ファレスターたちはルフィを先頭に、骨しかない怪鳥の背中にまたがり、あっという間にルフィたちの船……サウザンド・サニー号に辿り着いた。
　予想していた通り、船で留守番をしていたらしいナミとウソップからは悲鳴と叫び声を頂戴し、ブルックは驚き過ぎて危うく海に落ちるところだった。
　一方のロビンとフランキーは落ち着いていて、特にロビンは、珍しいわと言いながら、骨の怪鳥をスケッチした程である。
｢それで……そこにいる人と青いのは……何？｣
　ナミが早速、フェイタンとソニックを目で指しながら問いただした。怪しい人なのではないか、と疑っているようだ。
｢おれの友達だ！　一緒に屋敷に帰るんだ！｣
　いつ友達と言ったのか、ファレスターは分からなかったが、フェイタンは何か物を申す素振りも見せずにその場に突っ立っていて、口の軽いソニックはこう話し始めた。
｢青いのって呼び方は心外だぜ。オレはソニック・ザ・ヘッジホッグ。音速で走ってたら青くなったハリネズミさ｣
　ソニックは、ファレスターと初めて会った時と同じ自己紹介をし、ナミもやはり困惑した表情を見せた。
｢そ、そう、ハリネズミね……よく分からないけど、うちの船長のことだから、乗せると言ったら聞かないわよね｣だけど、とナミはファレスターの傍らにいるフィーを見やった。｢その人形は？　あたしたちを襲ってくる敵じゃない！　どうしてファレスターちゃんのそばにいる訳？｣
｢あ、でも、フィーは……｣
　ファレスターはすぐに、弁解をしようとした。しかしそれより早く、フィーが話し出した。
<オレがいたら迷惑なのか？　ファレスターのためなら、オレは船には乗らないぞ>
｢そんな、フィー、一緒に……｣
　この島の浜辺にいた時からずっと一緒にいてくれた彼が、自分たちを襲ったあの人形と同じとはどうしても思えなかった。短い時間だったが、ファレスターはフィーのことを信じていたのだ。
　記憶のないフィーを、ここで一人にさせてしまうのは心配だ、とファレスターは思い、どうにかナミを説得しようと考えた。
｢そいつも連れてくぞ！｣そんな不安を掻き消すように、ルフィが明るく言った。｢乗れよ、フィー！　おれの船に！｣
　屈託のない笑顔でフィーに手を差し伸ばしたルフィを見上げたファレスターは、あ、これ漫画の場面にもあったな、と思い出した。
　フィーはその短い布の腕を伸ばし、にこりと笑みを返した。
<おう！　よろしくな、ルフィ！>