幸村
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同棲している彼氏の精市くんは、私に甘すぎると思う。
まるで全肯定botのように私の言動を肯定してくれるのだ。
例えば、私がバイトでやらかして沈んでいた時、
「…精市くん…私やっちゃった…。トマトぶちまけちゃった…。」
私ほんとだめだ、そんなことを呟けば精市くんは優しい笑顔で私の頭を撫でた。
「失敗なんて誰にもあるだろう?キミのことだ、ちゃんと謝れただろうしいつもやってる訳でもない。何も問題ないよ。」
そう優しい声で言うから私もそうなんだと思ってしまう。沈んでた気分なんて吹っ飛んで、私を抱き寄せる暖かい腕に身を任せてしまえばもう精市くんのことしか考えられなかった。
「キミは偉いよ。よくやってる。俺が言うんだから間違いないだろ?」
神の子だなんて呼ばれてた彼にそう言われてしまえば、精市くんの言うことは全て正しいと錯覚してしまう。けどこれまで問題はなかったからきっと、正しいんだ。
そう思って彼の胸に擦り寄れば彼はさらに強く抱きしめてくれる。
そんな精市くんは、今日は様子が変だった。
今日は珍しく精市くんの方が先に帰っていて、私はバイトの時間が延長された。理由は簡単で、最近流行りのウイルスのせいだ。
いつものように家に帰ってリビングに入れば、精市くんは真剣な顔でソファへ腰掛けていた。そんな精市くんの目の前にはビールの空き缶が無造作に置かれていた。
テレビも付いておらず、スマホも触っていない。それ故に重い雰囲気が部屋に漂っていた。
すると精市くんは私に気がついたのか、こちらを見ると微笑む。その顔はいつもの精市くんなのになんだか胸がざわつく。
「おかえり。遅かったね。」
「人が足りなくて…延長だったの…。」
コートを脱ぎながらそう答えれば精市くんはそうか、と言って立ち上がる。そして私にゆっくりと近付いてきた。優しい顔をしているのに、なんだか怖い。そんなことを考えていれば精市くんは私に手を伸ばす。
「…お疲れ様。と、言いたいんだけど…。」
いつものようにふわりと優しく頭に乗せられた手。そのまま撫でられるのかと思えばその手は動く気配がない。
「悪いんだけど俺を癒して欲しい。……ダメかな。」
眉を下げてそう言う精市くんにドキリとする。いつだって精市くんは私に弱いところなんて見せなかった。それなのに、そんな彼が、今、私に癒して欲しい、だなんて…。
「ダメじゃないよ、私でよければ。……精市くんもお疲れ様。何かあった?」
「……真田が言うんだ。甘やかすのは良くないって。」
精市くんの答えに私はハテナを浮かべる。
「甘やかすことの何が悪いんだって、キミはこんなに頑張ってるし、可愛いのに、」
「待って、もしかして、」
「そうしたら蓮二も同調したんだ、俺は度を超えているって。おかしい話だろ?これが普通じゃないか、」
私の話も聞かずにつらつらと言葉を並べる精市くんに既視感を覚える。
ああ、これは完全に…。
「精市くん!!」
精市くんの言葉を遮り顔をこちらへ向ける。そうすれば精市くんは驚いた顔をして、次の瞬間には柔らかく微笑んだ。
「なあに、○○。キスしたい?」
「ちが、…ん!?」
精市くんはすぐに私の唇を奪うとふふふと笑う。赤みのかかった頬はなんだか可愛いのだが……。それは彼にアルコールが入っていなければの話だ。
「精市くんお酒飲んだでしょ。」
「…少し。酔ってないよ。」
「もう、酔っぱらいはみんなそう言うの!また2人の前で惚気けたの?」
「2人じゃない、みんないたよ。赤也が最近どうか聞くから答えたら真田と蓮二に言われたんだ、聞いてきたから答えたのにお説教だなんて嫌になるだろう。」
精市くんは少し頬を膨らませたように感じる。ああ、やっぱり完全に酔っている。
「もー。そこまでの惚気が聞きたかった訳じゃないんじゃない?第一、切原くんが聞いてきたんだったらテニスのことだったかもしれないでしょ。」
「知らないよ。でもあいつらも中学生の時から俺たちのこと応援していただろ?同棲してるって言ってもいいかと思ったんだ、それで、」
「分かった分かった。精市くん。その時にももう酔ってたんだね。よく帰ってこれたじゃん。」
「オンライン飲み会?だよ。家で飲んでた。」
嬉しそうに答える精市くんに1つ息を着く。
これはだめだ、完全に出来上がっている。
後輩である切原くんも災難だっただろう。
良いの回った精市くんは惚気しか言わない。
それをよく飲みに行く真田くんと柳くんは知っている。
これは多分その2人が止める間もなく、切原くんが話を振って、嬉しくなった精市くんが延々と惚気けたのだと考えられる。
今頃説教をされていそうな切原くんや真田くん、柳くんへお詫びのメッセージを送ろうとすれば、精市くんはスマホを私の手から抜き取る。
「だめ。俺といるんだからこんなのみないで。」
そう言うとスマホを後ろ手に隠す。
精市くんは機嫌が良くなったみたいでふふふ、と微笑む。
