蜀
ユリは荷物を取りに行くと伝え出て行った。
法正はユリがちゃんと戻って来るのか心配になりつつも、待つことにした。
ユリは兵舎に寄った後、森の奥にある洞窟に入って行った。
そこにはかつて自衛隊だった頃の荷物もある。
左慈「待っていたぞ」
ユリ「左慈さん。」
左慈「どうやらあの武器を上手く使いこなせているようじゃな」
ユリ「はい、お陰様で」
左慈「ならそろそろ其方に任務を与えるとしよう」
ユリ「任務?」
左慈「蜀の未来を救え。」
左慈はユリに巾着袋を渡す。
ユリ「これは?」
左慈「袋の中には万能薬が入っておる。どんな不治の病でもその薬で回復する。大事に使いなさい」
ユリ「分かりました。ありがとうございます」
左慈「一つ忠告しておこう。あまりこの世界の人間と深く関わってはならんぞ。心に縛られると元の世には戻れなくなってしまうからの」
ユリ「わ、分かりました‥気をつけます!」
🏡
法正「随分と遅かったな」
法正は少しイライラしたように言う
ユリ「す、すみません‥そんなに待ちました?」
法正「‥‥俺は先に行く。飯食ったらお前も来い。鍛錬だ。」
ユリ「はい!」
ユリは鍛錬と聞いて嬉しくなる。
法正との修行がこの世界で唯一の楽しみだった。
そして城へ出勤したユリは書簡を受け取り、歩いていると、後ろからコソコソとリュオとリュウキが付けている事に気付いた。
ユリ「何やってんの?」
リュウキ「わっ!」
リュオ「バカ!でかい声出すなって!」
ユリ「法正様に私を見張ってろとか言われたの?」
リュオ「‥‥」
リュウキ「バレちゃったよ‥イテッ!」
リュオ「バカっ!お前は喋るな!」
ユリ「はぁ〜‥そんなコソコソ付いてたら他の人達に逆に怪しまれるよ。はい、これ持って。まだあるから」
ユリはリュオ達に大量の書簡を渡す。
リュオ「お、おい」
ユリ「今日から毎日私の手伝いね。そうすればわざわざコソコソ後つける必要ないでしょ?」
リュオ「良いのかよ?」
ユリ「別に隠し事なんてないし。さぁ、行くよ」
ユリ達は書簡庫へ向かった。
すると人の気配を感じる。
ユリは書簡を棚に置き武器を構える。
リュウキ「お、おい‥」
ユリ「シッ!」
?「わっ」
ユリ「何者だ?」
リュオ「りゅっ劉禅様⁉︎」
ユリ「え?この方が?」
劉禅「しっ!どうか此処に隠れて居る事は内緒にして欲しい‥」
すると遠くから
「劉禅様!どちらにいらっしゃいますか?」
ユリは劉禅を棚の奥の下に隠れるように即した。
すると張飛の娘の星彩が書簡庫に来た。
星彩「貴方達、劉禅様を見かけませんでしたか?」
ユリ「見てませんよ」
リュオとリュウキもユリに合わせて同意する。
星彩「そう‥ありがとう」
無愛想に去って行く星彩を見届ける、ユリ達。実際にユリは星彩との交流は全くない。
星彩は劉禅との婚約が決まっている仲だった。
ユリ「もう出て来て大丈夫ですよ」
劉禅「ああ、ありがとう」
ユリ「それでは私達はこれで」
劉禅「ああ、待ってくれ」
ユリ「まだ何か?」
劉禅「そなたの名前を教えてはもらえないだろうか?助けて貰った恩人の名を覚えておきたい」
ユリ「恩人だなんて大袈裟ですよ。私はユリです。」
劉禅「ユリか、覚えておこう」
ユリ「また隠れるならリュオに頼ると良いですよ。彼、隠れんぼが得意ですから。」
リュオ「まぁ、否定しませんよ」
劉禅「それはありがたい。」
劉禅は頼もしい友を得れたようで、嬉しそうに笑みを溢した。
ユリは法正よりも先に仕事を終えて帰宅する。
法正は諸葛亮と次の戦について会議している。
ユリはこの三国の世界にすっかり慣れてしまっていた。
壁にはユリが作った木製の大きな振り子時計がある。
夜8時頃、法正が帰宅した。
ユリ「お帰りなさい。法正様」
法正「ああ」
食卓を見るとユリの手料理が並んでいるが、馴染みない料理が良く出てくる。
特に食後に甘味が用意されており、カステラやアイスにケーキなど、知らない物ばかり。
