イドーラの突然の登場にまだ心臓が落ち着かないまま、ファレスターはレストと共にリーダー会議室へ向かった。
　そこは、かなり広い部屋に、ぐるりと囲んだ長テーブルと椅子があり、すでに何人かが席についていた。その中には、ウォルやレスト、ゴンとキルアもいた。
｢ようこそ、ファレスターさん！　ここが、リーダー会議室だよ！｣
　マスターハンドが、会議室の中心となるだろう前方の席からやって来てファレスターに声を掛けた。
｢広いですね……｣
　会議室をぐるりと見回してファレスターは言った。まぁね、とマスターハンドは言葉を続けた。
｢ここは、それぞれの世界からやって来た人のリーダーが集まるところだから｣とマスターハンドは言う。｢大乱闘スマッシュブラザーズの世界からは、マリオが来てくれているよ｣
　と指し示す方向に、赤い帽子を被った男性がいた。
｢マリオさん……！｣
　ファレスターが彼の名前を呼ぶと、マリオはやぁと手を振ってくれた。
｢君も来てくれるという話は聞いていたよ。心強い｣
　と話すマリオは、本当に優しい人だな、とファレスターは思った。
｢何が心強いんだヨ｣水を差すようにそう言ってきたのはクレイジーハンドだ。｢ほらヨ。ジンオウガは呼んできたヨ｣
　とクレイジーハンドは言いながら、会議室に女性と共に入ってきた。
｢大事な話があると聞いたのじゃが……｣
　女性はそう言いながら会議室に入って来る。見た目の特徴は何より、頭から前方に向かって伸びた二本の角と獣のような長い耳。青光りする長い髪が背中を覆い、青緑っぽい鎧を身につけていた。
｢おぬしが救世主のファレスターか｣女性は話し掛けてきた。｢ワシはジンオウガ。この世界に来た時に人の姿になったのじゃが……まぁよろしくのう、ファレスター｣
　彼女は古風な話し方をするがそんなに硬くもない笑顔に、ファレスターはどこか安心感を覚えた。
｢よろしくお願いします、ジンオウガさん！｣
　とファレスターは頭を下げながらそう言った。この人とは仲良くなれる気がした。
｢さぁて……みんな揃ったかな？｣
　マスターハンドが、席に戻りながら会議室をぐるりと見回した。まだ、席が空いていることにファレスターは気が付いた。
｢まだ、ツナが来てないんじゃなーい？｣
　空席を目で指しながらフレイが言った。
｢エマも来てないね｣
　とレストも言う。
｢あ、本当だ。アルルさんやルフィくんもまだ来てないな……｣とマスターハンドは言った。｢アルルさんは晶くんが呼びに行ってはずだけど……キドさんも見当たらないね〜｣
　晶もキドの姿も、会議室にはない。
　屋敷は外から見るだけでも大きい建物だったので、人を集めるのも大変なのだろうな、とファレスターが思っていた矢先。