精市くんがいいなら、まあ、いいか。
そう思うことにして私は彼の広げる腕の中へ飛び込んだ。
まるで全肯定botのように私の言動を肯定してくれるのだ。
例えば、私がバイトでやらかして沈んでいた時、
「…精市くん…私やっちゃった…。トマトぶちまけちゃった…。」
私ほんとだめだ、そんなことを呟けば精市くんは優しい笑顔で私の頭を撫でた。
「失敗なんて誰にもあるだろう?キミのことだ、ちゃんと謝れただろうしいつもやってる訳でもない。何も問題ないよ。」
そう優しい声で言うから私もそうなんだと思ってしまう。沈んでた気分なんて吹っ飛んで、私を抱き寄せる暖かい腕に身を任せてしまえばもう精市くんのことしか考えられなかった。
「キミは偉いよ。よくやってる。俺が言うんだから間違いないだろ?」
神の子だなんて呼ばれてた彼にそう言われてしまえば、精市くんの言うことは全て正しいと錯覚してしまう。けどこれまで問題はなかったからきっと、正しいんだ。
そう思って彼の胸に擦り寄れば彼はさらに強く抱きしめてくれる。
そんな精市くんは、今日は様子が変だった。
今日は珍しく精市くんの方が先に帰っていて、私はバイトの時間が延長された。理由は簡単で、最近流行りのウイルスのせいだ。
いつものように家に帰ってリビングに入れば、精市くんは真剣な顔でソファへ腰掛けていた。そんな精市くんの目の前にはビールの空き缶が無造作に置かれていた。
テレビも付いておらず、スマホも触っていない。それ故に重い雰囲気が部屋に漂っていた。
すると精市くんは私に気がついたのか、こちらを見ると微笑む。その顔はいつもの精市くんなのになんだか胸がざわつく。
「おかえり。遅かったね。」
「人が足りなくて…延長だったの…。」
コートを脱ぎながらそう答えれば精市くんはそうか、と言って立ち上がる。そして私にゆっくりと近付いてきた。優しい顔をしているのに、なんだか怖い。そんなことを考えていれば精市くんは私に手を伸ばす。
「…お疲れ様。と、言いたいんだけど…。」
いつものようにふわりと優しく頭に乗せられた手。そのまま撫でられるのかと思えばその手は動く気配がない。
「悪いんだけど俺を癒して欲しい。……ダメかな。」
眉を下げてそう言う精市くんにドキリとする。いつだって精市くんは私に弱いところなんて見せなかった。それなのに、そんな彼が、今、私に癒して欲しい、だなんて…。
「ダメじゃないよ、私でよければ。……精市くんもお疲れ様。何かあった?」
「……真田が言うんだ。甘やかすのは良くないって。」
精市くんの答えに私はハテナを浮かべる。
「甘やかすことの何が悪いんだって、キミはこんなに頑張ってるし、可愛いのに、」
「待って、もしかして、」
「そうしたら蓮二も同調したんだ、俺は度を超えているって。おかしい話だろ?これが普通じゃないか、」
私の話も聞かずにつらつらと言葉を並べる精市くんに既視感を覚える。
ああ、これは完全に…。
「精市くん!!」
精市くんの言葉を遮り顔をこちらへ向ける。そうすれば精市くんは驚いた顔をして、次の瞬間には柔らかく微笑んだ。
「なあに、○○。キスしたい?」
「ちが、…ん!?」
精市くんはすぐに私の唇を奪うとふふふと笑う。赤みのかかった頬はなんだか可愛いのだが……。それは彼にアルコールが入っていなければの話だ。
「精市くんお酒飲んだでしょ。」
「…少し。酔ってないよ。」
「もう、酔っぱらいはみんなそう言うの!また2人の前で惚気けたの?」
「2人じゃない、みんないたよ。赤也が最近どうか聞くから答えたら真田と蓮二に言われたんだ、聞いてきたから答えたのにお説教だなんて嫌になるだろう。」
精市くんは少し頬を膨らませたように感じる。ああ、やっぱり完全に酔っている。
「もー。そこまでの惚気が聞きたかった訳じゃないんじゃない?第一、切原くんが聞いてきたんだったらテニスのことだったかもしれないでしょ。」
「知らないよ。でもあいつらも中学生の時から俺たちのこと応援していただろ?同棲してるって言ってもいいかと思ったんだ、それで、」
「分かった分かった。精市くん。その時にももう酔ってたんだね。よく帰ってこれたじゃん。」
「オンライン飲み会?だよ。家で飲んでた。」
嬉しそうに答える精市くんに1つ息を着く。
これはだめだ、完全に出来上がっている。
後輩である切原くんも災難だっただろう。
良いの回った精市くんは惚気しか言わない。
それをよく飲みに行く真田くんと柳くんは知っている。
これは多分その2人が止める間もなく、切原くんが話を振って、嬉しくなった精市くんが延々と惚気けたのだと考えられる。
今頃説教をされていそうな切原くんや真田くん、柳くんへお詫びのメッセージを送ろうとすれば、精市くんはスマホを私の手から抜き取る。
「だめ。俺といるんだからこんなのみないで。」
そう言うとスマホを後ろ手に隠す。
精市くんは機嫌が良くなったみたいでふふふ、と微笑む。
精市くんがいいなら、まあ、いいか。
そう思うことにして私は彼の広げる腕の中へ飛び込んだ。