｢こら、メリオダス！｣
　ファレスターに突然セクハラ行為をしたメリオダスは、間もなく、フレイのパンチを受けることとなった。
｢メリオダスはファレスターに何をしていたの？｣
｢ゴンは知らなくていいんだよ……｣
　純粋そうな目をするゴンに、キルアはため息混じりでそう答える。
　ファレスターは、いきなりのセクハラにまだ心臓が落ち着かないまま、フレイに引きずられて中へと入っていくメリオダスを見送った。
｢メリオダスのことは、フレイに任せておこうか｣とレストは言い、タオルに包まるマスターハンドを振り返った。｢今回のこと、リーダー会議を開いて報告したほうがいいのではないでしょうか？｣
　リーダー会議？　とファレスターが首を傾げていると、タオルを急に落としたかと思えば、見えない不思議な力で宙に浮かべてきれいに畳みながら、そうだね、とマスターハンドは言った。
｢出来れば、ファレスターさんにも来て欲しいな｣
　とマスターハンドが言うと、隣のクレイジーハンドは黙っていない訳で。
｢なんでだヨ……敵かもしれないのに！｣
　変わらないクレイジーハンドの考えにファレスターが肩を落としていると、まぁまぁとマスターハンドが割り込んだ。
｢情報共有は大事さ。そこで話したことが相手にバレて人形の動きが過激になったら、その時はまた考えようよ、クレイジーハンド｣
　とマスターハンドに諭されて少しは落ち着いたようだが、クレイジーハンドはそっぽを向くようにあちらを向いた。
｢私も……何かお役に立ちたいので、ここでの話ももっとよく聞きたいです……！｣
　人形の話は聞いていたが、人形を作り出すアーマーメイトの存在を知らなかったファレスター。自分に何か出来るのなら、と静かに拳を握った。
｢それじゃあウォルくん、みんなを会議室に呼んでくれるかい？｣
　とマスターハンドはウォルに指示を出す。ウォルは嫌な顔一つせず頷いた。
｢いいだろう｣
　そしてウォルは踵を返し、規則正しい足音ときれいな姿勢でどこかへと立ち去った。
｢さて、と｣マスターハンドはファレスターの方へと向き直る。｢僕は別の人を呼んでくるから、ファレスターさんはあとでリーダー会議室に来てくれるかな｣
｢あ、でも……私、会議室がどこにあるのか分からないんですが……｣
　とファレスターが言うと、あ、そっか、とマスターハンドはここにいるメンバーをくるりと見回すように半回転してから、レストを指した。
｢それじゃあ、レストくんにファレスターの案内を頼もうかな｣
｢分かりました｣
　レストは優しそうに微笑んだ。