出発の準備
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そうして、ファレスターが出発の決意を固めたが、まだ日は高く、明日までに時間はたっぷりあった。
ファレスターはマスターハンドに、迷路のような屋敷から図書室の場所を案内してもらっていた。そこには、昨日と同じく、ロゼッタとチコが受け付けにいた。
「こんにちは、ファレスターさん。また来てくれたのね」
深い青い瞳をぱちくりとさせ、ロゼッタはファレスターを出迎える。
「チコ〜!」
間もなくチコも飛び出してきて、ファレスターの頭の上にぽんっと飛び乗った。チコは本当にかわいらしい。
「それで、今日は何を探しに来たのかしら?」
ロゼッタは訊ねてきた。ファレスターは頭上のチコを撫でながらこう答えた。
「明日、麦わら海賊団の船に乗るので、麦わら海賊団の人たちのことを知りたいなって思いまして」
「ああ、それなら」ロゼッタはふわりと星つきのロットを振った。「向こうの棚にあるわ。あいうえお順に並んでいるの」
「分かりました」
ファレスターは頷き、ロゼッタの指し示された方向へと向かう。どこもかしこも本だらけだ。
麦わら海賊団の最初の文字は「む」だから……とファレスターが棚を見上げていると。
「アークマックマッ!」
高めな声が飛び込んできた。
なんだろうと隣の本棚を覗き込むと、そこには熊のぬいぐるみが発狂していた。
「クマークマックマッ!」
「ぬいぐるみが喋ってる……!」
ここが図書室だということを一瞬忘れて叫ぶファレスター。まさか、人形の亜種……? と思考を巡らせていると、熊のぬいぐるみとファレスターの目が合った。
「わ、ごめんなさ……」
「そなた、本は好きか?」
「え……?」
ジロジロ見てごめんなさい、というつもりが、思いの外、熊のぬいぐるみの言葉は穏やかで落ち着いていてファレスターは拍子抜けした。
「えっと、はい……」
突然の質問にファレスターはそう答えると、ならば、と熊のぬいぐるみは本を手に取った。
「この本はどうかね? 文字も易しく、童話を読みながら魔導のことも知ることが出来るスグレモノ」
とファレスターに差し出してきたのは、一冊の本。丸くてかわいらしい生き物が描かれたカラフルな本だ。
ふとファレスターは、部屋には三冊の本がまだ読んでないまま置いてあることを思い出し、ロゼッタを振り向いた。ロゼッタはファレスターの視線に気付いてこちらをみつめると、全てを見透かしたかのようににこりと微笑んだ。
「本はいつでも返しに来ていいわよ」
どうやら、本の返却期限はないらしく、何冊でも借りていいらしい。
「ありがとうございます、えっと……熊さん……?」
「人はあくまと呼ぶ……それが悪魔の定めというものだ」
「え……」
不思議なことを言いながら、あくまと名乗った(?)熊のぬいぐるみは図書室を後にした。
あんな人も……いや、ぬいぐるみもいるんだなと、ファレスターは目的の本をようやくみつけた。
ファレスターはマスターハンドに、迷路のような屋敷から図書室の場所を案内してもらっていた。そこには、昨日と同じく、ロゼッタとチコが受け付けにいた。
「こんにちは、ファレスターさん。また来てくれたのね」
深い青い瞳をぱちくりとさせ、ロゼッタはファレスターを出迎える。
「チコ〜!」
間もなくチコも飛び出してきて、ファレスターの頭の上にぽんっと飛び乗った。チコは本当にかわいらしい。
「それで、今日は何を探しに来たのかしら?」
ロゼッタは訊ねてきた。ファレスターは頭上のチコを撫でながらこう答えた。
「明日、麦わら海賊団の船に乗るので、麦わら海賊団の人たちのことを知りたいなって思いまして」
「ああ、それなら」ロゼッタはふわりと星つきのロットを振った。「向こうの棚にあるわ。あいうえお順に並んでいるの」
「分かりました」
ファレスターは頷き、ロゼッタの指し示された方向へと向かう。どこもかしこも本だらけだ。
麦わら海賊団の最初の文字は「む」だから……とファレスターが棚を見上げていると。
「アークマックマッ!」
高めな声が飛び込んできた。
なんだろうと隣の本棚を覗き込むと、そこには熊のぬいぐるみが発狂していた。
「クマークマックマッ!」
「ぬいぐるみが喋ってる……!」
ここが図書室だということを一瞬忘れて叫ぶファレスター。まさか、人形の亜種……? と思考を巡らせていると、熊のぬいぐるみとファレスターの目が合った。
「わ、ごめんなさ……」
「そなた、本は好きか?」
「え……?」
ジロジロ見てごめんなさい、というつもりが、思いの外、熊のぬいぐるみの言葉は穏やかで落ち着いていてファレスターは拍子抜けした。
「えっと、はい……」
突然の質問にファレスターはそう答えると、ならば、と熊のぬいぐるみは本を手に取った。
「この本はどうかね? 文字も易しく、童話を読みながら魔導のことも知ることが出来るスグレモノ」
とファレスターに差し出してきたのは、一冊の本。丸くてかわいらしい生き物が描かれたカラフルな本だ。
ふとファレスターは、部屋には三冊の本がまだ読んでないまま置いてあることを思い出し、ロゼッタを振り向いた。ロゼッタはファレスターの視線に気付いてこちらをみつめると、全てを見透かしたかのようににこりと微笑んだ。
「本はいつでも返しに来ていいわよ」
どうやら、本の返却期限はないらしく、何冊でも借りていいらしい。
「ありがとうございます、えっと……熊さん……?」
「人はあくまと呼ぶ……それが悪魔の定めというものだ」
「え……」
不思議なことを言いながら、あくまと名乗った(?)熊のぬいぐるみは図書室を後にした。
あんな人も……いや、ぬいぐるみもいるんだなと、ファレスターは目的の本をようやくみつけた。