柳
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「○○…、これは…。」
廊下で1人項垂れ、座り込む私に蓮二くんが持ってきたのは、使用後に乱雑に捨てたカッターの刃だった。
拭うのも面倒だから、硬いケースにいれてゴミ箱の奥底に入れたというのに蓮二くんは発見してしまったらしい。
「なぜ、という顔をしているな。…簡単だ、ここ数日お前の様子がおかしかった。」
そう言うと彼は隣へと腰を下ろす。私の顔を覗き込む訳でもなく、ただ頭を撫でた。
「深くは聞かない。だが、自傷は頂けないな。」
「……ごめんなさい。」
私がそう謝ると蓮二くんは、いや、そうでは無いんだ、と焦ったような声を出す。
「○○が悩んでいるのは知っていた。しかし俺はどう声をかければいいか分からなかった。…結果、○○は自傷してしまった。」
何も言わず頷く私に蓮二くんは言葉を続ける。
「お前の彼氏だと言うのに、俺はお前を分かってやれていなかった。…参謀とは、なんだったのだろうな。」
自嘲するような声で言うと蓮二くんはふっと微笑む。
「俺も自分を買い被っていたらしい。大切にしたい○○のことを守ってやれずようやく知った。」
痛かったな、すまない。そう言うと血が止まり始めた手首にそっと手のひらを重ねる。
蓮二くんの手を汚したくなくて払おうとすれば悲しい瞳をした蓮二くんと目が合った。
「俺に触れられるのは嫌か。」
「ちがう、でも、汚れちゃう…」
私がそう言うと蓮二くんは目を開けたまま、私の手を優しく握った。
「俺はそう思わない。お前の血が汚いものか。…誰かを思い流した涙とそう変わらない。」
そう言うと辛そうな顔をした蓮二くんは私を抱きしめた。
「今度から辛い時は言ってくれ…。だが、お前が人を頼るのが苦手な事は分かっている…。俺も人の子だ、データをいくら持っていようと言葉にされなければ分からないことだらけだ。」
蓮二くんは私を抱きしめる腕の力を強め、彼の胸に頭を預ける。
その力強さと蓮二くんの暖かさに涙が込み上げてくる。
そのまま無言の時間が続くが蓮二くんが私を離すことはしない。かくいう私も彼に抱きしめられて、近くで聞こえる彼の心音にひどく安心してそのまま眠ってしまった。
すやすやと寝息を立てる○○に柳はふっと微笑む。安心したような顔で眠る彼女はとても愛らしい。頬に触れたくなるのをぐっと堪え、柳は優しく彼女を抱き上げた。
「頑張ったな。ゆっくり休むといい。」
柳は彼女を抱き上げ冷えた廊下を後にすると予め暖房を入れていた寝室のベッドへと彼女を降ろした。
廊下で1人項垂れ、座り込む私に蓮二くんが持ってきたのは、使用後に乱雑に捨てたカッターの刃だった。
拭うのも面倒だから、硬いケースにいれてゴミ箱の奥底に入れたというのに蓮二くんは発見してしまったらしい。
「なぜ、という顔をしているな。…簡単だ、ここ数日お前の様子がおかしかった。」
そう言うと彼は隣へと腰を下ろす。私の顔を覗き込む訳でもなく、ただ頭を撫でた。
「深くは聞かない。だが、自傷は頂けないな。」
「……ごめんなさい。」
私がそう謝ると蓮二くんは、いや、そうでは無いんだ、と焦ったような声を出す。
「○○が悩んでいるのは知っていた。しかし俺はどう声をかければいいか分からなかった。…結果、○○は自傷してしまった。」
何も言わず頷く私に蓮二くんは言葉を続ける。
「お前の彼氏だと言うのに、俺はお前を分かってやれていなかった。…参謀とは、なんだったのだろうな。」
自嘲するような声で言うと蓮二くんはふっと微笑む。
「俺も自分を買い被っていたらしい。大切にしたい○○のことを守ってやれずようやく知った。」
痛かったな、すまない。そう言うと血が止まり始めた手首にそっと手のひらを重ねる。
蓮二くんの手を汚したくなくて払おうとすれば悲しい瞳をした蓮二くんと目が合った。
「俺に触れられるのは嫌か。」
「ちがう、でも、汚れちゃう…」
私がそう言うと蓮二くんは目を開けたまま、私の手を優しく握った。
「俺はそう思わない。お前の血が汚いものか。…誰かを思い流した涙とそう変わらない。」
そう言うと辛そうな顔をした蓮二くんは私を抱きしめた。
「今度から辛い時は言ってくれ…。だが、お前が人を頼るのが苦手な事は分かっている…。俺も人の子だ、データをいくら持っていようと言葉にされなければ分からないことだらけだ。」
蓮二くんは私を抱きしめる腕の力を強め、彼の胸に頭を預ける。
その力強さと蓮二くんの暖かさに涙が込み上げてくる。
そのまま無言の時間が続くが蓮二くんが私を離すことはしない。かくいう私も彼に抱きしめられて、近くで聞こえる彼の心音にひどく安心してそのまま眠ってしまった。
すやすやと寝息を立てる○○に柳はふっと微笑む。安心したような顔で眠る彼女はとても愛らしい。頬に触れたくなるのをぐっと堪え、柳は優しく彼女を抱き上げた。
「頑張ったな。ゆっくり休むといい。」
柳は彼女を抱き上げ冷えた廊下を後にすると予め暖房を入れていた寝室のベッドへと彼女を降ろした。
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