奇妙な力
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ファレスターたちが医務室に駆け付けると、多くの人が集まっていた。
通してくれ、とキドがぐいぐいと前へと割り込むのをファレスターはなんとかついて行きながら医務室に入ると、医療従事者らしい人が数人いた。
「……こんな症状、見たことねェ」
顎ヒゲのある男性が、長い刀を肩で抱えながら呟いた。
「おいおい、あんた、死の外科医って言われてんだろ? なんとかならねぇのかよ……オレもお手上げだぜ」
眼鏡を掛けた男性が、顎ヒゲのある男性を見やったが、彼は白い帽子を深々と被り直すだけで何も言わない。
「うーん、俺も、お手上げだね。病気なのは確かなんだけど」
と言ったのは、白衣を身につけた青髪の男性。だらしなくくしゃくしゃになった髪型が印象的だった。
「はぁ……どうなってるのよ、この世界は……」看護師の格好をしている女性が大きくため息をついて、ファレスターと目が合った。「あら、貴方は……」
その一言で、周りの注目を一気に集めた。
「初めまして、ファレスターです」
ファレスターはいつも通り挨拶をしたが、そんな悠長な会話をしている場合ではないということは、彼らが取り囲んでいる人物を見れば一目瞭然だった。
「ううっ……」
ベットの上で横たわる一人の男の子。男の子の腕には、なぜか緑の羽根が何十枚も生えてきて、それは身体を蝕もうとするばかりに生え続けていた。
目の前で苦しむ男の子。見たこともない病状に、ファレスターは嫌でも現実を受け入れなくてはいけなかった。
「おい、これはなんだ」
と問いただしたのはキドだった。しかし、医者や看護師らしい人は各々首を傾げたり黙りこくったりと答えたがらない。
少しして答えたのは、ファレスターから見て手前側にいる、看護師の女性だった。
「キルア君の話だと、人形に襲われたらしいわ」
「人形……」
ファレスターは呟いた。人形はまだこの目で見たことはなかったが、マスターハンドたちが見せてくれたあの絵の中の人形を思い出し、背筋が凍った。
「その人形を倒したら、この病気も治るとは思うけど」
と言ったのは、くしゃくしゃ頭をした医者の男性だった。言葉が途切れるのは、そういうことなのだとファレスターは分かった。
「今キルアがナニカを連れてくるって言ってたが……間に合うかどうかだな」
と眼鏡をかけた男性がそう言って顎に手を当てた。
ファレスターはベットの上の男の子をみつめた。緑の羽根はどんどんと広がっていて、もうじき顔まで覆ってしまいそうな勢いだった。
どうやら手立てがあるらしいが、時間がかかっては間に合わない可能性も……ファレスターは、今目の前のこの男の子を助けたいと思案したが、何も思いつかなくて悲しくなった。
「……一旦、切り落とすか」
刀を抱えた男性が、あまりにも恐ろしいことを言い出したのだ。ファレスターは目を見開いた。
「待ってください……」
子どもの腕を切り落とすなんてあんまりだ、とファレスターが言いかけた時、一つの声が飛んできた。
「すみません、通してください!」
通してくれ、とキドがぐいぐいと前へと割り込むのをファレスターはなんとかついて行きながら医務室に入ると、医療従事者らしい人が数人いた。
「……こんな症状、見たことねェ」
顎ヒゲのある男性が、長い刀を肩で抱えながら呟いた。
「おいおい、あんた、死の外科医って言われてんだろ? なんとかならねぇのかよ……オレもお手上げだぜ」
眼鏡を掛けた男性が、顎ヒゲのある男性を見やったが、彼は白い帽子を深々と被り直すだけで何も言わない。
「うーん、俺も、お手上げだね。病気なのは確かなんだけど」
と言ったのは、白衣を身につけた青髪の男性。だらしなくくしゃくしゃになった髪型が印象的だった。
「はぁ……どうなってるのよ、この世界は……」看護師の格好をしている女性が大きくため息をついて、ファレスターと目が合った。「あら、貴方は……」
その一言で、周りの注目を一気に集めた。
「初めまして、ファレスターです」
ファレスターはいつも通り挨拶をしたが、そんな悠長な会話をしている場合ではないということは、彼らが取り囲んでいる人物を見れば一目瞭然だった。
「ううっ……」
ベットの上で横たわる一人の男の子。男の子の腕には、なぜか緑の羽根が何十枚も生えてきて、それは身体を蝕もうとするばかりに生え続けていた。
目の前で苦しむ男の子。見たこともない病状に、ファレスターは嫌でも現実を受け入れなくてはいけなかった。
「おい、これはなんだ」
と問いただしたのはキドだった。しかし、医者や看護師らしい人は各々首を傾げたり黙りこくったりと答えたがらない。
少しして答えたのは、ファレスターから見て手前側にいる、看護師の女性だった。
「キルア君の話だと、人形に襲われたらしいわ」
「人形……」
ファレスターは呟いた。人形はまだこの目で見たことはなかったが、マスターハンドたちが見せてくれたあの絵の中の人形を思い出し、背筋が凍った。
「その人形を倒したら、この病気も治るとは思うけど」
と言ったのは、くしゃくしゃ頭をした医者の男性だった。言葉が途切れるのは、そういうことなのだとファレスターは分かった。
「今キルアがナニカを連れてくるって言ってたが……間に合うかどうかだな」
と眼鏡をかけた男性がそう言って顎に手を当てた。
ファレスターはベットの上の男の子をみつめた。緑の羽根はどんどんと広がっていて、もうじき顔まで覆ってしまいそうな勢いだった。
どうやら手立てがあるらしいが、時間がかかっては間に合わない可能性も……ファレスターは、今目の前のこの男の子を助けたいと思案したが、何も思いつかなくて悲しくなった。
「……一旦、切り落とすか」
刀を抱えた男性が、あまりにも恐ろしいことを言い出したのだ。ファレスターは目を見開いた。
「待ってください……」
子どもの腕を切り落とすなんてあんまりだ、とファレスターが言いかけた時、一つの声が飛んできた。
「すみません、通してください!」