法正は平服に着替え終えると食卓の椅子に座る。
法正「また、変わった料理ですね」
ユリ「味は大丈夫のはずです」
法正「ええ、貴方の作った料理で今のところ不味かった物はありません」
ユリは嬉しそうに微笑む
ユリ「飲みますか?」
法正「いや、茶をくれ」
ユリは法正と暮らして意外に思った事が、法正が普段はあまりお酒を飲まない事だった。
ユリはお茶を持って来ると
ユリ「法正様は全くお酒を飲みませんね。張飛様から頂いたお酒が全く減りません」
法正「置いといても腐らないだろ?飲みたいならお前が飲め」
ユリ「遠慮します」
法正「明日からしばらく鍛錬は中止する」
ユリ「え?どうしてですか?」
法正「近々、漢中へ攻める。それまで体力は温存しておけ。」
ユリ「分かりました」
翌朝
法正は時々早朝に1人で狩りに行くのが日課だが、今回はユリも同伴で来た。
遠征の為の保存食を作る為、イノシシや熊などの大型動物を何頭か狙う為。
法正は弓を構えどんどん仕留めていく。
ユリは法正が仕留めた獲物を素早く内臓と血抜き作業を手早く済ませて袋詰めする。
ユリ「法正様、この後少し買い物に行ってきても良いですか?」
法正「ええ、でしたら俺も一緒に行きますよ」
久々の買い物に行くユリと法正の姿は街中では夫婦に見られてもおかしくはなかった。
法正「いったい何を買うんだ?」
ユリ「竹とあと香辛料をいくつか‥あれ?これってウコンですよね?これは何かカレーの匂いがする‥」
法正「独特な臭いだな‥」
店主「ええ‥ですからあまり買い手がいなくてね。ユリ様はいつもそういったものをみんな買ってくれるからうちは大助かりだよ」
ユリ「これ壺ごと貰っても良い?」
法正「そんなに買ってどうするんだ⁉︎」
ユリ「天竺料理に使うんです。向こうではカリーとか言う料理があって美味しいんですよ。」
法正「お前がそう言うなら間違いないんだろうが‥」
法正は諦めたようにため息をついた。
店主「まいどあり!」
法正はユリがちゃんと戻って来るのか心配になりつつも、待つことにした。
ユリは兵舎に寄った後、森の奥にある洞窟に入って行った。
そこにはかつて自衛隊だった頃の荷物もある。
左慈「待っていたぞ」
ユリ「左慈さん。」
左慈「どうやらあの武器を上手く使いこなせているようじゃな」
ユリ「はい、お陰様で」
左慈「ならそろそろ其方に任務を与えるとしよう」
ユリ「任務?」
左慈「蜀の未来を救え。」
左慈はユリに巾着袋を渡す。
ユリ「これは?」
左慈「袋の中には万能薬が入っておる。どんな不治の病でもその薬で回復する。大事に使いなさい」
ユリ「分かりました。ありがとうございます」
左慈「一つ忠告しておこう。あまりこの世界の人間と深く関わってはならんぞ。心に縛られると元の世には戻れなくなってしまうからの」
ユリ「わ、分かりました‥気をつけます!」
🏡
法正「随分と遅かったな」
法正は少しイライラしたように言う
ユリ「す、すみません‥そんなに待ちました?」
法正「‥‥俺は先に行く。飯食ったらお前も来い。鍛錬だ。」
ユリ「はい!」
ユリは鍛錬と聞いて嬉しくなる。
法正との修行がこの世界で唯一の楽しみだった。
そして城へ出勤したユリは書簡を受け取り、歩いていると、後ろからコソコソとリュオとリュウキが付けている事に気付いた。
ユリ「何やってんの?」
リュウキ「わっ!」
リュオ「バカ!でかい声出すなって!」
ユリ「法正様に私を見張ってろとか言われたの?」
リュオ「‥‥」
リュウキ「バレちゃったよ‥イテッ!」
リュオ「バカっ!お前は喋るな!」
ユリ「はぁ〜‥そんなコソコソ付いてたら他の人達に逆に怪しまれるよ。はい、これ持って。まだあるから」
ユリはリュオ達に大量の書簡を渡す。
リュオ「お、おい」
ユリ「今日から毎日私の手伝いね。そうすればわざわざコソコソ後つける必要ないでしょ?」
リュオ「良いのかよ?」
