賑やかな時の中で
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クロエとひとしきり話し終えておしゃれなお店を出た時には、外は夕暮れだった。
「まぁ! 素敵な夕日!」
とピーチが、すぐそばだというのにドレスの裾を一度も踏まずに駆け、廊下の窓を覗き込んだ。
「本当だ! 今日はずっと晴れだったね!」とフレイも窓へと近寄っていき、それからファレスターを振り向いた。「ほら、ファレスターも早く早く!」
「うん!」
とファレスターも窓辺に向かい、後ろで物静かについてくるウォルと一緒に、海へ沈んでいく夕日を眺めた。
すると、ファレスターはだんだんと、悲しくなってきた。今までいつも通りに見ていた電車から眺めていたビル街の夜景がファレスターの脳裏に浮かび、ぽろりと涙があふれた。
「あら、ファレスター様、こちらを……」
ファレスターの様子に真っ先に気が付いたピーチが、桃色のハンカチを渡してくれた。それを目元に当てると、ふわりと甘い香りがして、ファレスターはとうとう、声を出して泣き出してしまった。
「ファレスター……よしよし」
傍らで、フレイはまるで子どもをあやすようにファレスターの頭を撫でてくれた。
ファレスターは、帰れなくなった元の世界へ思いを馳せた。
「必ず戻ろう」
凛とした声が、後ろから掛かった。振り向けば、ウォルが真っ直ぐとファレスターをみつめていた。
「元の世界に戻る方法を必ずみつける。だから、我々と共に戦おう」
それは、とても心強い言葉だった。
「……はいっ!」
ファレスターが涙を拭って頷くと、左右にいるピーチとフレイが優しく背中や肩を撫でてくれた。
例え元の世界に戻れなくても。
みんなと一緒なら、なんとかなれる気がした。
「腹減ったァ!」
ファレスターは、ピーチとフレイ、ウォル共に、食堂へと向かっていた。
食堂には、随分と身軽過ぎる格好をした麦わら帽子を被った少年が、たった今そんな声をあげていたところだった。
「あんたはいつもそれだな」
麦わら帽子の少年に、気だるそうな声を返している水色髪の男性。ほらよ、と食事を配っているところ、料理人のように見えた。
「まぁ、ルフィ様のお食事、美味しそうですわね!」
ピーチがふわりと駆け出し、麦わら帽子の少年、ルフィのお皿を覗き込んだ。
ルフィは慌てて自分に出された食事を抱えた。
「なんだ、ピーチ! これはおれのもんだぞ! 誰にも渡さねェ!」
とルフィが言ったが、ピーチはくすくすと笑うばかり。失礼ながら、ファレスターもつられて笑ってしまった。
「ルフィって食べるの大好きだもんね♪︎」
とフレイが言うと、おう! とルフィは嬉しそうに笑った。
「誰もあんたの飯を取ったりしねぇよ」と水色髪の料理人が言い、ファレスターたちを見上げた。「あんたらのもちゃんと用意してるから……って、あんたは新しい住人か?」
「あ、ファレスターです!」
ファレスターは出来るだけ丁寧におじぎをし、今日からここに住むことになったのでよろしくお願いします、とも言った。
水色髪の料理人は、気だるそうにこう名乗った。
「俺はネロだ。……あー、えーっと、一応、東の国の魔法使いでな」
「魔法使い……!」
ファレスターはその言葉に胸がときめいた。フレイが見せてくれたあの魔法はちょっと危険だったが、何もないところから火を出したり消したりするのはとても便利だろうな、とファレスターは思い始めていたからだ。
魔法とは一体どんなものなのか、詳しく聞こうとした時に、厨房から人が飛び出してきた。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁ……! お美しいお嬢さん……! 僕はあなたの流木になりたい……!」
「え……?」
突然何事かとファレスターはその人をよく見てみる。
厨房から、まるで風のように飛び出してきたその人は、金髪にぐるぐるした眉毛が特徴的な男性だった。
ネロと似たような腰エプロンを身につけているところ料理人のようだが、彼は目の前で膝まつき、断りもなくファレスターの手を取った。
「お美しい……ぜひ、僕の作った料理を食べ……ぐぼへっ」
ぐるぐる眉毛の彼が言い切らない内に、誰かの拳が飛んできた。
「はいはい。いきなりナンパはやめよーねー、サンジさん〜」
にこにこ顔だが明らかに怒っている様子のフレイだった。
「フレイちゃん……幸せだァ……」
一方の殴られた彼は、頭のタンコブが大きく膨れ上がっているというのになぜか幸せそうに床に倒れている。
「えっと、大丈夫、ですか……?」
何がなんだか分からないで膝をつくファレスターに、マイペースなピーチが近付いてきた。
「サンジ様はとてもお強いので、きっと大丈夫ですわ」
「でも……」
サンジと呼ばれている彼は、やはり床に倒れたまま微動だにしない、と思いきや。
「ピーチさん……!」サンジはいきなり起き上がった。「あなたの花のような美しさはまさに天使だ! ぜひ今度僕とお茶でも……ぶへっ?!」
本日二度目のフレイの拳。
極端過ぎるサンジのナンパの仕方に、フレイはやれやれとため息をつきながら、さっきから入口で立ち尽くしたままのウォルを振り向いた。
