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賑やかな時の中で

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色んな世界の住民たちと触れ合うことになる女の子です
色んな世界の住民たちと触れ合うことになる男の子です

「今日はもう疲れたでしょう? お部屋に案内しますわ」
 夕食を終えてると、ピーチがファレスターにそう言った。
「でも、今日来たばかりなのに……」
 とファレスターが言った。来たばかりの人の部屋の準備が、この短時間で用意出来たとでもいうのだろうか。
「大丈夫! マスターハンドは、創造の化身だから!」
 とフレイが謎の単語を言いながら、ファレスターの背中をぐいっと押した。
 ファレスターは不安を抱えつつ、ピーチとフレイの後についていく。
 そうして三人は、渡り廊下を通り、女子寮へと向かった。
 女子寮は、部屋がたくさんあり、床も壁も同じデザインの繰り返しで、時々、扉の前に名前や飾り付けをしている人がいるくらいで、迷子になってしまいそうだ、とファレスターは思った。
 そうして、ピーチとフレイがファレスターに案内した部屋は、かなり奥まったところだった。不思議なエレベーターも上がったので、だいぶ高いところに位置する。
「さ、今日はお休みになられて?」
「私の部屋が丁度この下にあるから、何かあったら来てね!」
 とピーチとフレイは親切にファレスターに言った。
「今日はありがとうごさいました、ピーチさん、フレイさん」
 とファレスターが丁寧におじぎをすると、フレイが目を大きく見開いた。
「私のことは、フレイでいいよ! もう友達でしょ?」
 ファレスターは息を飲んだ。それは、突然この世界に飛ばされてきたファレスターにとって、本当に、心から嬉しい言葉だった。
「うん、ありがとう、フレイ!」
 ファレスターが笑ってみせると、フレイも人懐っこそうに笑った。
「おやすみ、ファレスター!」
「おやすみ、フレイ」
 と会話をしているフレイとファレスターの横で、ピーチは微笑ましく笑みを零した。
「うふふ、素敵な友情ですわ。わたくしは、敬意を示すため、敬称はつけますわね?」
「はい、ピーチさん。これからも、よろしくお願いしますっ」
 ファレスターがそう答えると、ピーチはますます嬉しそうに笑顔になり、フレイとともにこの場から立ち去って行った。
 ファレスターは、彼女たちが見えなくなるまで見送りながら、自分は本当に運がよかったな、と思った。
 世界の狭間に飲み込まれ、それを助けようとしてくれたマスターハンド。
 そして、一日中屋敷の案内をしてくれた、ピーチとフレイ。
 ファレスターは心から感謝をしていた。
 この世界ならやっていける。なんの根拠もないが、ファレスターはそう思った。
 例え、もう元の世界に戻れなくても……。
 いや、とりあえずは、元の世界のことは考えないで置こう、とファレスターは部屋に入ろうとした。
ファレスターさん、ちょっといいですか?」
「……?」
 そこには、イライが立っていた。

「女子寮に入るのは気が引けたのですが……伝えたいことがあって」
 イライは、手身近にある廊下のソファに腰を下ろしながら、話し出した。
「伝えたいこと……?」
 なんだろう、とファレスターもソファに腰を座りながら、隠したままのイライの瞳をみつめた。
「預言のことなんです」とイライは話し始めた。「この世界は、別の世界の人たちを引き込むことで、成り立っている世界のようなんです」
「え……?」
 また、別の世界とかここの世界のことの話か、とファレスターは思ったが、とても大事な話のような気がした。
 ファレスターは心してイライの次の言葉を待った。
 しかし、イライはふっと視線を外し、誰もいないはずの廊下の奥を見やった。
 ファレスターは不思議に思いながら、つられて廊下の奥へ視線を投げた時、暗がりから二人の子どもがやって来たのだった。
「ほっほっほっ。続きは、我らが話そうかのう」
「我らの予言は絶対じゃからの」
 見た目とは裏腹に、随分と古めかしい口調をした二人の子どもが、ファレスターに向かって人懐っこい笑みを浮かべながら、イライとは反対側のソファに腰を下ろした。
 ファレスターは、イライと謎の二人の子どもに挟まれる形でソファに座っていることになる。
「えっと……」
 突然の新しい人物の登場にファレスターは驚きながら、二人の子どもを交互に見つめた。
 黒い髪をショートカットにした男の子が二人。顔も服装も瓜二つで、違いをみつけることが難しい程だった。言われなくても分かった。彼らは双子なのだと。
「我は、スノウ」
「我はホワイトじゃ」
「私はファレスターです……」
 戸惑いつつも、ファレスターは双子に倣って名乗った。
「うむ、よく知っておる」
「なぜなら、おぬしがここに来る前から知っていたからのう」
 とスノウとホワイトはそれぞれ頷いた。
「知っていた……? どうして……」
 よく分からずにファレスターはイライへ目を向けた。イライも穏やかな笑みを浮かべて頷いた。
「彼らも、予言者なのですよ」
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