図書室の不思議
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「平和で穏やかなキノコ王国に、ピーチという美しいお姫様がいました……」
ファレスターが本を読み始めると、チコはすっかり大人しくなり、じっと耳を傾けているような気がした。
見ると、晶とエマも、本の片付けを終え、近くの椅子に座ってファレスターの読み聞かせに耳を傾けているようだった。キドは扉側の方に立っていたが、目が合うと控えめに笑みを浮かべる。
ファレスターはますます緊張しながら、本の続きを読み上げた。
「しかしある日、そんな美しいピーチ姫を狙った悪いやつが現れたのです……クッパという横暴者が、ピーチ姫をさらい……救出作戦に立ち上がったのが、マリオだったのです……」
とファレスターがどんどん読んでいる内に、マリオとピーチのことが分かってきていた。
マリオはいつも、クッパにさらわれてしまうピーチを幾度となく助けていたこと、マリオは元々は配管工であること、そして、初めて会った時から薄々分かってはいたが、ピーチはお姫様だということ。
凄まじい戦いが繰り広げられた一話目を読み終えた時にファレスターは目を上げ、これは本当のことなんですか? とみんなに訊ねた。
「ええ。私が見聞して書いた本当のことよ」答えたのはロゼッタだった。「彼は本当に勇敢な人で、ピーチ姫のために、銀河を飛び出したこともあったのよ」
私はマリオとはそこで会ったのよ、とロゼッタは付け足した。
「そうなんですね……」
とファレスターは本へと視線を落とした。本はかなりぶ厚く、まだまだ続きがあるようだった。ファレスターはロゼッタを見上げた。
「これ、借りてもいいですか?」
「ええ、もちろんよ」
ファレスターの質問に、ロゼッタは快くオーケーを出してくれた。
「ファレスター、本借りるの?」と席を立ち上がったのはエマだ。「だったらこれも面白いなの!」
ファレスターの有無も聞かずに、エマはさらに別の本を差し出してきた。それもなかなかぶ厚い本である。
「ありがとう、エマさん」
ファレスターが受け取ると、エマはエヘヘッと嬉しそうに笑った。
「ロゼッタさんが訳してくれた俺の賢者の書もどこかにあったはず……」と晶はキョロキョロと辺りを見回し、本棚から本を手に取った。「あ、これだ」
それは、晶の持っている本とほとんど同じ表紙をしたものだった。晶は、ファレスターにそれを渡そうとして手を止めた。
「こんなにたくさん、困りますかね?」
その賢者の書も、ぶ厚かった。三冊のぶ厚い本を読み切るには時間が掛かるかもしれないが、何より、みんなの親切さに、ファレスターは心を打たれていた。
「いえ! 返却に時間は掛かるかもしれませんが、どれも読んでみたいです」
とファレスターが答えると、晶は安心したように、賢者の書を渡した。
「返却はいつでもいいのよ」
「チコ!」
とロゼッタが言うと、横からぴょんっとチコが飛び出してきて、ファレスターの周りをくるくると舞った。
そんなチコを目で追いつつ、ちょっとかわいいかも、とファレスターは思いながら、ロゼッタに会釈をした。
「ありがとうございます、ロゼッタさん。読み終わったら、返しに来ます」そして、ファレスターはエマと晶の方へ視線を投げた。「エマさんも晶さんも、色々ありがとうございます」
異世界から来た見ず知らずの自分にこんなにも親切にしてくれる人にファレスターは心から感謝をすると、エマも晶もにこりと微笑んだ。
「どういたしましてなの!」
「役に立てたならよかったです」
その時、今まで蚊帳の外にいたキドが、急に扉の方へ振り向いた。
ファレスターは不思議に思ってそちらを見ていると、バタバタという騒がしい足音が聞こえ、やがて、誰かが勢いよく図書室に飛び込んできた。
