魔法と能力と自然
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キドに誘われるまま、ファレスターが朝ごはんをトレーに乗せて中庭に下りると、そこには小さな別空間が広がっていた。
見たこともない木やツタが壁をつたい、飲み込まれてしまいそうなくらい大きな花が垂れ下がっているかと思えば、スミレのように小さな花が地面にたくさん咲いていて、中庭は、屋敷に取り囲まれた小さな森のようだった。
「ここ、素敵です」
とファレスターが言うと、前方を歩くキドが、そうだろう、と頷いた。
「エマやエリンがいつも手入れしているんだ。俺も気に入っている」
と、キドは一つのベンチに腰を掛け、ファレスターも隣に座った。
見回せば全てが植物でうっそうとしているのに、石畳の敷かれた道に邪魔な枝はないどころか、ベンチのあるここも、植物全てがまるで自ら意思を持って気遣いをしているように、避けて伸びている。
「森の中でピクニックしているみたいです」
とファレスターが言うと、キドはそうか、しか返さなかったが、その表情は笑顔だったので、同じ気持ちだったら嬉しいな、と思った。
その時、ガサゴソと音がして、なんだろうと目を上げた先に、麦わら帽子をかぶった女性が、茂みの中から出てきた。
「あ、つぼみちゃん!」
女性は、キドを見るなりそう言い、傍らにいるファレスターに気付いてこちらに駆けてきた。
「救世主さんなの! エマは、エマ·ウッズなの!」
彼女は明るく笑った。
「私は、ファレスターです」
とファレスターは名乗りながら、エマをよく観察してみた。
緑のエプロンを身に付け、ところどころに土埃がついている、茶髪の女性だ。
「エマは、庭師なの!」とエマは断りもなく、ファレスターの隣のベンチに腰を下ろした。「エリンと一緒に、ここの手入れをよくしてるなの」
「とても、素敵な場所だなって思いました」
ファレスターは素直な感想をエマに伝えた。
エマは嬉しそうににっこりと笑い、つと指を突き出した。
「ここにはいっぱい見たことのないお花があるなの! あれはラフレシアン、あれは、虹色草で……」
と話すエマはとても楽しそうで、無邪気な子どものようだった。
「ここには、私の知らないものがたくさんあって、ちょっとドキドキするけど……みなさん優しい人ばかりでよかったです」
オーエンという人はちょっと怖かったけど、みんな、元の世界に戻りたいと思っているはず。
ファレスターが傍らの二人を交互に見ると、それぞれ驚いた顔をしてから、にっこりと口元を緩めた。
「俺は俺の出来ることをするから、一緒に頑張ろう」
「エマもいっぱい手伝うなの!」
キドとエマが、そう言ってファレスターと肩を抱き合う。
周りの植物たちは逞しく育って日の光を浴びている。まるで、自分たちも中庭にある一つの植物のようになった錯覚すらしてしまう程、心強い瞬間だった。
見たこともない木やツタが壁をつたい、飲み込まれてしまいそうなくらい大きな花が垂れ下がっているかと思えば、スミレのように小さな花が地面にたくさん咲いていて、中庭は、屋敷に取り囲まれた小さな森のようだった。
「ここ、素敵です」
とファレスターが言うと、前方を歩くキドが、そうだろう、と頷いた。
「エマやエリンがいつも手入れしているんだ。俺も気に入っている」
と、キドは一つのベンチに腰を掛け、ファレスターも隣に座った。
見回せば全てが植物でうっそうとしているのに、石畳の敷かれた道に邪魔な枝はないどころか、ベンチのあるここも、植物全てがまるで自ら意思を持って気遣いをしているように、避けて伸びている。
「森の中でピクニックしているみたいです」
とファレスターが言うと、キドはそうか、しか返さなかったが、その表情は笑顔だったので、同じ気持ちだったら嬉しいな、と思った。
その時、ガサゴソと音がして、なんだろうと目を上げた先に、麦わら帽子をかぶった女性が、茂みの中から出てきた。
「あ、つぼみちゃん!」
女性は、キドを見るなりそう言い、傍らにいるファレスターに気付いてこちらに駆けてきた。
「救世主さんなの! エマは、エマ·ウッズなの!」
彼女は明るく笑った。
「私は、ファレスターです」
とファレスターは名乗りながら、エマをよく観察してみた。
緑のエプロンを身に付け、ところどころに土埃がついている、茶髪の女性だ。
「エマは、庭師なの!」とエマは断りもなく、ファレスターの隣のベンチに腰を下ろした。「エリンと一緒に、ここの手入れをよくしてるなの」
「とても、素敵な場所だなって思いました」
ファレスターは素直な感想をエマに伝えた。
エマは嬉しそうににっこりと笑い、つと指を突き出した。
「ここにはいっぱい見たことのないお花があるなの! あれはラフレシアン、あれは、虹色草で……」
と話すエマはとても楽しそうで、無邪気な子どものようだった。
「ここには、私の知らないものがたくさんあって、ちょっとドキドキするけど……みなさん優しい人ばかりでよかったです」
オーエンという人はちょっと怖かったけど、みんな、元の世界に戻りたいと思っているはず。
ファレスターが傍らの二人を交互に見ると、それぞれ驚いた顔をしてから、にっこりと口元を緩めた。
「俺は俺の出来ることをするから、一緒に頑張ろう」
「エマもいっぱい手伝うなの!」
キドとエマが、そう言ってファレスターと肩を抱き合う。
周りの植物たちは逞しく育って日の光を浴びている。まるで、自分たちも中庭にある一つの植物のようになった錯覚すらしてしまう程、心強い瞬間だった。