「ライトー、サンジさんを医務室に連れてってー」
「いいだろう」
間もなく、サンジはウォルに抱えられて食堂を出て行った。
「まぁ! 素敵な夕日!」
とピーチが、すぐそばだというのにドレスの裾を一度も踏まずに駆け、廊下の窓を覗き込んだ。
「本当だ! 今日はずっと晴れだったね!」とフレイも窓へと近寄っていき、それからファレスターを振り向いた。「ほら、ファレスターも早く早く!」
「うん!」
とファレスターも窓辺に向かい、後ろで物静かについてくるウォルと一緒に、海へ沈んでいく夕日を眺めた。
すると、ファレスターはだんだんと、悲しくなってきた。今までいつも通りに見ていた電車から眺めていたビル街の夜景がファレスターの脳裏に浮かび、ぽろりと涙があふれた。
「あら、ファレスター様、こちらを……」
ファレスターの様子に真っ先に気が付いたピーチが、桃色のハンカチを渡してくれた。それを目元に当てると、ふわりと甘い香りがして、ファレスターはとうとう、声を出して泣き出してしまった。
「ファレスター……よしよし」
傍らで、フレイはまるで子どもをあやすようにファレスターの頭を撫でてくれた。
ファレスターは、帰れなくなった元の世界へ思いを馳せた。
「必ず戻ろう」
凛とした声が、後ろから掛かった。振り向けば、ウォルが真っ直ぐとファレスターをみつめていた。
「元の世界に戻る方法を必ずみつける。だから、我々と共に戦おう」
それは、とても心強い言葉だった。
「……はいっ!」
ファレスターが涙を拭って頷くと、左右にいるピーチとフレイが優しく背中や肩を撫でてくれた。
例え元の世界に戻れなくても。
みんなと一緒なら、なんとかなれる気がした。
「腹減ったァ!」
ファレスターは、ピーチとフレイ、ウォル共に、食堂へと向かっていた。
食堂には、随分と身軽過ぎる格好をした麦わら帽子を被った少年が、たった今そんな声をあげていたところだった。
「あんたはいつもそれだな」
麦わら帽子の少年に、気だるそうな声を返している水色髪の男性。ほらよ、と食事を配っているところ、料理人のように見えた。
「まぁ、ルフィ様のお食事、美味しそうですわね!」
ピーチがふわりと駆け出し、麦わら帽子の少年、ルフィのお皿を覗き込んだ。
ルフィは慌てて自分に出された食事を抱えた。
「なんだ、ピーチ! これはおれのもんだぞ! 誰にも渡さねェ!」
とルフィが言ったが、ピーチはくすくすと笑うばかり。失礼ながら、ファレスターもつられて笑ってしまった。
「ルフィって食べるの大好きだもんね♪︎」
とフレイが言うと、おう! とルフィは嬉しそうに笑った。
「誰もあんたの飯を取ったりしねぇよ」と水色髪の料理人が言い、ファレスターたちを見上げた。「あんたらのもちゃんと用意してるから……って、あんたは新しい住人か?」
「あ、ファレスターです!」
ファレスターは出来るだけ丁寧におじぎをし、今日からここに住むことになったのでよろしくお願いします、とも言った。
水色髪の料理人は、気だるそうにこう名乗った。
「俺はネロだ。……あー、えーっと、一応、東の国の魔法使いでな」
「魔法使い……!」
ファレスターはその言葉に胸がときめいた。フレイが見せてくれたあの魔法はちょっと危険だったが、何もないところから火を出したり消したりするのはとても便利だろうな、とファレスターは思い始めていたからだ。
魔法とは一体どんなものなのか、詳しく聞こうとした時に、厨房から人が飛び出してきた。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁ……! お美しいお嬢さん……! 僕はあなたの流木になりたい……!」
「え……?」
突然何事かとファレスターはその人をよく見てみる。
厨房から、まるで風のように飛び出してきたその人は、金髪にぐるぐるした眉毛が特徴的な男性だった。
ネロと似たような腰エプロンを身につけているところ料理人のようだが、彼は目の前で膝まつき、断りもなくファレスターの手を取った。
「お美しい……ぜひ、僕の作った料理を食べ……ぐぼへっ」
ぐるぐる眉毛の彼が言い切らない内に、誰かの拳が飛んできた。
「はいはい。いきなりナンパはやめよーねー、サンジさん〜」
にこにこ顔だが明らかに怒っている様子のフレイだった。
「フレイちゃん……幸せだァ……」
一方の殴られた彼は、頭のタンコブが大きく膨れ上がっているというのになぜか幸せそうに床に倒れている。
「えっと、大丈夫、ですか……?」
何がなんだか分からないで膝をつくファレスターに、マイペースなピーチが近付いてきた。
「サンジ様はとてもお強いので、きっと大丈夫ですわ」
「でも……」
サンジと呼ばれている彼は、やはり床に倒れたまま微動だにしない、と思いきや。
「ピーチさん……!」サンジはいきなり起き上がった。「あなたの花のような美しさはまさに天使だ! ぜひ今度僕とお茶でも……ぶへっ?!」
本日二度目のフレイの拳。
極端過ぎるサンジのナンパの仕方に、フレイはやれやれとため息をつきながら、さっきから入口で立ち尽くしたままのウォルを振り向いた。
「ライトー、サンジさんを医務室に連れてってー」
「いいだろう」
間もなく、サンジはウォルに抱えられて食堂を出て行った。