ユリ「別に隠し事なんてないし。さぁ、行くよ」
ユリ達は書簡庫へ向かった。
すると人の気配を感じる。
ユリは書簡を棚に置き武器を構える。
リュウキ「お、おい‥」
ユリ「シッ!」
?「わっ」
ユリ「何者だ?」
リュオ「りゅっ劉禅様⁉︎」
ユリ「え?この方が?」
劉禅「しっ!どうか此処に隠れて居る事は内緒にして欲しい‥」
すると遠くから
「劉禅様!どちらにいらっしゃいますか?」
ユリは劉禅を棚の奥の下に隠れるように即した。
すると張飛の娘の星彩が書簡庫に来た。
星彩「貴方達、劉禅様を見かけませんでしたか?」
ユリ「見てませんよ」
リュオとリュウキもユリに合わせて同意する。
星彩「そう‥ありがとう」
無愛想に去って行く星彩を見届ける、ユリ達。実際にユリは星彩との交流は全くない。
星彩は劉禅との婚約が決まっている仲だった。
ユリ「もう出て来て大丈夫ですよ」
劉禅「ああ、ありがとう」
ユリ「それでは私達はこれで」
劉禅「ああ、待ってくれ」
ユリ「まだ何か?」
劉禅「そなたの名前を教えてはもらえないだろうか?助けて貰った恩人の名を覚えておきたい」
ユリ「恩人だなんて大袈裟ですよ。私はユリです。」
劉禅「ユリか、覚えておこう」
ユリ「また隠れるならリュオに頼ると良いですよ。彼、隠れんぼが得意ですから。」
リュオ「まぁ、否定しませんよ」
劉禅「それはありがたい。」
劉禅は頼もしい友を得れたようで、嬉しそうに笑みを溢した。
ユリは法正よりも先に仕事を終えて帰宅する。
法正は諸葛亮と次の戦について会議している。
ユリはこの三国の世界にすっかり慣れてしまっていた。
壁にはユリが作った木製の大きな振り子時計がある。
夜8時頃、法正が帰宅した。
ユリ「お帰りなさい。法正様」
法正「ああ」
食卓を見るとユリの手料理が並んでいるが、馴染みない料理が良く出てくる。
特に食後に甘味が用意されており、カステラやアイスにケーキなど、知らない物ばかり。
法正は平服に着替え終えると食卓の椅子に座る。
法正「また、変わった料理ですね」
ユリ「味は大丈夫のはずです」
法正「ええ、貴方の作った料理で今のところ不味かった物はありません」
ユリは嬉しそうに微笑む
ユリ「飲みますか?」
法正「いや、茶をくれ」
ユリは法正と暮らして意外に思った事が、法正が普段はあまりお酒を飲まない事だった。
ユリはお茶を持って来ると
ユリ「法正様は全くお酒を飲みませんね。張飛様から頂いたお酒が全く減りません」
法正「置いといても腐らないだろ?飲みたいならお前が飲め」
ユリ「遠慮します」
法正「明日からしばらく鍛錬は中止する」
ユリ「え?どうしてですか?」
法正「近々、漢中へ攻める。それまで体力は温存しておけ。」
ユリ「分かりました」
翌朝
法正は時々早朝に1人で狩りに行くのが日課だが、今回はユリも同伴で来た。
遠征の為の保存食を作る為、イノシシや熊などの大型動物を何頭か狙う為。
法正は弓を構えどんどん仕留めていく。
ユリは法正が仕留めた獲物を素早く内臓と血抜き作業を手早く済ませて袋詰めする。
ユリ「法正様、この後少し買い物に行ってきても良いですか?」
法正「ええ、でしたら俺も一緒に行きますよ」
久々の買い物に行くユリと法正の姿は街中では夫婦に見られてもおかしくはなかった。
法正「いったい何を買うんだ?」
ユリ「竹とあと香辛料をいくつか‥あれ?これってウコンですよね?これは何かカレーの匂いがする‥」
法正「独特な臭いだな‥」
店主「ええ‥ですからあまり買い手がいなくてね。ユリ様はいつもそういったものをみんな買ってくれるからうちは大助かりだよ」
ユリ「これ壺ごと貰っても良い?」
法正「そんなに買ってどうするんだ⁉︎」
ユリ「天竺料理に使うんです。向こうではカリーとか言う料理があって美味しいんですよ。」
法正「お前がそう言うなら間違いないんだろうが‥」
法正は諦めたようにため息をついた。
店主「まいどあり!」