「大変大変大変だよー!」ツインテールの女の子が、かなり慌てた様子でキドにしがみついた。「ゴンが大変なことに……!」
ファレスターが本を読み始めると、チコはすっかり大人しくなり、じっと耳を傾けているような気がした。
見ると、晶とエマも、本の片付けを終え、近くの椅子に座ってファレスターの読み聞かせに耳を傾けているようだった。キドは扉側の方に立っていたが、目が合うと控えめに笑みを浮かべる。
ファレスターはますます緊張しながら、本の続きを読み上げた。
「しかしある日、そんな美しいピーチ姫を狙った悪いやつが現れたのです……クッパという横暴者が、ピーチ姫をさらい……救出作戦に立ち上がったのが、マリオだったのです……」
とファレスターがどんどん読んでいる内に、マリオとピーチのことが分かってきていた。
マリオはいつも、クッパにさらわれてしまうピーチを幾度となく助けていたこと、マリオは元々は配管工であること、そして、初めて会った時から薄々分かってはいたが、ピーチはお姫様だということ。
凄まじい戦いが繰り広げられた一話目を読み終えた時にファレスターは目を上げ、これは本当のことなんですか? とみんなに訊ねた。
「ええ。私が見聞して書いた本当のことよ」答えたのはロゼッタだった。「彼は本当に勇敢な人で、ピーチ姫のために、銀河を飛び出したこともあったのよ」
私はマリオとはそこで会ったのよ、とロゼッタは付け足した。
「そうなんですね……」
とファレスターは本へと視線を落とした。本はかなりぶ厚く、まだまだ続きがあるようだった。ファレスターはロゼッタを見上げた。
「これ、借りてもいいですか?」
「ええ、もちろんよ」
ファレスターの質問に、ロゼッタは快くオーケーを出してくれた。
「ファレスター、本借りるの?」と席を立ち上がったのはエマだ。「だったらこれも面白いなの!」
ファレスターの有無も聞かずに、エマはさらに別の本を差し出してきた。それもなかなかぶ厚い本である。
「ありがとう、エマさん」
ファレスターが受け取ると、エマはエヘヘッと嬉しそうに笑った。
「ロゼッタさんが訳してくれた俺の賢者の書もどこかにあったはず……」と晶はキョロキョロと辺りを見回し、本棚から本を手に取った。「あ、これだ」
それは、晶の持っている本とほとんど同じ表紙をしたものだった。晶は、ファレスターにそれを渡そうとして手を止めた。
「こんなにたくさん、困りますかね?」
その賢者の書も、ぶ厚かった。三冊のぶ厚い本を読み切るには時間が掛かるかもしれないが、何より、みんなの親切さに、ファレスターは心を打たれていた。
「いえ! 返却に時間は掛かるかもしれませんが、どれも読んでみたいです」
とファレスターが答えると、晶は安心したように、賢者の書を渡した。
「返却はいつでもいいのよ」
「チコ!」
とロゼッタが言うと、横からぴょんっとチコが飛び出してきて、ファレスターの周りをくるくると舞った。
そんなチコを目で追いつつ、ちょっとかわいいかも、とファレスターは思いながら、ロゼッタに会釈をした。
「ありがとうございます、ロゼッタさん。読み終わったら、返しに来ます」そして、ファレスターはエマと晶の方へ視線を投げた。「エマさんも晶さんも、色々ありがとうございます」
異世界から来た見ず知らずの自分にこんなにも親切にしてくれる人にファレスターは心から感謝をすると、エマも晶もにこりと微笑んだ。
「どういたしましてなの!」
「役に立てたならよかったです」
その時、今まで蚊帳の外にいたキドが、急に扉の方へ振り向いた。
ファレスターは不思議に思ってそちらを見ていると、バタバタという騒がしい足音が聞こえ、やがて、誰かが勢いよく図書室に飛び込んできた。
「大変大変大変だよー!」ツインテールの女の子が、かなり慌てた様子でキドにしがみついた。「ゴンが大変なことに……!」