食堂は、前と見た時と同じくらい賑わっていた。
　ファレスターはナミとはぐれないようになんとか人ゴミを掻き分けながら、食事の受け取り口に辿り着いた。
｢おはよう……ああ、あんたか｣
　出迎えてくれたのはネロだ。いつもの気だるそうな口調ながら、出してくれる夕食は豪勢だった。
｢私、一人暮らしだったので、誰かにご飯を作ってくれるってとても有難いなって思います！｣
｢そりゃどーも｣
　ファレスターが感謝を述べると、ネロは照れくさそうに笑った。
｢ネロのご飯は朝も昼も夜もおやつも美味しいポヨ！｣
｢ん……？｣
　ファレスターの足元で、何か聞き慣れない声が飛んだと思いきや、それはぴょんっと跳ねてカウンターに飛び乗った。
｢ネロ〜、僕にもご飯欲しいポヨ〜！｣
｢うわぁ？！　ペ、ペット？！　が喋ってる……！？｣
　謎の登場人物？　にファレスターが驚いているこをよそに、ネロはいたって冷静で、はいはいと返事をしながら食事の乗ったトレーを持ってきた。
｢僕はペットじゃないポヨ｣とカウンターに乗っている丸い生き物がファレスターに言った。｢僕はカービィポヨ｣
｢カ、カービィ……｣
　人間以外もいるというのは覚悟はしていたが、まさかカービィという生き物もいたとは。ファレスターは、カービィと名乗った丸くてピンクの生き物をよく眺めた。
｢カービィって、動物なんですかね……？｣
　ファレスターが隣にいるナミに訊ねた。ナミは首をすくめながらこう答えた。
｢さぁね……でも、カービィによく似た丸いのがもう一人いて……｣
｢え、もう一人……？｣
｢カービィ、救世主をいきなり驚かせてはいけないだろう｣
　ファレスターが首を傾げた直後、またまた足元から声が聞こえてきた。
｢メタナイトポヨ｣
　と言いながら、カービィはカウンターから飛び下りた。
　そしてカービィが向かった先にいたのは……同じく小さい仮面をつけた生き物……？
｢えっと……？｣
｢初めまして、私はメタナイトだ｣戸惑うファレスターをよそに、仮面をつけた生き物はそう名乗った。｢カービィとネロと戦闘チームを組んでいる者だ｣
｢戦闘チーム……｣またもや新たな単語にファレスターは頭を捻ったが、その前に自分が名乗っていないことにはっと思い出した。｢初めまして、私はファレスターです｣
｢よろしくポヨ、ファレスター！｣
｢ああ、よく知ってる｣
　カービィは親しみやすそうに手のようなものを上で振り、メタナイトはクールにそう答えた。
｢ここには本当に、色んな生き物がいるのよね〜｣と隣のナミは言った。｢じゃ、まずは食べましょ｣
｢はい！｣
　ファレスターたちはナミと一緒に、空いている席を探して食事を始めた。