屋敷の暮らし始め
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マスターハンドたちの執務室を出ると、心配そうに話し込んでいたマリオたちの姿があった。
「私、ここに住むことになりました!」
まるで、保護者に報告するようにファレスターが彼らに明るく話すと、マリオたちはやったーとバンザイをしたり飛び上がったりと喜んでくれた。
「ファレスター、よかったよー!」
とファレスターに抱きついてきたのはフレイ。
びっくりしつつも抱き返していると、急にファレスターから離れて、またあの人懐っこい笑顔を見せた。
「それじゃあ、早速、このお屋敷の案内しなきゃね!」
「それなら、わたくしもついて行きますわ」
フレイの言葉に、ピーチが反応した。
「それじゃあ、ファレスターのことは女性陣に任せようか」
と言ったのはレスト。彼も、フレイそっくりな笑顔で、マリオとイライを振り向いた。
「うん、そうだね。ピーチ、頼んだよ」
「ゆっくりしていってくださいね、ファレスターさん」
マリオとイライはそれぞれそう言って頷いた。
「は、はい……!」
とファレスターは返事をし、間もなく、二人の女性に連れられてその場を立ち去った。
元の世界に戻るために何が出来るか分からないけれど、ここで出来ることはどんなこともやろう。
ファレスターは、そう思ったのだった。
ピーチとフレイの話を聞きながら、ファレスターは屋敷内をあちこちと歩き回ることになった。
まず、屋敷のことである。
見上げると首が痛くなる程高いこの屋敷の階層は、不思議なことに、いくつあるのか誰も知らないという。ある人は、百階とも言うし、また別の人は千階もある、という話だが、屋敷を外から見ようとしても特殊な魔法がかかっていて、明確な階層ははっきりしないんだそうだ。
「魔法って、存在するんですね……」
とファレスターが半信半疑で言葉にすると、ピーチはにこりと笑った。
「わたくしも、最初は驚きましたわ。でもきっとそれは、大切な人を助けたり守ったりする、一人一人の個性だと思ってますの。マリオが、ファイアフラワーで火を使うのと同じだと思いますわ」
「えーっと、半分何言ってるか分からないけど……屋敷を隠すことが、みんなのことを守っているんですか?」
とファレスターが聞くと、ピーチはきょとんとした顔をし、フレイは難しい顔をした。
「よく分かんないけど……マスターハンドのやることだからさ」
とフレイが首を傾けると、おしゃれな飾りをつけた彼女のツインテールがゆらりと揺れた。
フレイは、こうして話していると分かったのだが、考えるのがどうも苦手らしい。ピーチ程天然ではなく、むしろしっかりしているのだが、どことなく、不思議な雰囲気を持っていた。
「そういえば! 私も魔法使えるんだよ!」思い出したように、フレイは言った。「見てみて、ファレスター! ファイアーボール!」
フレイは唐突に、腕を大きく振って円を描いた。
なんだろう、とファレスターがその行動を見守っていると、フレイが宙に描いた円の中心から、火の玉が飛び出してきたのだ。
「わぁ……!」
ファレスターが驚いたのも束の間、フレイが繰り出した魔法の火の玉が、廊下の絨毯へと燃え移り……。
「あら、燃えてしまいますわ」
なんてピーチはのんきに言い始めたが、そんな悠長なことを言っている場合ではない。
「フ、フレイさん、火を消さないと!」
ファレスターはフレイを見やった。
「え、ええっと……確か、水の呪文は……」
「シールドオブライト」
別の声が飛んだ。
フレイが手間取っていた時、突如現れた男性が、眩い光を放ちながら近付いてきて、あっという間に鎮火させていった。
「それも、魔法……?」
何が起きたのか分からずにぼんやりとするファレスターの横で、フレイが、あ! と声をあげた。
「ライトじゃん! やっほー!」
やっほーと言っている場合なのだろうか、とファレスターは思いつつ、魔法で火を消したのだろう男性を見上げた。
というのも、その男性はすらりと背が高い。それだけではなく、青い鎧に身を包んでいるのでよく見えないが、長めの銀髪から垣間見える紫がかった青い瞳と高い鼻のある白い肌から、かなりの美形であると伺えた。
「あら、ウォーリア·オブ·ライト様、ごきげんよう」
