怪鳥は、ルフィの掛け声に従って、ゆっくりと遺跡の上へ着地した。
　見た目の恐ろしさや大きさからは想像もつかない程丁寧な着地に、ファレスターは少し手間取りながら怪鳥から下りると、大きな杯が目の前に飛び込んで来た。
｢大きな杯のような……｣
　ファレスターは息を飲んだ。
　そこには、両腕を広げても届かない程大きな杯が、四つの柱に囲われて置いてあったのだ。
｢誰かここで晩酌でもしてたのかもな？｣
　とソニックは冗談っぽく言ったが、目付きは真剣だ。
｢巨人族がいたんだなァ｣
｢でけェお皿だなっ｣
　とルフィとチョッパーはどこか楽しそうにぐるりと杯の周りを歩いたり眺めたりしていた。
　ただ一人だけ、別の反応をしていた。
｢おかしいね……これは聖火台のはずね｣フェイタンだった。｢私たち、この聖火台にある炎を盗む予定だたよ｣
｢炎を盗む……？｣
　炎を盗むとは一体どういうことなのか。そもそもどうやって手に持つことが出来るのか、ファレスターは想像してみたが、全く検討がつかなかった。
｢盗むかどうかの話は置いといて……｣
　この杯について考えようぜ、とソニックが言おうとした時、大きな声で会話を遮った人物がいた。
｢あ、あそこにおれたちの船がある！｣
　ルフィだった。
｢ほんとだっ！　みんないるかなァ……おーい、みんなー！｣
　足元ではチョッパーが、ぴょんぴょん飛び跳ねながら大きく両腕を振った。
　ファレスターもそちらへ目を向けると、海岸にあったあの町の端の方で、太陽のようなライオンの船首がある大きな船が停泊しているように見えた。帆柱の頂点には、デザインまではよく見えないが、海賊の旗がはためていているようだ。
｢あれが海賊船ね？｣
　フェイタンが半歩後ろで呟いた。確かに、海賊船と呼ぶには、少々どころかかなり陽気なカラーリングとデザインではあるよね、とファレスターも心の中ではそう思った。
<へぇ、あれがルフィたちの船なのか！>
　一人、人形である彼はすっかりルフィたちと馴染んだ様子で、物珍しげにルフィたちの海賊船を眺めた。
｢とりあえず、一つの目的は達成されたな｣ソニックが話を切り出した。｢まずは屋敷に戻ってここの話をマスターハンドに伝えて置かないとな。ルフィがオレたちをあの船に乗せてくれたらの話だが｣
｢もちろんだ！　みんなで帰ろう！｣
｢おー！｣
　ルフィの気さくさにチョッパーは片手を上げて返事をした。
　本当に、楽しくて明るい海賊たちだ。
｢またお願いします、ルフィ｣
　ファレスターは深くおじぎをした。