食事を終え、案内されるままに自室へ戻るファレスターは、今日起きたことや今までをノートに記しながら、色々と思い出していた。
｢聖なる炎はなかった……｣呟きながら、ファレスターはイライの言葉を思い出していた。｢イライさんの言葉は嘘だった……？｣
　と口にしたものの、あのイライが、嘘をつくような性格ではないように思えていた。だがそうなると、何がおかしかったのか分からない。近くにいた骨だけの鳥も気になるし……。
　ファレスターは考えれば考える程眠れなくなり、布団に潜りながら、図書室で借りた本へ目を通すことにした。
｢確かこれは……｣
　最初に目についたのは、エマから勧められたぶ厚い本。彼女はこの本を、ルフィたちの話だと言っていたが、開いてみるとそれは小説とかではなく、果物の描かれた図鑑だった。
　しかも、その図鑑に描かれている果物は普通ではなく、見た目はどこかコミカルで、名前も覚えやすい音の繰り返しがついていた。
｢アワアワの実にイヌイヌの実……？｣随分おかしな名前がついているんだなぁと思ったファレスターだったが、ふととある単語を思い出してページを開いた。｢まさか、ルフィのゴムゴムの実も……？｣
　ONEPIECEという漫画にも、ゴムゴムの実のことは描かれていたが、ファレスターはもっとよく知りたいと思っていたのだ。
　図鑑には、悪魔の実のことが事細かに書かれていた。それは、ゴムゴムの実だけではなく、ロビンのハナハナの実の能力、そして、チョッパーの能力も悪魔の実から来るものだったということも分かった。
｢色々あるんだなぁ……｣
　とファレスターがどんどん調べている内に……。

｢う〜ん……｣
　ゆっくりと目を覚ますファレスター。明るい窓が見え、ファレスターは慌てて起き上がった。
｢もう朝……？｣
　寝ぼけ眼をこすりながらファレスターは一人呟く。時計がないので時間の確かめようがないが、またもや閉め忘れたカーテンのかかっていない窓から、明るい光が射し込んでいた。
｢出てこぉい！｣
　そんな時、廊下の方から声がした。
｢なんだろう……モーニングコールとかかな？｣
　今日も、キドさんが呼びに来てくれたのだろうか、とそっと扉を開けてみるも、誰もいない……。
｢早く出てこないと、お化けのユウちゃんと｣
｢レイ……くん……｣
｢がビックリさせちゃうよー！｣
｢え……？｣
　その声は、隣の部屋の前から聞こえていたのだ。