ファレスターの傍らにいるピーチが、上品におじぎをした。
それを見るなり、ウォーリア·オブ·ライトと呼ばれた人は小さく頷き、それから、ファレスターへと視線を落とした。
「……君は?」
「あ、ファレスターです!」
屋敷内にいるのだから、きっと彼もここの住民である。失礼にならないようにと、ファレスターなりの精一杯の挨拶を丁寧にした。
「そうか。……私は、ウォーリア·オブ·ライトだ」
凛とした声でそう答える、ウォーリア·オブ·ライト。
「ウォーリア……オブ……?」
あまりにも長い名前で一度で覚えられなかったファレスターが首を傾げていると、ウォーリア·オブ·ライトは嫌な顔一つせず、そうだな、と言葉を続けた。
「私の名前は呼びにくいだろう。皆の者には、wol(ウォル)と呼ばれている。好きに呼んでもらって構わない」
「ウォルさん……!」
これなら呼びやすい名前だ、とファレスターが顔を上げると、表情にあまり変化がないのに嫌な気がしないウォルが、ウム、と頷いた。
「ライトって呼んでもいいのに〜」
とフレイが言うと、ピーチはこう付け足した。
「ライトニング様のライトと混合しないようにしているのですわよ、フレイ様」
その言葉に対し、そっかーと明るく笑ったフレイだが、似てる名前がいる程、ここに住んでいる人は多いのか、とファレスターは考えた。
「ファレスターは、新しいここの住人なのか」
とウォルが話を戻した。
「そうなんですの。今から、ファレスター様とショッピングですわ」
とピーチが話を始めたが、ショッピングをするなんて今初めて聞いた、とファレスターが言おうとした時、フレイが遮るようにこう言った。
「うん、それいいね! ほら、ここに住むんだから、まずはお洋服買わなきゃ!」それから、フレイはウォルを振り向いた。「そういうことだから、ウォルはさっさとあっち行ってね! 今から三人で女子会だから!」
「あら、女子会、素敵ですわ! ウォーリア·オブ·ライト様もぜひご一緒に」
女子会の趣旨を知らないのか、フレイとは真逆なことを言い始めるピーチ。いやいや、それよりも……。
「あの、私、ショッピングなんて一言も……」
するとは言ってない、とファレスターは言いかけた。
「女子会か。いいだろう。私もお供するとしよう」
見た目に寄らず、ウォルも天然だった。
「私、ここに住むことになりました!」
まるで、保護者に報告するようにファレスターが彼らに明るく話すと、マリオたちはやったーとバンザイをしたり飛び上がったりと喜んでくれた。
「ファレスター、よかったよー!」
とファレスターに抱きついてきたのはフレイ。
びっくりしつつも抱き返していると、急にファレスターから離れて、またあの人懐っこい笑顔を見せた。
「それじゃあ、早速、このお屋敷の案内しなきゃね!」
「それなら、わたくしもついて行きますわ」
フレイの言葉に、ピーチが反応した。
「それじゃあ、ファレスターのことは女性陣に任せようか」
と言ったのはレスト。彼も、フレイそっくりな笑顔で、マリオとイライを振り向いた。
「うん、そうだね。ピーチ、頼んだよ」
「ゆっくりしていってくださいね、ファレスターさん」
マリオとイライはそれぞれそう言って頷いた。
「は、はい……!」
とファレスターは返事をし、間もなく、二人の女性に連れられてその場を立ち去った。
元の世界に戻るために何が出来るか分からないけれど、ここで出来ることはどんなこともやろう。
ファレスターは、そう思ったのだった。
ピーチとフレイの話を聞きながら、ファレスターは屋敷内をあちこちと歩き回ることになった。
まず、屋敷のことである。
見上げると首が痛くなる程高いこの屋敷の階層は、不思議なことに、いくつあるのか誰も知らないという。ある人は、百階とも言うし、また別の人は千階もある、という話だが、屋敷を外から見ようとしても特殊な魔法がかかっていて、明確な階層ははっきりしないんだそうだ。
「魔法って、存在するんですね……」
とファレスターが半信半疑で言葉にすると、ピーチはにこりと笑った。
「わたくしも、最初は驚きましたわ。でもきっとそれは、大切な人を助けたり守ったりする、一人一人の個性だと思ってますの。マリオが、ファイアフラワーで火を使うのと同じだと思いますわ」
「えーっと、半分何言ってるか分からないけど……屋敷を隠すことが、みんなのことを守っているんですか?」
