出発の準備
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「さて……ファレスターさんに渡したい物なんだけど」
リーダーたちが全員会議室を出て行った後、マスターハンドが話を切り出した。隣には、クレイジーハンドもいる。
「おい、まさかそいつに、アレを渡すんじゃないだろうナ?」
クレイジーハンドが意味深そうに話し掛けている。しかし、マスターハンドの口調はとても軽かった。
「そのまさかだよ」マスターハンドはファレスターの方を向いた。「ちょっと来てくれるかな、ファレスターさん」
「はい……でも何を……?」
ファレスターは頷くが、これから何をもらうのかさっぱり検討もつかなかった。
「説明するより、見てもらった方がいいかなと思ってね。さぁ、行こうか、ファレスターさん」
そう言うなり、マスターハンドはふよふよと宙を漂いながら先へと進んだ。ファレスターはその後をついて行き、後ろにはクレイジーハンドが続いた。
迷子になりそうな程の通路をいくつか歩き、時にはエレベーターに乗って移動した後、マスターハンドはなぜか外へと出た。雨はいつの間にか止んでいる。
「ここは……」
ファレスターは辺りを見回しながら訊ねた。前庭とも、中庭とも違うそこには、きれいな彫刻像がある訳でもなく、見たこともない花が咲いている訳でもなく、豊かな短い芝生ばかりが広がっていた。
「ここは庭だよ」とマスターハンドは答えた。「この屋敷の裏に位置するところでね。両端は男子寮と女子寮」
とマスターハンドはそれぞれ左右の建物を指した。後方の高くそびえる屋敷を渡り廊下で繋いでいるのが寮らしい。
そして、目の前に、一際輝く大きな鉱物が、ファレスターの視界を多く占めていた。
「これは……」
見たことのない青く透き通った大きな鉱石が、くるくる宙に留まって光っている。現実世界では見たことのないものだった。見たことがあるのだとしたら、童話やゲームの世界に出てくる……。
「クリスタルだよ」マスターハンドが答えた。「なぜかシェルロッタさんと一緒に、この世界にやって来たみたいでね」
「クリスタル……」
ファレスターはぼうっとクリスタルを眺めた。光が四方八方にクリスタルを照らしているようにも見えるし、クリスタル自身が自ら輝いているようにも見える。それに、雨上がりで地面はすっかり濡れているというのに、クリスタルは不思議なことに、一滴も濡れていない。
後ろでクレイジーハンドが不満そうな態度を取ったのを見なかったことにしつつ、ファレスターはマスターハンドに、さらに訊ねようとした。
「おお、マスターハンド。やっと来たんだな」
リーダーたちが全員会議室を出て行った後、マスターハンドが話を切り出した。隣には、クレイジーハンドもいる。
「おい、まさかそいつに、アレを渡すんじゃないだろうナ?」
クレイジーハンドが意味深そうに話し掛けている。しかし、マスターハンドの口調はとても軽かった。
「そのまさかだよ」マスターハンドはファレスターの方を向いた。「ちょっと来てくれるかな、ファレスターさん」
「はい……でも何を……?」
ファレスターは頷くが、これから何をもらうのかさっぱり検討もつかなかった。
「説明するより、見てもらった方がいいかなと思ってね。さぁ、行こうか、ファレスターさん」
そう言うなり、マスターハンドはふよふよと宙を漂いながら先へと進んだ。ファレスターはその後をついて行き、後ろにはクレイジーハンドが続いた。
迷子になりそうな程の通路をいくつか歩き、時にはエレベーターに乗って移動した後、マスターハンドはなぜか外へと出た。雨はいつの間にか止んでいる。
「ここは……」
ファレスターは辺りを見回しながら訊ねた。前庭とも、中庭とも違うそこには、きれいな彫刻像がある訳でもなく、見たこともない花が咲いている訳でもなく、豊かな短い芝生ばかりが広がっていた。
「ここは庭だよ」とマスターハンドは答えた。「この屋敷の裏に位置するところでね。両端は男子寮と女子寮」
とマスターハンドはそれぞれ左右の建物を指した。後方の高くそびえる屋敷を渡り廊下で繋いでいるのが寮らしい。
そして、目の前に、一際輝く大きな鉱物が、ファレスターの視界を多く占めていた。
「これは……」
見たことのない青く透き通った大きな鉱石が、くるくる宙に留まって光っている。現実世界では見たことのないものだった。見たことがあるのだとしたら、童話やゲームの世界に出てくる……。
「クリスタルだよ」マスターハンドが答えた。「なぜかシェルロッタさんと一緒に、この世界にやって来たみたいでね」
「クリスタル……」
ファレスターはぼうっとクリスタルを眺めた。光が四方八方にクリスタルを照らしているようにも見えるし、クリスタル自身が自ら輝いているようにも見える。それに、雨上がりで地面はすっかり濡れているというのに、クリスタルは不思議なことに、一滴も濡れていない。
後ろでクレイジーハンドが不満そうな態度を取ったのを見なかったことにしつつ、ファレスターはマスターハンドに、さらに訊ねようとした。
「おお、マスターハンド。やっと来たんだな」