屋敷にて
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「クレイジーハンド、アレを用意してよ」
マスターハンドが、唐突に言った。
クレイジーハンドは不服そうな様子だったが、奥にある扉を開けて中へと入って行った。
そして、クレイジーハンドが戻ってくると、その大きな手には、大きな絵画があった。
ファレスターは、その絵を見て息を飲んだ。
暗闇の中に立つボロボロの人形が数体、剣や斧などの武器を持って、今にも襲いかからんとしている絵だったからだ。
「これは……」
「これは、エドガーくんが描いてくれたものなんだけどね」とマスターハンドは説明を始めた。「この世界にいる人形たちは、自らの意志を持って僕たちを襲うんだよ」
「お、襲う……? どうして……?」
ファレスターは訊ねたが、マスターハンドは、さぁ? と言うかのように手の平を天井に向けた。
「僕たちがここに来た途端、敵意むき出しでね。ここが元々人形の街とかだったなら分かるけど、最初ここには何もなかったんだ。森と海と、花畑の丘だけ」
もしかしたら、ここは人形の国の一部なのかも、とマスターハンドは付け足したが、半日程の距離も、海と森しかないらしく、はっきりとは分からないということだった。
「だから私が、救世主かもしれないってことですか……?」
ファレスターはさらに訊いた。マスターハンドはこくりと指を折り曲げた。
「というのは、占い師のイライ君が預言したからだろうけど」とマスターハンドは話し続ける。「ここにファレスターさんを連れてこようとした時、人形は、それを妨害した。つまり、ファレスターさんがここに来て欲しくなかった強い理由があると、僕は思っていてね」
「偶然ダロ」
マスターハンドの言葉に、クレイジーハンドは言葉を挟んだ。ファレスターはクレイジーハンドを見やる。
クレイジーハンドはぐっとファレスターに詰め寄って指を突き出した。
「人形はたまたま、間違えて味方を攻撃したって線もある。もしくは、俺たちを騙すためにわざと攻撃したとか」
とクレイジーハンドは言うのである。
「そんな、私……」
なんて返したらいいのか分からずに、ファレスターは言葉を詰まらせる。
「実はお前が人形かもしれないダロ?」
「えっ」
ファレスターはクレイジーハンドの言葉に驚きながら、もう一度、絵の中の人形を見返した。
絵の中の人形は、肩や膝が破れて白い綿が飛び出していた。ファレスターにはそのような見た目は全くなく、もちろん、自分が人形だと思ったことはなかったが、彼らからしたら、私は別の世界から来た知らない人物。そう思われても仕方ないのかもしれない、とファレスターは思った。
「そうかも、しれないですけど……」ファレスターは、自分の胸に手を当てた。「元の世界に戻りたいと思ってますし……私、何も出来ないですけど、元の世界に戻るためなら、精一杯頑張ります……!」
口調を強めてファレスターは言った。
そのすごみにたじろいだのか、クレイジーハンドはやや後ずさった。
その横で、マスターハンドがすっと前に出た。
「ありがとう、ファレスターさん。君を助けてよかったと、心からそう思うよ」それからマスターハンドは、二本の指で床に降り立ち、おじぎをするかのようにファレスターに向かって体勢を低くした。「今日から君も、この屋敷の仲間だ。歓迎するよ、ファレスターさん」
「……! ありがとうございます……!」
ファレスターは何度も頭を下げた。横目で、クレイジーハンドの視線を感じながら。
マスターハンドが、唐突に言った。
クレイジーハンドは不服そうな様子だったが、奥にある扉を開けて中へと入って行った。
そして、クレイジーハンドが戻ってくると、その大きな手には、大きな絵画があった。
ファレスターは、その絵を見て息を飲んだ。
暗闇の中に立つボロボロの人形が数体、剣や斧などの武器を持って、今にも襲いかからんとしている絵だったからだ。
「これは……」
「これは、エドガーくんが描いてくれたものなんだけどね」とマスターハンドは説明を始めた。「この世界にいる人形たちは、自らの意志を持って僕たちを襲うんだよ」
「お、襲う……? どうして……?」
ファレスターは訊ねたが、マスターハンドは、さぁ? と言うかのように手の平を天井に向けた。
「僕たちがここに来た途端、敵意むき出しでね。ここが元々人形の街とかだったなら分かるけど、最初ここには何もなかったんだ。森と海と、花畑の丘だけ」
もしかしたら、ここは人形の国の一部なのかも、とマスターハンドは付け足したが、半日程の距離も、海と森しかないらしく、はっきりとは分からないということだった。
「だから私が、救世主かもしれないってことですか……?」
ファレスターはさらに訊いた。マスターハンドはこくりと指を折り曲げた。
「というのは、占い師のイライ君が預言したからだろうけど」とマスターハンドは話し続ける。「ここにファレスターさんを連れてこようとした時、人形は、それを妨害した。つまり、ファレスターさんがここに来て欲しくなかった強い理由があると、僕は思っていてね」
「偶然ダロ」
マスターハンドの言葉に、クレイジーハンドは言葉を挟んだ。ファレスターはクレイジーハンドを見やる。
クレイジーハンドはぐっとファレスターに詰め寄って指を突き出した。
「人形はたまたま、間違えて味方を攻撃したって線もある。もしくは、俺たちを騙すためにわざと攻撃したとか」
とクレイジーハンドは言うのである。
「そんな、私……」
なんて返したらいいのか分からずに、ファレスターは言葉を詰まらせる。
「実はお前が人形かもしれないダロ?」
「えっ」
ファレスターはクレイジーハンドの言葉に驚きながら、もう一度、絵の中の人形を見返した。
絵の中の人形は、肩や膝が破れて白い綿が飛び出していた。ファレスターにはそのような見た目は全くなく、もちろん、自分が人形だと思ったことはなかったが、彼らからしたら、私は別の世界から来た知らない人物。そう思われても仕方ないのかもしれない、とファレスターは思った。
「そうかも、しれないですけど……」ファレスターは、自分の胸に手を当てた。「元の世界に戻りたいと思ってますし……私、何も出来ないですけど、元の世界に戻るためなら、精一杯頑張ります……!」
口調を強めてファレスターは言った。
そのすごみにたじろいだのか、クレイジーハンドはやや後ずさった。
その横で、マスターハンドがすっと前に出た。
「ありがとう、ファレスターさん。君を助けてよかったと、心からそう思うよ」それからマスターハンドは、二本の指で床に降り立ち、おじぎをするかのようにファレスターに向かって体勢を低くした。「今日から君も、この屋敷の仲間だ。歓迎するよ、ファレスターさん」
「……! ありがとうございます……!」
ファレスターは何度も頭を下げた。横目で、クレイジーハンドの視線を感じながら。