とファレスターが聞くと、ピーチはきょとんとした顔をし、フレイは難しい顔をした。
「よく分かんないけど……マスターハンドのやることだからさ」
とフレイが首を傾けると、おしゃれな飾りをつけた彼女のツインテールがゆらりと揺れた。
フレイは、こうして話していると分かったのだが、考えるのがどうも苦手らしい。ピーチ程天然ではなく、むしろしっかりしているのだが、どことなく、不思議な雰囲気を持っていた。
「そういえば! 私も魔法使えるんだよ!」思い出したように、フレイは言った。「見てみて、ファレスター! ファイアーボール!」
フレイは唐突に、腕を大きく振って円を描いた。
なんだろう、とファレスターがその行動を見守っていると、フレイが宙に描いた円の中心から、火の玉が飛び出してきたのだ。
「わぁ……!」
ファレスターが驚いたのも束の間、フレイが繰り出した魔法の火の玉が、廊下の絨毯へと燃え移り……。
「あら、燃えてしまいますわ」
なんてピーチはのんきに言い始めたが、そんな悠長なことを言っている場合ではない。
「フ、フレイさん、火を消さないと!」
ファレスターはフレイを見やった。
「え、ええっと……確か、水の呪文は……」
「シールドオブライト」
別の声が飛んだ。
フレイが手間取っていた時、突如現れた男性が、眩い光を放ちながら近付いてきて、あっという間に鎮火させていった。
「それも、魔法……?」
何が起きたのか分からずにぼんやりとするファレスターの横で、フレイが、あ! と声をあげた。
「ライトじゃん! やっほー!」
やっほーと言っている場合なのだろうか、とファレスターは思いつつ、魔法で火を消したのだろう男性を見上げた。
というのも、その男性はすらりと背が高い。それだけではなく、青い鎧に身を包んでいるのでよく見えないが、長めの銀髪から垣間見える紫がかった青い瞳と高い鼻のある白い肌から、かなりの美形であると伺えた。
「あら、ウォーリア·オブ·ライト様、ごきげんよう」
ファレスターの傍らにいるピーチが、上品におじぎをした。
それを見るなり、ウォーリア·オブ·ライトと呼ばれた人は小さく頷き、それから、ファレスターへと視線を落とした。
「……君は?」
「あ、ファレスターです!」
屋敷内にいるのだから、きっと彼もここの住民である。失礼にならないようにと、ファレスターなりの精一杯の挨拶を丁寧にした。
「そうか。……私は、ウォーリア·オブ·ライトだ」
凛とした声でそう答える、ウォーリア·オブ·ライト。
「ウォーリア……オブ……?」
あまりにも長い名前で一度で覚えられなかったファレスターが首を傾げていると、ウォーリア·オブ·ライトは嫌な顔一つせず、そうだな、と言葉を続けた。
「私の名前は呼びにくいだろう。皆の者には、wol(ウォル)と呼ばれている。好きに呼んでもらって構わない」
「ウォルさん……!」
これなら呼びやすい名前だ、とファレスターが顔を上げると、表情にあまり変化がないのに嫌な気がしないウォルが、ウム、と頷いた。
「ライトって呼んでもいいのに〜」
とフレイが言うと、ピーチはこう付け足した。
「ライトニング様のライトと混合しないようにしているのですわよ、フレイ様」
その言葉に対し、そっかーと明るく笑ったフレイだが、似てる名前がいる程、ここに住んでいる人は多いのか、とファレスターは考えた。
「ファレスターは、新しいここの住人なのか」
とウォルが話を戻した。
「そうなんですの。今から、ファレスター様とショッピングですわ」
とピーチが話を始めたが、ショッピングをするなんて今初めて聞いた、とファレスターが言おうとした時、フレイが遮るようにこう言った。
「うん、それいいね! ほら、ここに住むんだから、まずはお洋服買わなきゃ!」それから、フレイはウォルを振り向いた。「そういうことだから、ウォルはさっさとあっち行ってね! 今から三人で女子会だから!」
「あら、女子会、素敵ですわ! ウォーリア·オブ·ライト様もぜひご一緒に」
女子会の趣旨を知らないのか、フレイとは真逆なことを言い始めるピーチ。いやいや、それよりも……。
「あの、私、ショッピングなんて一言も……」
するとは言ってない、とファレスターは言いかけた。
「女子会か。いいだろう。私もお供するとしよう」
見た目に寄らず、ウォルも天然だった。