奇妙な力
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人ごみを掻き分けて医務室に入ってきたのは、晶だった。
「ゴンくんは、手を使った念能力者です……オペオペの実の能力だとしても、きっと、一時的なものでしかないんだと思うんです」
晶は、刀を持っている人に対し臆することなく説得した。刀を持っている人は、帽子を被っていて表情までは見えないが……刀から手を離し、代わりに晶に問いかけた。
「じゃあどうする。このまま見捨てろというのか」
晶はすぐに首を振った。
「いえ、違います」と晶はファレスターを振り向いた。「ファレスターさん、ゴンくんの手を握ってくれますか? 俺も、前の世界で、ファウストをそうやって助けたんです」
「えっと……?」
晶の言っていることが半分分からずに首を傾げるファレスター。見れば、周りの医者たちも不審そうに晶を見据えている。
「おいおい……いくらなんでも、そんな都合のいい話がある訳が……」
と眼鏡をかけた男性が言ったが、晶の瞳は、真剣そのものだった。
「信じてください。きっと、助かると思います」
その根拠がどこにあるのか。ファレスターには分からなかったが……晶が嘘をついているという様子はなく……必ず叶うと信じているような、強い意志を感じた。
「うっ……」
ベットに横たう男の子は苦しそうに息をしている。緑の羽根が生えるという不思議な病気が、彼を襲っていた。
手を繋ぐということで彼を助けられるなら……いや、助けたい。ファレスターは、そんな思いで、男の子の手を握った。
「私はファレスターです……しっかりしてください……!」
ファレスターがほぼ無意識に掛けていた言葉だった。
「うっ……!」
すると、男の子が突然、一度だけ痙攣を起こした。
ファレスターはびっくりしたがそのまま彼の手を握り続け、ただひたすら祈った。
治りますように……!
「おい、しっかりしろ、ゴン!」
「ゴン、起きろー、ここで死ぬんじゃねぇぞ!」
「ゴンくん、ゆっくり息をするのよ……!」
見れば、キドに始まり、眼鏡をかけた男性や看護師さんも、男の子に声を掛けていた。……この子は、どうやらゴンというらしい。
「ゴンくんの病気、治って……!」
とファレスターが小さく叫んだ時だった。
ぱらぱらぱら、という小さな音。
おそるおそる目を上げるファレスター。
今まさにゴンの体を蝕もうとしていたあの緑の羽根が、みるみる内に剥がれ落ちていっていたのである……!
「ふんっ」
それを良しと見たのか、刀を抱えた男性が、踵を返して医務室を出て行く。
その様子を横目にしながら、間もなく、白衣の男性が星型をした白い何かを、どこからか取り出したのをファレスターは見た。
「おはよう、ゴンくん。よく頑張ったね。さぁ、フィガロ先生特製の魔法使いのシュガーだよ。お食べ」
「ん……」
朦朧としているらしいゴンは、わずかに口を開いた。その隙間に押し込むようにフィガロは星型のシュガーを放り込み、ゴンはそれを口に含んでゆっくりと眠りに落ちていった。息も穏やかで、汗も引いていっているように見えた。
「よかった……」
とファレスターは言いながら、ようやくゴンから手を離すと、なぜだかどっと疲れが押し寄せてきてそのまま尻もちをついてしまった。
大丈夫か、とキドがすぐに支えてくれたが、大丈夫、とファレスターは答えながらも、自分では立てないことを自覚した。
「無理するな。……きっと、魔法か何かがお前にもあるんだろう」
とキドに言われながらファレスターがなんとか立ち上がると、ゴンの体から剥がれ落ちた緑の羽根が、風もないのにベットから滑り落ち、やがて、ふわっと霧散していった。
ファレスターは不思議に思いながらも、とにかくどこかに座りたくて、近くにあった空いてるベットへと腰を下ろした。
ファレスターは、額にびっしょりと汗をかいていた。
「ゴンくんは、手を使った念能力者です……オペオペの実の能力だとしても、きっと、一時的なものでしかないんだと思うんです」
晶は、刀を持っている人に対し臆することなく説得した。刀を持っている人は、帽子を被っていて表情までは見えないが……刀から手を離し、代わりに晶に問いかけた。
「じゃあどうする。このまま見捨てろというのか」
晶はすぐに首を振った。
「いえ、違います」と晶はファレスターを振り向いた。「ファレスターさん、ゴンくんの手を握ってくれますか? 俺も、前の世界で、ファウストをそうやって助けたんです」
「えっと……?」
晶の言っていることが半分分からずに首を傾げるファレスター。見れば、周りの医者たちも不審そうに晶を見据えている。
「おいおい……いくらなんでも、そんな都合のいい話がある訳が……」
と眼鏡をかけた男性が言ったが、晶の瞳は、真剣そのものだった。
「信じてください。きっと、助かると思います」
その根拠がどこにあるのか。ファレスターには分からなかったが……晶が嘘をついているという様子はなく……必ず叶うと信じているような、強い意志を感じた。
「うっ……」
ベットに横たう男の子は苦しそうに息をしている。緑の羽根が生えるという不思議な病気が、彼を襲っていた。
手を繋ぐということで彼を助けられるなら……いや、助けたい。ファレスターは、そんな思いで、男の子の手を握った。
「私はファレスターです……しっかりしてください……!」
ファレスターがほぼ無意識に掛けていた言葉だった。
「うっ……!」
すると、男の子が突然、一度だけ痙攣を起こした。
ファレスターはびっくりしたがそのまま彼の手を握り続け、ただひたすら祈った。
治りますように……!
「おい、しっかりしろ、ゴン!」
「ゴン、起きろー、ここで死ぬんじゃねぇぞ!」
「ゴンくん、ゆっくり息をするのよ……!」
見れば、キドに始まり、眼鏡をかけた男性や看護師さんも、男の子に声を掛けていた。……この子は、どうやらゴンというらしい。
「ゴンくんの病気、治って……!」
とファレスターが小さく叫んだ時だった。
ぱらぱらぱら、という小さな音。
おそるおそる目を上げるファレスター。
今まさにゴンの体を蝕もうとしていたあの緑の羽根が、みるみる内に剥がれ落ちていっていたのである……!
「ふんっ」
それを良しと見たのか、刀を抱えた男性が、踵を返して医務室を出て行く。
その様子を横目にしながら、間もなく、白衣の男性が星型をした白い何かを、どこからか取り出したのをファレスターは見た。
「おはよう、ゴンくん。よく頑張ったね。さぁ、フィガロ先生特製の魔法使いのシュガーだよ。お食べ」
「ん……」
朦朧としているらしいゴンは、わずかに口を開いた。その隙間に押し込むようにフィガロは星型のシュガーを放り込み、ゴンはそれを口に含んでゆっくりと眠りに落ちていった。息も穏やかで、汗も引いていっているように見えた。
「よかった……」
とファレスターは言いながら、ようやくゴンから手を離すと、なぜだかどっと疲れが押し寄せてきてそのまま尻もちをついてしまった。
大丈夫か、とキドがすぐに支えてくれたが、大丈夫、とファレスターは答えながらも、自分では立てないことを自覚した。
「無理するな。……きっと、魔法か何かがお前にもあるんだろう」
とキドに言われながらファレスターがなんとか立ち上がると、ゴンの体から剥がれ落ちた緑の羽根が、風もないのにベットから滑り落ち、やがて、ふわっと霧散していった。
ファレスターは不思議に思いながらも、とにかくどこかに座りたくて、近くにあった空いてるベットへと腰を下ろした。
ファレスターは、額にびっしょりと汗をかいていた。