それは、爆音のような叫び声と共に会議室に入ってきた。
｢おい、もう少し静かにしないか｣
　その叫び声を制する誰かの声と、人間とは思えない人影も会議室に見え、ファレスターは一瞬息を飲んだ。
｢おかえり〜、三人とも〜♪｣
　ファレスターの様子とは全くの正反対なマスターハンドは、快く会議室に飛び込んできた三人を出迎えた。他の人たちの表情はまちまちで、特に沢田綱吉は、非常に驚いた顔をしていた。
　会議室に入って来たのは三人、のはずだ。一人は長い銀髪の男性で、片腕に刃物にも見える何かを身につけていた。
　そしてもう一人は一見普通の黒髪の男性。キリっとした目と彫りの深い顔はまさに美形で、モテるタイプの男性だろうということが分かる。黒を基調とした格好をしていてスタイルが抜群だ。
　三人目が、人間かどうか怪しい人物だった。ファレスターからしても膝下くらいしかない背丈に、全身黒くて丸い生き物。しかもなぜか体はペラペラで、立体がないのがますますその奇妙さを出していた。
｢えっと……｣
　ファレスターが言葉を詰まらせている間に、マスターハンドは三人に近付いてきていた。
｢今は会議中なんだけど、何かあった〜？｣
｢何かあったも何もねぇ！　この俺がやってやったんだからよぉ”ぉ”ぉ”……！｣
　ゆったりとしたマスターハンドに対し、銀髪の男性は必要以上に大声でそう叫ぶ。
｢違う。やったのは俺だ｣
　その男性の隣にいる黒髪の男性が、やれやれとため息をつきながら冷静にそう呟いた。そこに小さなペラペラ人間が割って入ってきた。
｢も〜う、こんなことでケンカしないでよね〜、二人ともイケメンなんだから！｣
　ペラペラ人間のどこに発生器があるというのか、真っ黒な顔から出てきた丸い口からそれは喋った。と、そのペラペラ人間がファレスターと目が合った、気がした。というのは、ペラペラ人間には目と思われるものがなかったからである。
｢あれ、こんな可愛い女の子いたっけ〜？｣とペラペラ人間が喋りながらファレスターに近づいてきた。｢初めまして、ボクはミスターゲームアンドウォッチさ！　気軽にゲムヲって呼んでよ♪｣
｢は、はぁ……｣
　マスターハンドの分身かと思う程明るくマイペースそうな口調でペラペラ人間であるゲムヲがそう名乗った。ファレスターはなんとか返事をしたつもりだが、頭の中は全く整理がつかなかった。
｢それで〜、やったってのは何をやったんだい〜？｣
　そこに、マスターハンドが話を戻すように三人に質問を投げた。