異世界の自分
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ここに住んでいる人たちは、魔法使いさんなんですよね……」
たった一日で様々なものを目の当たりにしてきたファレスター。もう、魔法使いだろうが予言者だろうが驚きはしない、とファレスターは思っていた。
すると、スノウがイタズラっぽく笑った。
「ほっほっほっ。そうじゃな。我らは魔法使いじゃ」
「じゃが、イライは少し違うようじゃがのう」
とホワイトがイライを一瞥した。イライは相変わらずにこりと微笑むだけだ。
「その……でも私、救世主とか、よく分からなくて」
ファレスターは正直なことを言った。
この世界に来た過程も、人形のことも分かったつもりだったが、なぜ、自分が救世主なのか。世界の狭間にいた理由も分からないままだが、魔法使いでもなんでもないただの一般人の自分がどうして、とファレスターは思っていたのである。
「我らにも、詳しいことは分からぬ」とスノウとホワイトは息ぴったりに話を続けた。「しかし、我らの予言は絶対じゃ」
ファレスターはスノウとホワイトの瞳をみつめた。大きくて黄色い瞳が、闇夜を切り裂くかのようにファレスターを見つめ返していた。
嘘をついているようには見えなかった。
「私、何が出来るか分かりませんけど、出来ることならなんでもしたいと思ってます」
ファレスターがそう答えると、三人は心から嬉しそうに笑顔をこぼした。
「良かった……いきなり救世主の話をしたから、本当は嫌なんじゃないかと思ってました」イライはごく自然に、ファレスターの手を取った。「一緒に頑張りましょう。元の世界に戻るために」
「でも……」ファレスターにはまだ聞きたいことがあった。「イライさんはさっき、この世界は、別の世界の人を引き込むことで成り立っているって言ってましたよね……? それは、どういう意味なんですか?」
「それは我らが話そう」
「そうじゃな、スノウ」
スノウとホワイトが口を開いた。ファレスターはそちらへ顔を向ける。
「我らの元いた世界も、似たような世界の仕組みでのう」とまずはスノウが話始めた。「その世界も、厄災と戦う我らの魔法使いをまとめる、賢者という者が必要なのじゃ」
「厄災と戦う……お二人は強いんですね……」
ファレスターの目の前にいる彼らは、話し方は大人っぽくても子どもである。子どもが何かと戦うなんて半ば信じられないことだったが、深い事情があるのかもしれない、とファレスターは思った。
「ほほっ。我らは強いからのう」と次はホワイトが話を続けた。「この世界は、元いた世界の感覚とよく似ておる。もしかしてと思って予言を試みたら、我らを導く者がおると出てのう」
「それが、私だというんですか……?」
ファレスターはおそるおそる聞いた。彼らは深く頷いた。
「いや、でも、私、人を導くなんてそんな」
ファレスターは手を前に振った。ファレスターにはそんな経験は一切なかったのだ。
「ほっほっほっ。いきなりこう言われては困るじゃろう」
「明日にでも、晶から話を聞いてみると良いじゃろう」
とスノウとホワイトは言った。
「晶……?」
ファレスターは首を傾げた。
「確か、晶さんも、別の世界から来て人をまとめる役を背負っているんですよね」
とイライが問いかけのように説明をしてくれたが、ファレスターの頭の中はますます混乱した。
「我らが元いた世界は、賢者という人間が必要での」
「我らは、別世界にいる賢者を、魔法で召喚した。その人物が晶なのじゃ」
「そうなんですね……」とファレスターは相槌を打ったものの、まだ、この世界の事情とか救世主とか、飲み込めずにいた。「晶さん……覚えておきますね」
元の世界に戻るために。
スノウとホワイトは愉快そうに笑い、イライは少し申し訳なさそうに、よろしくお願いします、と言った。
たった一日で様々なものを目の当たりにしてきたファレスター。もう、魔法使いだろうが予言者だろうが驚きはしない、とファレスターは思っていた。
すると、スノウがイタズラっぽく笑った。
「ほっほっほっ。そうじゃな。我らは魔法使いじゃ」
「じゃが、イライは少し違うようじゃがのう」
とホワイトがイライを一瞥した。イライは相変わらずにこりと微笑むだけだ。
「その……でも私、救世主とか、よく分からなくて」
ファレスターは正直なことを言った。
この世界に来た過程も、人形のことも分かったつもりだったが、なぜ、自分が救世主なのか。世界の狭間にいた理由も分からないままだが、魔法使いでもなんでもないただの一般人の自分がどうして、とファレスターは思っていたのである。
「我らにも、詳しいことは分からぬ」とスノウとホワイトは息ぴったりに話を続けた。「しかし、我らの予言は絶対じゃ」
ファレスターはスノウとホワイトの瞳をみつめた。大きくて黄色い瞳が、闇夜を切り裂くかのようにファレスターを見つめ返していた。
嘘をついているようには見えなかった。
「私、何が出来るか分かりませんけど、出来ることならなんでもしたいと思ってます」
ファレスターがそう答えると、三人は心から嬉しそうに笑顔をこぼした。
「良かった……いきなり救世主の話をしたから、本当は嫌なんじゃないかと思ってました」イライはごく自然に、ファレスターの手を取った。「一緒に頑張りましょう。元の世界に戻るために」
「でも……」ファレスターにはまだ聞きたいことがあった。「イライさんはさっき、この世界は、別の世界の人を引き込むことで成り立っているって言ってましたよね……? それは、どういう意味なんですか?」
「それは我らが話そう」
「そうじゃな、スノウ」
スノウとホワイトが口を開いた。ファレスターはそちらへ顔を向ける。
「我らの元いた世界も、似たような世界の仕組みでのう」とまずはスノウが話始めた。「その世界も、厄災と戦う我らの魔法使いをまとめる、賢者という者が必要なのじゃ」
「厄災と戦う……お二人は強いんですね……」
ファレスターの目の前にいる彼らは、話し方は大人っぽくても子どもである。子どもが何かと戦うなんて半ば信じられないことだったが、深い事情があるのかもしれない、とファレスターは思った。
「ほほっ。我らは強いからのう」と次はホワイトが話を続けた。「この世界は、元いた世界の感覚とよく似ておる。もしかしてと思って予言を試みたら、我らを導く者がおると出てのう」
「それが、私だというんですか……?」
ファレスターはおそるおそる聞いた。彼らは深く頷いた。
「いや、でも、私、人を導くなんてそんな」
ファレスターは手を前に振った。ファレスターにはそんな経験は一切なかったのだ。
「ほっほっほっ。いきなりこう言われては困るじゃろう」
「明日にでも、晶から話を聞いてみると良いじゃろう」
とスノウとホワイトは言った。
「晶……?」
ファレスターは首を傾げた。
「確か、晶さんも、別の世界から来て人をまとめる役を背負っているんですよね」
とイライが問いかけのように説明をしてくれたが、ファレスターの頭の中はますます混乱した。
「我らが元いた世界は、賢者という人間が必要での」
「我らは、別世界にいる賢者を、魔法で召喚した。その人物が晶なのじゃ」
「そうなんですね……」とファレスターは相槌を打ったものの、まだ、この世界の事情とか救世主とか、飲み込めずにいた。「晶さん……覚えておきますね」
元の世界に戻るために。
スノウとホワイトは愉快そうに笑い、イライは少し申し訳なさそうに、よろしくお願いします、と言った。