと、君もこの世界に引き込まれちゃった一人なんだね」
「え……?」
マリオの発言に、ファレスターは言葉を失った。
「実は、わたくしたちも、よく分からないままこの世界にやって来ていたんですの」
戸惑うファレスターをよそに、ピーチが続けざまにそう言った。
「どういう、ことですか……?」
ファレスターがやっと声に出して言った言葉。その口ぶりからして、この世界のことは、誰にも分からないということになる……。
「とりあえず、僕たちの屋敷に来るかい? 話は歩きながらするから」
「それはいい案ね、マリオ!」
とマリオとピーチは話を進めるが、こんな森と花畑の中にそんな人工物はあっただろうか、とファレスターがもう一度辺りを見回した時、丁度雲に隠れていた大きな建物が、森の中から現れた。
ファレスターはその建物を見て驚いた。高層ビルのような建物が、空を突き破らんばかりにそびえ建っていたからである。あの電車の窓から眺めていたビル街の建物より、遥かに大きい、塔のような建物。
「あれが、僕たちが住んでいる屋敷だよ」
とマリオが言い、隣にピーチが並んでファレスターと同じく屋敷を見上げた。
「マスターハンド様方が一晩で建ててくださいましたのよ」
「一晩で……?」
どういう建築家なのだろうか、とファレスターは不思議に思いながら、マリオとピーチに促されるまま、その屋敷へと向かった。
一瞬のような気もするし、何百年も経ったかのような気もする感覚の中で、ファレスターは目を覚ました。
そこには、一人暮らしをしている部屋の一角の景色はなく、穏やかな森と花畑が広がっている丘の上に、ファレスターが寝転がっていた。
「ここは……」
ファレスターは呟いた。こんな場所、来たこともなければ見たこともない。夢でも見ているのだろうか、とファレスターは考えたが、目を覚ます方法も思いつかなかった。
「ほら、マリオ! こっちこっち!」
「待ってよ、ピーチ!」
人の声がし、ファレスターは顔を上げた。
二人の男女が、こちらに向かって駆けてくる。
「こっちにきれいなお花が咲いていたのよ!」
「ははっ、そんなに急がなくても花は逃げたりしないよ」
と会話をしながらやって来る二人を呼び止めようとファレスターが立ち上がった時、まずは女性のほうが気付いて足を止めた。
「あら、マリオ……あちらに人が」
と言ってファレスターに近付いてくる女性。ファレスターは、その女性の美しさに思わず息を飲んだ。きれいなウェーブのかかった金髪と空のような瞳、少し派手な装飾が施された王冠を被り、鮮やかな桃色のドレスを身にまとっている彼女に、ファレスターは見惚れた。
「本当だ……こんにちは」
ファレスターが立ち尽くしていると、女性の後ろにいた男性が顔を出し、赤い帽子を外して丁寧におじぎをしてくれた。ファレスターは慌てて頭を下げた。
「こ、こんにちは……」
戸惑いながらファレスターは挨拶を返すと、絶世の美女が優しく微笑んだ。
「ごきげんよう。わたくし、ピーチと申しますの。こちらはマリオ。とても頼りになる方なんですのよ」
と彼女は自分と男性のことを紹介してくれて、ファレスターは心の中で、話し方もとても上品で美しいな、と思った。
「初めまして、マリオだよ」
ピーチに紹介されてそう言った男性のほうは、青いオーバーオールを身に付けた、髭が特徴的な人だった。そして、「M」と書かれた赤い帽子を被り、ファレスターに向かって同じくにこりと笑った。
「初めまして、ファレスターです……」夢の中で自己紹介するなんておかしな話だ、と思いながらも、ファレスターも名乗った。「あの、私……ここがどこかよく分からなくて」
と言ったものの、この言葉はおかしいな、とファレスターは思った。けれども、他に言葉が思いつかなくてファレスターは頭を悩ました。
きっと変に思われるだろう、とファレスターは内心不安だったが、マリオとピーチは少し驚いた顔を見合わせたのち、こちらを向いてまたにこやかな笑顔を見せてくれた。
「きっと、君もこの世界に引き込まれちゃった一人なんだね」
「え……?」
マリオの発言に、ファレスターは言葉を失った。
「実は、わたくしたちも、よく分からないままこの世界にやって来ていたんですの」
戸惑うファレスターをよそに、ピーチが続けざまにそう言った。
「どういう、ことですか……?」
ファレスターがやっと声に出して言った言葉。その口ぶりからして、この世界のことは、誰にも分からないということになる……。
「とりあえず、僕たちの屋敷に来るかい? 話は歩きながらするから」
「それはいい案ね、マリオ!」
とマリオとピーチは話を進めるが、こんな森と花畑の中にそんな人工物はあっただろうか、とファレスターがもう一度辺りを見回した時、丁度雲に隠れていた大きな建物が、森の中から現れた。
ファレスターはその建物を見て驚いた。高層ビルのような建物が、空を突き破らんばかりにそびえ建っていたからである。あの電車の窓から眺めていたビル街の建物より、遥かに大きい、塔のような建物。
「あれが、僕たちが住んでいる屋敷だよ」
とマリオが言い、隣にピーチが並んでファレスターと同じく屋敷を見上げた。
「マスターハンド様方が一晩で建ててくださいましたのよ」
「一晩で……?」
どういう建築家なのだろうか、とファレスターは不思議に思いながら、マリオとピーチに促されるまま、その屋敷へと向かった。