｢グゥオオオオオオオ！！｣
　ルフィがどうやって捕まえるのか、ファレスターが思案する間もなく、ルフィはその怪鳥の背中へ飛び乗った。
｢大丈夫なのかな……｣
　とファレスターは心配になったが、あんな高さからでは、何も出来なかった。
　上空で、ルフィが暴れる怪鳥と格闘しているように見えた。フィーがその間どこにいるのか見えにくいが、ルフィにしがみついているのだと信じたい。
｢さきの言葉、どういうことね？｣
　そんな時、今まで沈黙を守っていたフェイタンが、ようやく口を開いた。
｢え｣
　とファレスターが振り向けば、フェイタンの視線は、チョッパーへと降り注いでいた。
｢私たち、あの宝を狙ていたね。頂上に宝の炎があるのは知ていたね｣
　とフェイタンが言うのだ。
｢えっと、それって、屋敷にいた人たちとってことですか？｣
　よく分からずにファレスターが口を挟むと、フェイタンは煩わしそうに目を細めてこう答えた。
｢私たち、幻影旅団の目的ね｣
｢げんえい……？｣
　ファレスターは首を傾げた。
｢その話なら、オレが説明して置くよ｣とソニックが割って入った。｢フェイタンが言うには、オレたちとは違う元々いた世界と同じ仲間と一緒にいたんだってよ。だからフェイタンとその仲間は、この異世界に来る方法を知っていた｣
｢え、だったら……｣
　帰り方も知っているのでは、とファレスターが言おうとすると、フェイタンはイライラした様子で突然傘を突き出し、うるさいね、と制した。
｢行きも帰りも、仲間が知ていただけね。私は何も知らないよ｣
　にしても、よく知らない世界に来ようと思ったものだよな、とソニックが呟くと、フェイタンは何も言いはしなかったが冷ややかに睨みつけたところ、余計な一言だったのだろうとファレスターは思った。
｢さきの言葉はなんなのね？　聖なる炎はここにはない？｣
　険悪な空気感の中、フェイタン自らが話を戻した。
　そうだった。チョッパーは怪鳥の言葉を聞き取っていたと言っていたではないか。
｢おれも、よく分かんねェんだけど……｣おずおずとチョッパーが話し始めた。｢あの鳥はずっと同じことを言ってたんだ……聖なる炎はここにはないって｣
｢違うね。その前の言葉ね｣
｢えっと……？｣
　チョッパーも、フェイタンが何を言いたいのか分からなかったらしい。
　その横でファレスターも考え、ふと空を見上げた。ルフィが骨の鳥の背中に跨ってふらふらしているのが見えた。
｢そういえば、盗まれたって……｣
　その姿を見てなぜか急に思い出したファレスターが、チョッパーへの問い代わりに答えた。
｢炎を盗むって、相当変わったやつらなんだな｣
　とソニックが言っていたところ、フェイタンからわずかな表情の変化が垣間見えた。しかし、言葉はなかった。
｢おーい、ファレスター、みんな！｣
　そうこうしている内に、ルフィの声が頭上から降ってきた。
　もう一度見上げると、骨の鳥に乗ったルフィが、そのままこちらへと飛んで来るではないか……！
｢ちょ、ルフィ……？！｣
　ファレスターの制止も聞かずに、ルフィは怪鳥をすぐそばまで着地させてきた……。